サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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還元型コエンザイムQ10が血管内皮機能を改善@慢性心不全患者 [2019年11月18日(月)]
今月の循環器学の専門ジャーナル(電子版)に、慢性心不全患者において、還元型コエンザイムQ10サプリメントによる血管内皮機能の改善作用を示した臨床研究が、横浜市立大学のグループから報告されていました。
(Am J Cardiovasc Drugs. 2019 Nov 12.)


血管内皮機能不全は、慢性心不全患者の予後不良と関連しています。

還元型コエンザイムQ10(ユビキノール)は、慢性心不全患者などの有病者における有用性が報告されています。

(その昔、日本で心不全治療薬としても認可されたコエンザイムQ10は、酸化型です。サプリメントでは、酸化型も還元型もあります。)

心疾患患者では、コエンザイムQ10は必須のサプリメントです。




さて、
今回の研究では、

駆出率の低下(HFrEF)を伴う心不全患者において、

ユビキノールサプリメントの投与による末梢血管内皮機能への作用が検証されました。


具体的には、

ランダム化二重盲検偽薬対照クロスオーバー法にて、

安定した状態のHFrEF患者14人を対象に、

ユビキノール400 mg /日
あるいは
偽薬のいずれかが3ヶ月間投与されています。

1ヶ月のwashoutでクロスオーバーが行われました。

各介入の前後で、

RHI(Reactive Hyperemia Inde, 反応性充血指数)にて、末梢血管内皮機能が評価され、

RHIの自然対数(LnRHI)で解析が行われています。



解析の結果、


LnRHIを指標とした末梢血管内皮機能は、

3ヶ月間のユビキノール(400 mg /日)により改善傾向が見出されました。
(p = 0.076)



また、

RHI値は、介入前に比べて、ユビキノール投与後で有意な改善を示しました。
(RHI 1.57前[四分位範囲(IQR)1.39-1.80]、RHI 1.74後[IQR 1.63-2.02]、p = 0.026)

一方、偽薬群では有意な変化は認められませんでした。
(RHI 1.67より前[IQR 1.53-1.85]、RHI 1.51より後[IQR 1.39-2.11]、p = 0.198)。


以上のデータから、

駆出率の低下した慢性心不全患者において、

ユビキノール(還元型コエンザイムQ10)400mgの投与による末梢血管内皮機能の改善作用が示唆されます。

今後、補完療法としての臨床的意義の検証が期待されます。





生活習慣病や慢性消耗性疾患の患者では、同年代の健常者に比べて、内在性コエンザイムQ10が減少していることも示唆されています。


サプリメントのコエンザイムQ10には、酸化型コエンザイムQ10であるユビキノンと、

還元型コエンザイムQ10のユビキノールの2種類があります。

酸化型CoQ10は、摂取後に体内で還元型に変換されて、作用します。




コエンザイムQ10には、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)と還元型(=ユビキノール,ubiquinol)があります。




還元型CoQ10のほうが、酸化型CoQ10よりも体内で利用されやすいと考えられます。
(酸化型CoQ10は、体内に吸収された後、いったん還元されてから、利用されます。)


コエンザイムQ10に関するこれまでの研究の多くは、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)を用いています。


したがって、一般的には、生活習慣病の予防やアンチエイジング目的に関して、酸化型CoQ10のユビキノンの摂取で十分な効果が期待できます。


一方、特定の疾患に対して用いる場合、あるいは、体内の生理機能が低下している高齢者の場合には、還元型CoQ10の利用が推奨されます。



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