今月の栄養学の専門誌に、ダークチョコレートの高血圧改善作用およびインスリン感受性亢進作用を示したヒト臨床研究が、イタリアと米国のグループから発表されていました。
(J. Nutr. 2008 138: 1671-1676)
チョコレートには、カカオポリフェノール/フラボノール類が豊富に含まれており、血管内皮細胞の機能を正常に維持し、心血管疾患のリスクを低下させると考えられています。
これまでの臨床研究では、カカオポリフェノールによる高血圧改善作用が報告されてきました。
今回の研究では、耐糖能異常を示す高血圧患者19名(男性11名、女性8名、平均年齢44.8歳)を対象に、フラボノールの豊富なダークチョコレートを、1日あたり100グラムの用量で15日間投与し、血管内皮細胞の機能、インスリン感受性、β細胞機能、血圧に対する影響が測定されました。
(フラボノールを含まないホワイトチョコレートを対照としたクロスオーバー法。)
その結果、ダークチョコレート摂取時において、インスリン抵抗性の有意な低下、インスリン感受性の亢進、収縮期血圧と拡張期血圧の有意な低下、血管機能の改善、総コレステロール値とLDL値の有意な低下といった作用が認められたということです。
(なお、これらの働きは、ホワイトチョコレート投与(対照)群では認められていません。)
以上のデータから、フラボノールが豊富で低エネルギーに調整されたダークチョコレートは、耐糖能を改善し、心血管リスクを低下させることが示唆されます。 |