今月の精神科学の専門ジャーナル(電子版)に、高齢者における血中ホモシステイン値と認知機能との関連を調べた臨床研究が、オーストラリアのグループから報告されていました。
(
J Affect Disord. 2013 Aug 5.)
ホモシステインは、メチオニンというアミノ酸の代謝過程で生じる中間代謝産物です。
(ホモシステイン自体は血中アミノ酸の1種です。)
ホモシステインは、血管内皮を障害することから、ホモシステインが高いと、動脈硬化性疾患のリスクが高くなることが知られています。
これまでの研究では、
高齢者において、
血中ホモシステイン高値とうつ病は、それぞれ認知機能障害のリスクとされています。
今回は、
うつ病を有する高齢者において、
血中ホモシステイン値と認知機能との関連が調べられました。
具体的には、
うつ病を有する高齢者358名(うち236名は重症うつ病患者)を対象に、
うつ病スコア(MADRS)、空腹時の血中ホモシステイン値、認知機能関連指標などが測定されています。
解析の結果、
重症うつ病およびホモシステイン高値は、
言語および視覚に関連する認知機能の悪化と有意な相関が認められました。
また、
うつ病ではない被験者で、ホモシステイン高値を示した被験者では、
ホモシステイン値が正常の群に比べて、
MMSEが低く(=認知機能低下)、
即時および遅延再生スコアが低い
という結果でした。
年齢や性別など各種交絡因子で補正後、
ホモシステイン高値と各種認知機能の低下との間に有意な関連が見出されています。
以上のデータから、
うつ病を有する高齢者において、
ホモシステイン値が高いと、認知機能の低下を生じるリスクが示唆されます。
ホモシステイン高値に対しては、
葉酸サプリメントが用いられます。
また、ビタミンB群の投与による認知機能低下抑制効果を示した臨床研究も知られています。
脳萎縮進行抑制効果を示した臨床研究
ビタミンB群投与による脳萎縮(灰白質萎縮)抑制効果と認知機能低下抑制効果
高用量のビタミンB群をDHCのサプリメントで摂るとすれば、
ベーシックサプリメントである
マルチビタミンに、
ビタミンBミックスと
葉酸を加えることができます。
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