今月の臨床医学研究の専門ジャーナルに、パーキンソン病の患者でのサプリメント利用状況を調べた研究が、米国のグループ(University of Alabama)から報告されていました。
(South Med J. 2019 Dec;112(12):621-625.)
パーキンソン病の患者ではミトコンドリア機能の異常が認められます。
また、米国で行われた予備的な臨床研究では、
コエンザイムQ10の高用量投与により、パーキンソン病患者での症状改善が示唆されています。
還元型コエンザイムQ10によるパーキンソン病の症状改善効果
パーキンソン病患者では、補完療法として、サプリメントが広く利用されていると考えられます。
そこで、今回の研究では、
横断研究として、
パーキンソン病患者におけるサプリメントの利用状況が調べられました。
解析の結果、
回答者205名のうち、
83.4%名が何らかのサプリメントを摂っていました。
94種類の異なるサプリメント製品が報告され、
半数以上が摂っていたサプリメントは、
マルチビタミン、
ビタミンD、
ビタミンB12
でした。
(それぞれ52.6%, 74.3%, 56.1%)
また、
コエンザイムQ10、
ムクナ(Mucuna pruriens)、
葉酸、
ビタミンB12、
ビタミンB6、
メラトニン、
N-アセチルシステインといったサプリメントも広く利用されていました。
なお、
サプリメントのユーザーのうち、
29.2%はサプリメントの使用について医療従事者と話し合っていませんでした。
以上のデータから、
パーキンソン病患者では、広くさまざまなサプリメントが利用されていることが示唆されます。
今後、適正使用の推進の視点から、
サプリメントの臨床的意義を理解している医療者から患者への啓発が求められます。
パーキンソン病は、難治性の神経変性疾患ですので、サプリメント・機能性食品素材は、補完療法としての意義を考えて利用することになります。
先行研究では、次の報告があります。
還元型コエンザイムQ10によるパーキンソン病の症状改善効果
パーキンソン病患者におけるオメガ3系脂肪酸とビタミンEの抗炎症作用
高用量コエンザイムQ10によるパーキンソン病に対する効果
コエンザイムQ10+クレアチンによるパーキンソン病での認知機能障害抑制作用
オメガ3系脂肪酸による抗うつ作用・抗不安作用@パーキンソン病
コエンザイムQ10には、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)と還元型(=ユビキノール,ubiquinol)があります。
還元型CoQ10のほうが、酸化型CoQ10よりも体内で利用されやすいと考えられます。
(酸化型CoQ10は、体内に吸収された後、いったん還元されてから、利用されます。)
コエンザイムQ10に関するこれまでの研究の多くは、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)を用いています。
したがって、一般的には、生活習慣病の予防やアンチエイジング目的に関して、
酸化型CoQ10のユビキノンの摂取で十分な効果が期待できます。
一方、特定の疾患に対して用いる場合、あるいは、体内の生理機能が低下している高齢者の場合には、
還元型CoQ10の利用が推奨されます。
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