今月の栄養学の専門ジャーナルに、母親の豆乳あるいは紅茶のポリフェノールの多い飲料の摂取と、母乳中のイソフラボン量との関連を調べた予備的な臨床研究が、ドイツのグループ(Ernst-Moritz-Arndt University)から報告されていました。
(Ann Nutr Metab. 2017 Apr 8;70(2):147-153.)
さて、
今回の研究では、
授乳中の母親がポリフェノールの豊富な飲料として、豆乳あるいは紅茶(カフェイン抜きの紅茶)を摂取した際に、
母乳中のフラボノイド類、抗酸化物質への影響が検証されました。
具体的には、
健康な授乳婦を対象に、
・豆乳250mL(イソフラボン12mg含有)摂取群:18名、
・カフェインレスの紅茶300mL(カテキン67mg含有)摂取群:18名
・水300mL(対照)摂取群:8名
の3群について、
6日間の介入が行われ、
母乳中のフラボノイド含有量及び抗酸化能が測定されました。
解析の結果、
まず、
豆乳摂取群では、
母乳中のイソフラボン(ゲニステインとダイゼイン)量が、12 nmol/Lまで増加しました。
一方、
カフェインレスの紅茶摂取群では、
主なフラボノイド(カテキン、エピカテキンなど)は、母乳中には検出されませんでした。
その他、
総抗酸化能に関しては、両群とも母乳への影響は見いだされていません。
以上のデータから、
ポリフェノールの豊富な飲料としての豆乳と紅茶の摂取に関して、
母乳中への移行は、豆乳のほうが有意に高値であり、
4ヵ月の乳児の場合、1日当たり9.6 nmolのイソフラボン類の摂取に相当する、
と推計されています。
また、紅茶(カフェインレス)の摂取は、母乳中への移行は非常に低値であると考えられています。
今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。
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