サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

2020年03月  >
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
カテゴリアーカイブ
最新記事
抗酸化サプリメントのメタ分析@コクランレビュー [2008年04月18日(金)]
今週、コクランレビューで、抗酸化サプリメントに関するネガティブなデータを示した論文が発表されました。
(CD007176)


メタ分析という方法で、これまでに報告された臨床研究(ランダム化比較試験67報)を解析した結果、抗酸化サプリメントには死亡率を下げたり疾病を予防したりする効果はなかったというものです。


ただし、この論文は、解析の方法自体に問題が多く、これまでに発表されてきた他のいくつかの論文と同様に、信頼性の低いものです。

(つまり、新しいデータが加わったのではありません。)
(論文著者らは、昨年のJAMAに発表されたネガティブデータと同じグループです。)


一般論ですが、マスメディアは、サプリメントの効果を否定するようなネガティブデータを好むので、今後、日本でも話題になることがあるかもしれません。

ニュースの見出しや結論が一人歩きすることで、サプリメントのユーザーや医療関係者が混乱する可能性も考えられますので、問題点をまとめたいと思います。


今回の論文は、抗酸化サプリメントの効果を検証したレビュー(メタ分析)です。

抗酸化サプリメント(ビタミンA,ビタミンE,βカロテン、ビタミンC、セレン)を用いたランダム化比較試験67報を解析した結果、これらのサプリメントによる疾病リスク低減作用や延命作用は示されなかった、ということです。

解析対象となったのは、これまでに発表された67報のランダム化比較試験です。

一方、747報の臨床研究は、解析の対象外とされました。

そのうち、405報の試験は、死亡がなかったという理由です。
(その他の試験は、無作為化されていない、クライテリアを満たさない、現在進行中であるといった理由で除外されています。)


つまり、抗酸化サプリメントを投与した臨床研究として見出された論文のうち、90%以上が除かれた上で(そのうち死亡はなかったという研究が多くあります)、死亡率が比較され、効果はないとされています。


また、βカロテンやビタミンEでは、一部の極端なRCTの結果による影響を受けて、サプリメント投与群が好ましくないようなデータになっています。

解析された67報は、メタ分析の対象にするにはばらつきが大きく、性質の異なる臨床研究です。
(対象者、投与した抗酸化剤の用量・用法、一次予防か二次予防かなどで、大きく異なる研究です。)


したがって、今回のコクランレビューは、これまでに何度が報告されてきたメタ分析の蒸し返し(同じ研究グループによる類似した解析)によるネガティブデータになっています。

(その他にも、バイアスの原因や利害の衝突となっている点があり、後日、それらを紹介したいと思います。)


抗酸化サプリメントのように、緩やかな作用を有する成分の場合、従来のアウトカムによる評価は困難と思われます。

今回の論文のように、コクランレビューのプロトコールにしたがって、機械的に90%以上の臨床研究を除外し、それらをエビデンスとしてまったく無視してしまうことは問題です。


さらに、近年のプロテオミクス研究では、個人差/ヒトの多様性が明らかになっており、抗酸化サプリメントの緩やかな効果が、多様性という背景に埋もれてしまうことも考えられます。


化学合成された医薬品を、短期間投与した際の介入の効果を判定する方法としては、ランダム化比較試験がゴールドスタンダードと考えられます。

介入の作用が大きな化学合成薬についての試験であれば、多少の個人差/体質の差は結果に大きな影響を与えることはないと思います。


一方、機能性食品成分による緩徐で長期にわたる効果を判定するためには、従来のランダム化比較試験およびメタ分析という方法では、検出力が不足して、正しい結論が導き出せないと考えられます。



コクランレビューの結論は、いつも同じパターンになっています。

つまり、(有効性が示唆されるにせよ、されないにせよ)、結論を出すには、さらにRCTが必要、というパターンです。


個人差に基づく個別化医療の推進という考えが浸透している現在、個人差を平均化してしまうRCTやメタ分析だけではなく、その他のタイプの研究もエビデンスとして取り入れていく必要があるでしょう。
posted at 23:54 | この記事のURL
この記事のURL
http://www.dhcblog.com/kamohara/archive/691
プロフィール


医学博士 蒲原聖可
自己紹介
ブログ
リンク集

http://www.dhcblog.com/kamohara/index1_0.rdf
ログイン
Mypagetopに戻る