栄養学の専門ジャーナルに、コーヒーの摂取が多いと2型糖尿病のリスクが低いという疫学研究が、シンガポールのグループから報告されていました。
(Am J Clin Nutr 2008 88: 979-985.)
これまでの研究では、白人を対象にした調査において、コーヒーの摂取と2型糖尿病のリスクが負の相関関係にあることが示唆されています。
一方、アジア人を対象にした調査はまだ十分ではありません。
そこで、今回の研究では、中国系シンガポール人の男女36,908名(45歳から74歳)を対象に、コーヒー・紅茶・緑茶の摂取と2型糖尿病のリスクとの関係が調べられました。
調査の開始は1993年から98年で、フォローアップは99年から2004年に行われています。
データ解析の結果、1日にコーヒーを4杯以上摂取する人は、まったく摂取しない人に比べて、糖尿病のリスクが30%低下するという関係が認められたということです。
(RR=0.70, 95%CI: 0.53-0.93)
また、紅茶を1杯以上摂取する人は、まったく摂取しない人に比べて14%のリスク低下が示されています。
一方、緑茶の摂取と糖尿病との関係は明確ではありませんでした。
以上のデータから、アジア人におけるコーヒーの摂取と2型糖尿病リスクの低下との関連が示唆されます。
今後、臨床的意義の解析が期待される分野です。
|