今月の栄養学の専門誌に,コーヒーの抗凝固作用を示したヒト臨床研究が,イタリアのグループから報告されていました。
(Br J Nutr. 2008 Dec;100(6):1276-82.)
これまでの疫学研究によって,コーヒーの摂取による心血管疾患リスクの低下が示されています。
作用機序として,コーヒー成分による,血栓症抑制作用,抗凝固作用が推察されます。
今回の研究では,コーヒー摂取による凝固系への影響を検討する目的で,健常者10名を対象に,180mgのカフェインを含む200mlのコーヒーを摂取,あるいは,180mgのカフェイン含有カプセルを200mlの水で摂取し,摂取前,30分後,60分後の血漿における血小板機能が測定されました。
その結果,コーヒー摂取による血小板凝集作用が認められたということです。
(コラーゲンおよびアラキドン酸誘導性の凝集。)
このとき,カフェイン含有カプセル摂取群では,血小板に対する作用は認められていません。
また,コーヒー摂取後,血小板中におけるフェノール酸やカフェ酸の値が有意に増加しています。(これらは,コーヒーの主成分です。)
一方,カフェインは血小板中には見出されていません。
以上のデータから,コーヒーによる抗凝固作用はカフェイン以外の主要成分による機序が考えられます。
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