心身医学の専門ジャーナルに、認知症予防のための社会的ネットワークの重要性について、量と質を検証した疫学研究が、フランスのグループから報告されていました。
(Psychosom Med. 2010 Nov;72(9):905-11.)
認知症の予防のためには、食事、運動、社会参加が重要です。
社会参加については、
社会的孤立は認知症リスク
というメタ解析があります。
なお、
サプリメントでは、葉酸のエビデンスが確立しています。
米国では認知症が24%も減少:2000年と2012年の比較
葉酸サプリメントが軽度認知障害(MCI)を改善する
葉酸サプリメントによる認知機能改善効果
といった報告があります。
さて、
今回の研究では、
社会ネットワークと、
認知症・アルツハイマー病のリスクが検証されました。
具体的には、
フランスでのコホート研究として、
高齢者3,777名を対象に、
5年ごとに、最大15年間のフォローアップが行われ、
ソーシャルネットワークに関する質問票を記入し、試験開始時に認知症がなく、
2回以上のフォローアップを受けた2,089名が調べられました。
(Paquidコホート研究の一環です。)
試験開始時にて実施されたアンケートでは、
婚姻状況、絆の数、ソーシャルネットワークの性質、満足度、理解されている/誤解されているという認識、および関係の相互関係が調べられました。
解析の結果、
フォローアップ期間中、
認知症461例、
アルツハイマー病373例
が見出されました。
交絡因子で補正後の解析の結果、
まず、
満足度および理解されているという認識と、有意な相関が見出されました。
具体的には、
社会ネットワーク関係に満足していると感じている被験者では、
認知症リスクが23%低い、という有意な相関が認められました。
また、
生涯を通じて、
自らが与えたよりも、
より多くのサポートを受けてきたという被験者では、
認知症リスクが55%低下、
アルツハイマー病リスクが53%低下、
という有意な相関が見出されました。
以上のデータから、
認知症・アルツハイマー病の予防/リスク低減には、
充実した社会的関係性が大切であることが示唆されます。
健康寿命延伸のためには、認知症の予防が最も重要です。
また、フレイル対策では、身体的フレイルの他に、精神的フレイル(認知症やうつ)、社会的フレイル(孤立)が問題になります。
このうち、精神的フレイルである認知症は、社会的フレイルである孤立が一因となる、という研究です。
DHCでは、地方自治体との連携協定に基づく健康づくり施策の一環として、
社会参加を促す取り組みも行っています。
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DHCは、トータルヘルスケア企業として地方自治体と連携し、健康づくり事業に取り組んでいます。ふるさと納税にも協力し、地方創生を支援しています。
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