栄養学の専門ジャーナルに、放射線療法を受けているがん患者での下痢の発生率に対するプロバイオティクス投与の効果を検証した系統的レビュー/メタ解析が報告されていました。
(Nutrients. 2019 Nov 27;11(12).)
これまでの系統的レビューにおいて、
放射線誘発性下痢(RID)に対するプロバイオティクスによる保護作用が示唆されています。
今回の系統的レビュー/メタ解析は、RIDに対するプロバイオティクス投与の有用性に関する検証のアップデートとして行われました。
主アウトカムは、
RIDの発生率、
副アウトカムは、
水様便、軟便の発生率、および止瀉薬服用率でした。
8報から、1,116名の被験者データが解析の対象となりました。
メタ解析の結果、
偽薬群に比べて、
プロバイオティクス投与群では
RIDのリスクが38%有意に低いという相関が見出されました。
(RR= 0.62, 95%CI = 0.46、0.83)
また、異質性を調整した解析でも、この有益性は確認されました。
次に、
サブ解析では、
放射線療法と化学療法の両方を受けている患者群では、
RIDの発生率は48%の低下傾向でした(有意差ナシ)。
(RR = 0.52、95%CI = 0.14、1.91)
一方、
放射線療法(RT)のみを受けている患者群は、
39%の有意なリスク低下が見出されました。
(RR = 0.61、95%CI = 0.48、0.78)
さらに、
プロバイオティクス投与群では、
止瀉薬の利用が46%有意に低いという相関が見出されました。
(RR = 0.54、95%CI = 0.35、0.84)
なお、軟便および水様便の発生率での有意差は検出されませんでした。
以上、今回の系統的レビュー/メタ解析から、
放射線療法を受けているがん患者において、
プロバイオティクスの投与による放射線誘発性下痢(RID)リスク低下作用が示唆されます。
DHCでは、次のような関連製品があります。
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プロバイオティクス、シンバイオティクスには免疫調節作用などもあります。
プロバイオティクス・シンバイオティクスが手術部位感染を予防:メタ解析
乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクスは、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスを改善し、免疫調節作用や生活習慣病予防効果を示します。
乳酸菌は、ベーシックなサプリメントとして利用が推奨されます。
様々な乳酸菌が製品化されていますので、自分にあった菌種を選ぶことが大切です。
具体的には、1ヶ月ほど試してみて、整腸作用も含めて体調をみるようにします。
(整腸作用は、乳酸菌の摂取後数日間の間に変化を感じると思います。もし、軟便あるいは下痢傾向になってしまうのであれば、他の菌種に変更します。
また、1-3ヶ月から数ヶ月間のサイクルで菌種をローテーションしてもいいでしょうし、複数の種類を同時にとることも大丈夫です。
ヨーグルトなどの発酵食品でもいいのですが、数百グラムを毎日食べるのは大変ですし、
確実に乳酸菌を摂るには、サプリメントの利用が手軽で続けやすいと思います。
プロバイオティクスは、様々な有用性が示されています。
最近の研究では、次の報告があります。
プロバイオティクスによる脂質異常症改善効果:メタ解析
プロバイオティクスによるアトピー性皮膚炎の予防効果:メタ解析
プロバイオティクス摂取による脂質代謝改善作用:メタ解析
腸内環境を整える減量方法:メタ解析
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