ホモシステインは、タンパク質代謝に伴って生じるアミノ酸で、動脈硬化を惹起することが分かっています。
血中のホモシステインが高値であると、動脈硬化性疾患のリスクが高まります。
また、血中ホモシステインの高値と、脳萎縮との関連も示されています。
そのため、動脈硬化に関連する認知症やアルツハイマー型認知症の予防/リスク低減に対して、高ホモシステイン血症の対策が重要と考えられます。
具体的には、ビタミンB群の1種である葉酸の摂取により、高ホモシステイン血症の改善を介して、認知症予防効果が知られています。
(葉酸は、ホモシステインをメチオニンに代謝します。)
ホモシステインが脳機能を障害し、高ホモシステイン値が認知症のリスクとなるこれまでの研究をまとめてみました。
まず、ホモシステインの血中濃度は、加齢とともに上昇し、脳脊髄液中のタウタンパクリン酸化(P-tau, 181P)と正相関します。
(Obeid 2007)
(タウタンパクリン酸化は、アミロイドベータの蓄積ともにアルツハイマー病の病態です。)
また、
高ホモシステイン血症は、認知機能の低下と相関します。
例えば次の報告があります。
・オランダでの横断研究では、599名での解析にて、高ホモシステイン血症は、葉酸値の低下および認知機能の低下と有意な相関が示されました。
(Mooijaart)
・1991年と2002年のデータを比較したフラミンガム研究では、さまざまな交絡因子での補正後、60歳以上の年代において、ホモシステインの血中濃度と、認知機能との間に負の相関が認められました。
(Elias)
・60歳から90歳の1,033名を対象にしたオランダでの横断研究では、(ホモシステイン値に無関係に)血中葉酸値が高いと、認知機能が維持されている、という有意な相関が示されました。
(de Lau)
・55歳以上のアルツハイマー病患者164名と、対照群76名を比較した横断研究では、アルツハイマー病では、血中ホモシステインが高値であり、血中の葉酸値とビタミンB12が低値であるという相関が見いだされました。
(Clarke)
また、
高ホモシステイン血症が、アルツハイマー病の独立したリスクファクターであるという報告もあります。
・具体的には、
フラミンガム研究から1092名のデータ(男性425名、女性667名、平均年齢76歳)を対象に、8年間のフォローアップを行い、111名の認知症(うち83名がアルツハイマー病)を見出した研究では、認知症およびアルツハイマー病の発症にかかわる独立した強い危険因子であることが示されました。
(Seshadri S, NEJM)
・また、816名(男性382名、女性434名、平均年齢74歳)を対象にしたイタリアでのコホート研究では、4年間のフォローアップで、112名が認知症(うち70名がアルツハイマー病)と診断され、高ホモシステイン血症および血中葉酸の低値は、認知症およびアルツハイマー病の独立した危険因子であることが見いだされました。
(Ravaglia)
その他、日本では、葉酸の代謝に関与する遺伝子多型と、アルツハイマー病との相関が示されています。
具体的には、高齢者施設の52名(男性10名、女性42名、平均年齢87.9 ± 7.7歳)を対象に、MTHFR遺伝子変異を調べたところ、C677T多型のTT型が、アルツハイマー病患者にて有意に高い(患者群21.1% vs. 対照群15%)ことが見いだされており、MTHFR遺伝子のTT型では、1日当たり400マイクログラムの葉酸サプリメントの摂取を推奨しています。
(Kagawa 2008)
ホモシステインの高値が、認知症を生じる作用機序に関しては、次のように考えられています。
・グルタミン酸受容体の過興奮による神経細胞障害/細胞死が誘導される,
・血管内皮細胞の障害から細動脈硬化となり生じた無症候性ラクナ梗塞
(Garcia)
(*興奮性神経伝達の多くは、グルタミン酸がつかさどっており、興奮伝達が過剰になると、グルタミン酸受容体から細胞内にイオンが過剰に流入し、ニューロンを障害し、神経細胞死を引き起こします。例えば、脳梗塞や脳外傷、てんかんなどに伴う急性脳障害に働くメカニズムで、グルタミン酸受容体からのナトリウムイオンの急激な細胞内流入が原因とされます。このような、神経細胞の過剰興奮に起因する神経細胞死のことを興奮性細胞死と呼びます。)
その他、
血中の低葉酸値は、無症候性ラクナ梗塞により、大脳皮質の萎縮を生じるという報告、
(Snowdon)
血中ホモシステイン値が高値であると、海馬の萎縮を生じると報告があります。
(den Heijer)
さらに、
うつ病患者では、血中ホモシステインが高く、脳脊髄液中の葉酸が低値であること、
葉酸が低値であると、S-アデノシルメチオニンが減少し、メチル化反応の低下により、ノルアドレナリンからアドレナリンの産生減少からうつ状態を生じる、という報告もあります。
(Bottiglieri)
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