今月の栄養学の専門誌に、魚類の摂取と前立腺がんの発生率および死亡率に関する調査研究が、米国のグループから報告されていました。
(Am J Clin Nutr 2008 88: 1297-1303.)
魚類には、DHAやEPAなどのオメガ3系必須脂肪酸が含まれており、魚類の摂取による抗炎症作用や動脈硬化性疾患抑制作用が示されています。
一方、魚油の摂取とがん抑制との関係については議論があります。
そこで、今回の研究では、魚類の摂取と前立腺がんの発生率および死亡率について検討されました。
1983年の時点でがんに罹患していない男性20,167名を対象に、22年間のフォローアップが行われた結果、2,161名において前立腺がんが見出され、230名の死亡が確認されました。
魚類摂取との関連を調べたところ、前立腺がんの発生率との関連は認められませんでした。
一方、前立腺がんによる死亡率との関連では、1週間に5回以上、魚類を摂取する人は、1週間に1回未満の人に比べて、死亡リスクが48%低いというデータが得られました。
(RR=0.52; 95% CI: 0.30, 0.91; P for trend = 0.05)
以上のデータから、魚類の摂取による前立腺がん死亡率の低下効果が期待されます。 |