サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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ビーガン食による乳がんリスク低下効果 [2016年05月01日(日)]
東京に遊びに来ていたアメリカ人の友人夫妻が、ベジタリアンなので、都内のビーガン、ベジタリアンレストランをいくつか回りました。

仏教の精進料理から、マクロビオティック、台湾の素食などを試しました。



さて、本日の私的なお勉強日記です。

今月の栄養学の専門ジャーナルに、乳がんの低リスク群において、ビーガン食による乳がんリスク低下効果を示した臨床研究が、米国のグループ(Loma Linda University)から報告されていました。
(Br J Nutr. 2016 May;115(10):1790-7.)



米国人の女性では、

乳がんは、罹患率および死亡率がいずれも第2位であり、予防/リスク低減、再発予防に関する研究が進めされています。


日本人は、欧米人/白人に比べると、乳がんの罹患率は低いとされていますが、

日本の女性の乳がん粗罹患率,年齢調整罹患率は、いずれも1975年以降増加傾向が続いています。


2010年の乳がん(上皮内がんを含む)の粗罹患率は、他の癌種に比べ 最も高い(人口10万対115.7人)ことが知られています。

また、、年齢調整罹患率も、乳がんが最多です(人口10万対88.7人)。


年齢別にみると、女性の乳がん罹患率は、30歳代から増加し、

40歳代後半でピークに達し、

その後、ほぼ一定に推移、

60代後半から次第に減少します。



これまでの研究では、食事と乳がんリスクとの関連について、さまざまなデータが報告されています。

人種による差やエピジェネティックな変化など補正に限界のある交絡因子があるため、必ずしも一定の結果とはなっていません。



今回の研究では、

米国の女性において、

乳がん罹患率に対するベジタリアン食と非ベジタリアン食の相違が検証されました。

(アドベンティストヘルススタディ-2, AHS-2という研究の一環です。)


具体的には、

2002年から2007年に試験登録した96,001名を対象に、

食事調査が行われ、

ビーガン、ラクトオボベジタリアン、ペスコベジタリアン、セミベジタリアン、非ベジタリアンの分類され、

48州の米国がん登録データとの比較が行われています。


女性の参加者50,404名(うちベジタリアン26,193名)、

ベジタリアン群で478名の乳がんが見出されています。

全部のベジタリアン群と非ベジタリアンの比較では、

乳がん罹患率に有意差は認められませんでした。

(HR; 0.97; CI 0.84, 1.11; P=0.64)


次に、ベジタリアンの中での層別解析では、

ビーガン群では、

非ベジタリアン群に比べて、

一定した乳がん罹患率低下作用が見出されています。
(all cases: HR 0.78; CI 0.58, 1.05; P=0.09)


以上のデータから、

米国人女性において、

セミベジタリアンやペスコベジタリアン、ラクトオボベジタリアンを含む全体のベジタリアン群では、非ベジタリアン群と比べて乳がん罹患率に差は認められませんが、

ビーガン群では、罹患率の低下が示唆されます。



一般に、

植物性食品を中心とするベジタリアン食では、

抗酸化作用や抗炎症作用を含む機能性食品素材により、がんをはじめとする生活習慣病の予防効果が考えらます。


また、魚油に豊富なオメガ3系脂肪酸のEPAやDHAでは、抗炎症作用によるがんリスク低下作用が知られています。

実際、EPAによる乳がんリスク低下作用が知られています。



一方、赤身肉や加工肉の摂取が、がんリスクを高めることはコンセンサスが得られており、がん予防のために、赤身肉・加工肉の摂取を減らすことが推奨されています。


今回の研究のように、

ラクトオボベジタリアンやセミベジタリアンを含めての解析では、炭水化物や乳製品の摂取による影響があるため、ベジタリアン食による乳がんリスク低下作用が検出されなかったと考えられます。



乳がんリスクに有用な機能性食品に関する研究として、次の報告があります。


大豆の摂取が多いと乳がんリスクが低下@日本人女性


大豆イソフラボンによる乳がんリスク低下作用@アジア人


血中カロテノイドが高いと乳がんリスクが低い


オメガ3系必須脂肪酸(EPA/DHA)による乳がん予防効果


リコピンによる乳がん細胞増殖抑制作用


ビタミンB群摂取と乳がんリスクの低下



葉酸による乳がんの予後改善




抗酸化サプリメントの摂取と乳がんリスクとの関連




エクストラバージンオリーブオイルによるアロマターゼ阻害活性・乳がん抑制作用



クロレラによるQOL改善作用@乳がん患者



マルチビタミンミネラル利用者では浸潤性乳がんの死亡率が低い




マイタケによる乳がん細胞抑制作用




魚油による乳がんリスク低減効果



魚摂取による乳がんリスクの低下


転移性乳がん・進行性乳がんに対するウコン(クルクミン)の投与


アブラナ科の野菜と乳がんのリスク


高GI食・高GL食と乳がんの関係


葉酸が乳がんを抑制する


乳がんとカルシウム・ビタミンD摂取の関係



オリーブオレユロペンによる乳がん細胞抑制作用




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