サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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コエンザイムQ10による心不全治療効果:レビュー [2015年11月05日(木)]
循環器病学の専門ジャーナルに、コエンザイムQ10による心不全治療効果に関するレビューが、米国のグループから報告されていました。
(Open Heart. 2015 Oct 19;2(1):e000326.)



慢性心不全患者では、心不全の重症化とミトコンドリアのコエンザイムQ10量の減少との相関がみられます。

先行研究(ランダム化比較試験)では、

心不全に対するコエンザイムQ10投与により、

心機能(左室駆出率、1 回拍出量、心拍出量など)の改善が示されており、

副作用は認められていません。

また、
メタ解析でも、コエンザイムQ10による心不全の改善作用が示されており、

この作用は、ACE阻害剤との併用でも認められています。


さて、
今回のレビューでは、

多施設共同ランダム化偽薬対照試験のQ-SYMBIO試験において、

心不全をエンドポイントとした時のコエンザイムQ10の作用が検証されました。


具体的には、

被験者420名を対象に、

・コエンザイムQ10(1日あたり300mg分3)投与群

・偽薬投与群

の2群について、2年間のフォローアップが行われています。


解析の結果、

まず、短期間での心機能をエンドポイントとした評価では、

両群間に有意差は認められませんでした。



次に、

長期の主エンドポイントである主要な心血管イベントの発生率は、

コエンザイムQ10投与群では15%の発生、

偽薬投与群では26%の発生

でした。


心血管イベント発生リスクは、

偽薬群に比べて、

コエンザイムQ10投与群では、50%低下していたことになります。
(HR=0.50, CI 0.32 to 0.80, p=0.003)


副作用は認められず、高い許容性が示されたことから、

論文著者らは、

心不全における補完療法としてコエンザイムQ10の利用を考慮するべき、

と考察しています。


コエンザイムQ10は、抗酸化作用やATP産生作用を有する機能性成分で、体内でも産生されます。

しかし、加齢とともに内在性コエンザイムQ10は減少し、生活習慣病や慢性疾患でも低下がみられることから、アンチエイジング分野で広く摂取が推奨されているベーシックサプリメントです。


日本では、数十年前に、厚生省(当時)により、心不全の治療薬として認可されていますが、1日用量が30mgと少なく、
日本の臨床現場では、コエンザイムQ10は効果を実感しない、といった’風評被害’になっています。

一般に、
アンチエイジング・健康増進・疾病予防の目的では、1日あたり90mgから100mg前後、

また、心血管疾患や生活習慣病の治療(補完療法)目的では、
1日あたり200mg〜300mgといった用量となります。




コエンザイムQ10には、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)と還元型(=ユビキノール,ubiquinol)があります。



還元型CoQ10のほうが、酸化型CoQ10よりも体内で利用されやすいと考えられます。
(酸化型CoQ10は、体内に吸収された後、いったん還元されてから、利用されます。)


コエンザイムQ10に関するこれまでの研究の多くは、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)を用いています。


したがって、一般的には、生活習慣病の予防やアンチエイジング目的に関して、酸化型CoQ10のユビキノンの摂取で十分な効果が期待できます。


一方、特定の疾患に対して用いる場合、あるいは、体内の生理機能が低下している高齢者の場合には、還元型CoQ10の利用が推奨されます。



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