今月の栄養学のジャーナルに、シナモン由来のクロムとポリフェノールによるインスリン感受性改善についての論文が掲載されていました。
(Proc Nutr Soc. 2008 Feb;67(1):48-53.)
シナモンは、クスノキ科の常緑樹であり、世界各地で香辛料や医薬品として利用されてきました。
一般に、カシアシナモン(cassia cinnamon、Chinese cinnamon)とセイロンシナモン(Ceylon cinnamon)の2種類に大きく分けられます。
近年、糖尿病患者を対象にした複数のランダム化比較試験によって、シナモンサプリメント投与による糖代謝改善作用が報告されています。
これらのヒト臨床試験で用いられたシナモンは、カシアシナモンCinnamomum cassiaです。
さて、今回の総説では、カシアシナモンに含まれるクロムとポリフェノールによるインスリン感受性の改善作用が述べられています。
よく知られている研究では、2型糖尿病患者に比較的高用量のシナモンを投与することで、空腹時血糖値が18-29%低下、中性脂肪値が23-30%低下、総コレステロール値が12-26%低下、LDLが7-27%低下といったデータが報告されています。
作用メカニズムとして、シナモンの水溶性成分に含まれるポリフェノール類がインスリン感受性を改善するという説があります。
その他、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の女性を対象にした研究でも、シナモンポリフェノール類によるインスリン抵抗性の改善が示されています。
アメリカのある学会でも、シナモンによる糖尿病改善作用が話題になったことがありました。
そのとき問題になったのは、シナモンの効果を報告した論文の中には、シナモンの種類(学名)を明記していないものや、投与したシナモンの調整方法を示していないものがある、といった点です。
これは、生薬学の常識からは考えられないことですが、掲載したジャーナルが、生薬学を専門とする査読者に依頼していない場合などに生じうる問題です。
シナモンに限らず、生薬/ハーブ/サプリメントの臨床研究が、(化学的に合成された)医療用医薬品の臨床研究を対象としてきたジャーナルや、専門分野別(糖尿病や高血圧などの疾患別)のジャーナルに掲載される場合、実際に生じている問題点です。
今後、サプリメントについての科学的根拠を構築するという視点からは、改善するべき点と考えられます。
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