サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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CYP阻害作用の臨床的意義 [2009年02月04日(水)]
生薬学の専門誌(電子版)に,がん患者が利用するハーブサプリメントによるCYP3A4阻害作用を検討した基礎研究が,ノルウェイのグループから発表されていました。
(Phytother Res. 2009 Jan 23. PMID: 19170155)



ハーブサプリメントは,伝統医学において薬用植物として用いられてきた成分も多く,一定の効能効果が期待できます。

一方で,肝臓における薬剤代謝酵素の活性に影響を与えて,同じ酵素によって代謝される医薬品の血中濃度に影響を及ぼすことが示唆されます。

実際に,セントジョーンズワートなどでは,一部の医薬品との相互作用が想定されています。



さて,今回の研究では,納豆K2(ビタミンK),アガリクス,ヤドリギ,ノニ(ジュース),緑茶,ニンニクのサプリメントについて,in vitroによるP450 3A4(CYP3A4)に対する阻害作用の検討が行われました。

(がん患者に頻用されるハーブサプリメントを選んだ,ということです。
日本の現状とは少し乖離があるように思います。)


これまでの研究によると,緑茶とニンニクはCYP3A4を阻害することが知られています。



今回のin vitro研究では,testosteroneを基質,ketoconazoleを対照薬(阻害薬)として,各サプリメント成分によるCYP3A4への影響が測定されました。


解析の結果,CYP3A4阻害活性は,緑茶が最大であり,アガリクス,ヤドリギ,ノニと続きました。

(なお,ニンニクと納豆K2については,阻害作用は認められていません。)


以上から,これらのサプリメントは,CYP3A4阻害作用を介して,一部の医薬品と理論的な相互作用が推察されます。


ただし,論文著者らは,(IC50値の解析などから),臨床的には,緑茶以外ではこれらのサプリメント成分が,肝臓あるいは腸管においてCYP3A4を有意に阻害し,影響を生じることは考えにくい,と考察しています。



現時点での臨床研究から判断すると,今回のin vitro研究によるデータは,臨床的意義は特になさそうです。


2000年頃から,サプリメントと医薬品の相互作用の問題に関連した,P450を介した相互作用が研究テーマにあがるようになりました。


ただし,in vitro研究による活性の誘導や阻害といったデータは,臨床的意義については検討の余地があります。

この手の論文では,「理論的には相互作用が考えられるので,注意が必要である」といった考察が多くみられます。

その点,今回の研究では,論文著者らが,臨床的な有意性を考慮している点で,より現実的な対応になっていると思われます。
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