今月の更年期研究の専門ジャーナル(電子版)に、エクオールによる膣のアンチエイジング効果を示した臨床研究が、イタリアのグループ(University of Catania)から報告されていました。
(Menopause. 2018 Jan 8.)
エクオールとは、腸内細菌により、大豆イソフラボンの一種であるダイゼインから産生されます。
今回の研究では、
外陰膣症状や性交疼痛を有する閉経後の女性において、
エクオールによる膣の健康への作用が検証されました。
具体的には、
自然閉経後の女性126名を対象に、
サプリメント投与(1日1錠)群:72名、
・対照群:54名
の2群について、8カ月間の介入が行われ、
関連指標として、
VMI(膣成熟指数vaginal maturation index)、
膣内㏗、
膣健康指数(VHI)による膣萎縮症状が、
試験開始時、4ヶ月後、8ヶ月後の時点で調べられました。
解析の結果、
エクオール投与群では、
投与前に比べて、
VMIの有意な増加
(68 ± 5 vs 58 ± 8)
膣pHの有意な改善
(4.1 ± 1.3 vs 5.1 ± 1.7)
が認められました。
(いずれも主に8ヶ月後 P < 0.001)
また
エクオール摂取群では、
膣の健康指数(VHI)が、
4ヶ月後の時点
(13 ± 3, P < 0.01)
および
8ヶ月後の時点
(16 ± 2, P < 0.001)
のいずれでも有意な改善を認めました。
また、
性交疼痛は、
エクオール投与群において、
4ヵ月の時点では有意差は検出されませんでしたが、
(4.7 ± 1.1, P = 0.06)
8ヶ月後の時点で有意な減少を示しました。
(5.1 ± 1.3 vs 3.8 ± 1.2, P < 0.001)
一方、偽薬群では有意な変化は示されていません。
(P = 0.22)
以上のデータから、
閉経後の女性において、
エクオールによる膣のアンチエイジング作用が示唆されます。
エクオールとは、腸内細菌により、大豆イソフラボンの一種であるダイゼインから産生されます。
エクオールは、イソフラボンよりも高い生物活性を有しており、
更年期障害の改善、閉経後の骨粗鬆症予防、心血管疾患の予防作用が示唆されています。
ただし、
エクオールの体内産生には、腸内細菌叢が関与するため、エクオールを産生できる人とそうではない人がいることがわかっています。
日本人でエクオールが産生できるのは、50-60%程度です。
また、食習慣の変化により、若年者では、エクオール産生者の割合が減少しており、
日本人の若年女性では、20-30%の人しか、エクオールを産生できていないと報告されています。
エクオール産生者は、非産生者に比べて、大豆イソフラボンの機能性/健康増進効果や未病対策効果を得られると考えられます。
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