今月の栄養学の専門ジャーナルに、魚の種類とオメガ3系脂肪酸の含有量を調べた研究が、米国のグループから報告されていました。
(J Am Diet Assoc. 2008 Jul;108(7):1178-85.)
DHAやEPAといったオメガ3系脂肪酸は、抗炎症作用、抗アレルギー作用、動脈硬化抑制作用、抗うつ作用といった働きを有しており、それらを多く含む魚類の摂取が推奨されています。
一方、実際の食生活では、オメガ6系脂肪酸や飽和脂肪酸の摂取が増加し、オメガ3系脂肪酸の摂取は十分とはいえません。
そこで、毎日、一定量のオメガ3系脂肪酸を確実に摂取するために、DHAやEPAがフィッシュオイルといったサプリメントとしても広く用いられています。
さて、今回の研究では、米国において最もよく消費される魚類30種を対象に、脂肪酸の組成を解析し、オメガ3系脂肪酸の含有量が測定されました。
その結果、30種類の魚のサンプルは、オメガ3系脂肪酸の含有量に関して非常に多様であり、オメガ3系脂肪酸がほとんど検出されないものから、魚肉100グラムあたり4.0グラム近く見出された種類もあったということです。
研究では、(米国において)特によく消費される4種類の魚――サーモン(Atlantic salmon)、鱒、ナマズ、テラピア――が詳しく解析されています。
(テラピアは、淡水魚の1種で、成長が早く、米国では最も多く養殖されています。)
そして、サーモンと鱒は、オメガ3系脂肪酸が比較的豊富であり、オメガ6系/オメガ3系の比が低いという結果でした。
対照的に、テラピアとナマズでは、オメガ3系脂肪酸の含有量が非常に低く、オメガ6系/オメガ3系の比が高いことが見出されています。
以上のデータから、(米国において)日常的に消費される魚では、種類によってオメガ3系脂肪酸の含有量に大きな違いがあることが示唆されます。
日本の食卓にのぼる魚では、鯖などの青魚がオメガ3系脂肪酸を多く含んでいます。
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