今月の内分泌代謝学の専門ジャーナル(電子版)に、αリポ酸による内分泌代謝関連指標への作用が検証されました。
(Metabolism. 2018 Jul 7.)
αリポ酸は、抗酸化作用を有する機能性成分の一つで、体内ではミトコンドリアで産生されます。
サプリメントとしてのαリポ酸は、抗酸化作用を介した機能性が示されており、
ダイエット目的からアンチエイジングまで、広く利用されています。
特に、欧米の臨床試験では、糖尿病性神経障害に対する症状改善作用が報告されています。
先行研究では、次の報告があります。
αリポ酸による糖尿病性神経障害の症状改善:レビュー
αリポ酸による糖代謝改善・抗酸化能亢進作用@2型糖尿病
αリポ酸による抗肥満作用:メタ解析
・人工透析患者におけるαリポ酸の効果
オメガ3系必須脂肪酸とαリポ酸によるアルツハイマー病の進行抑制効果
さて、今回の系統的レビュー/メタ解析では、
メタボリック症候群において、
αリポ酸サプリメントによる糖代謝および脂質代謝指標への作用が検証されました。
具体的には、
主要医学データベースを用いて、
(MEDLINE, EMBASE, Web of Science and Cochrane Central Register of Controlled Trials)
2017年10月までに収載された関連論文が検索され、
24報が解析の対象となりました。
解析の結果、
メタボリック症候群患者において、
αリポ酸サプリメントの投与により、
空腹時血糖値の有意な低下、
(SMD -0.54; 95% CI, -0.89,-0.19; P = 0.003)
インスリン値の有意な低下、
(SMD -1.01; 95% CI, -1.70, -0.31; P = 0.006)
インスリン抵抗性(HOMA-IR)の有意な低下、
(SMD -0.76; 95% CI, -1.15,-0.36; P < 0.001)
HbA1cの有意な低下、
(SMD -1.22; 95% CI, -2.01,-0.44; P = 0.002)
中性脂肪値の有意な低下、
(SMD -0.58; 95% CI, -1.00, -0.16; P = 0.006),
総コレステロール値の有意な低下、
(SMD -0.64; 95% CI, -1.01, -0.27; P = 0.001),
LDLコレステロール値の有意な低下、
(SMD -0.44; 95% CI, -0.76, -0.11; P = 0.008)
が見出されたということです。
なお、
ALA(αリポ酸)投与によるHDLへの作用は有意差は見出されていません。
(SMD 0.57; 95% CI, -0.14, 1.29; P = 0.11)
以上の系統的レビュー/メタ解析から、
メタボリック症候群において、
αリポ酸サプリメント投与による内分泌代謝改善作用が示唆されます。
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