今月の栄養学の専門誌に、ワインのレスベラトロールによる作用についての研究が、イタリアのグループから発表されていました。
(J. Nutr. 2008 138: 1602-1608.)
これまでの研究にて、ワインの適度な消費が虚血性心疾患のリスクを低下させるという報告がありますが、メカニズムについては議論があります。
また、ブドウ抽出物あるいはワインに含まれるポリフェノールは、NO産生を増加させるというデータがありますが、ワインポリフェノールの1つであるレスベラトロールによる血小板のNO産生への影響に関する研究は知られていません。
そこで、今回の研究では、ワインの適度な摂取による血小板由来NO産生への影響が検討されました。
健康な被験者20名を対象に、白ワインあるいは赤ワイン(300mL/日)を15日間摂取させた結果、血中レスベラトロールおよび血小板由来NO産生が有意に増加したということです。
このときの血中レスベラトロール値に相当する濃度を用いて、in vitro系にてNO産生および情報伝達機序を検討したところ、レスベラトロールによるNO合成酵素活性、VASP(vasodilator-activated protein)リン酸化の促進作用等が認められました。
さらに、抗炎症作用を示唆する働きも認められています。
以上のデータから、ワインの適度な摂取により、レスベラトロールを介した心血管系疾患のリスク低減作用が期待されます。
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ワイン好きなので、うれしいです。