今月の栄養学の専門ジャーナルに、亜鉛サプリメントによる血中ビタミン値への影響を検討したヒト臨床研究が報告されていました。
(Eur J Clin Nutr. 2008 Oct;62(10):1215-23.)
試験では、健康な中高年(55歳から70歳)と高齢者(70歳から85歳)の合計387名をランダムに3群に分け、1日あたり15mgあるいは30mgの亜鉛、もしくは偽薬が6ヶ月間投与されています。
試験開始前、3ヵ月後、6ヵ月後の時点で、食事調査や血中ビタミン値の測定が行われた結果、亜鉛の摂取量と期間に応じて血中ビタミンA値の増加が認められました。
(6ヵ月の時点で、15mg/日投与群ではP<0.05、30mg/日投与群ではP<0.0001)
一方、偽薬群では有意な変化は示されていません。
また、ビタミンE/コレステロール比や赤血球中の葉酸値については亜鉛サプリメント摂取による影響は認められませんでした。
このデータから、中高年以降の年代では亜鉛サプリメントの摂取による血中ビタミンA上昇作用が示唆されます。
ただし、亜鉛を摂ればビタミンAは不要というのではありません。
マルチビタミンとマルチミネラルはいずれもベーシックなサプリメントとして、成人であれば年齢や性別に関わらず、摂取が推奨されます。
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