今月の治療管理学の専門ジャーナルに、乳がん女性において、VEGF(血管内皮成長因子)、IL‐6およびIL-8に対するコエンザイムQ10サプリメントの有用性を示した臨床研究が、イランのグループ(Ahvaz Jundishapur University of Medical Sciences)から報告されていました。
(Ther Clin Risk Manag. 2019 Dec 4;15:1403-1410.)
コエンザイムQ10は、抗酸化作用を有する脂溶性ビタミン様物質です。
今回の研究では、
タモキシフェンによる化学療法を受けている乳がん患者において、
コエンザイムQ10(CoQ10)サプリメントによる炎症マーカーへの作用が検証されました。
具体的には、
二重盲検偽薬対照試験として、
タモキシフェン治療を受けている30人の乳がん患者と
29人の健康な被験者が無作為に4群に分けられ、
100mgのコエンザイムQ10サプリメント投与群、
偽薬投与群について、
2ヶ月間の介入が行われ、
介入の前後で、
IL-6、IL-8、VEGFが測定されました。
59名のデータが解析されました。
解析の結果、
コエンザイムQ10サプリメント投与群では、
偽薬投与群に比べて、
IL-8およびIL-6の血中濃度の有意な低下を示しました。(P <0.05)。
また、VEGF値では低下傾向が見出されました。
コエンザイムQ10サプリメント投与群では、
対照群に比べて、
サイトカイン類の有意な減少が認められています。
以上のデータから、
タモキシフェン治療中の乳がん患者において、
コエンザイムQ10サプリメント(100mg)の投与により、
炎症性サイトカイン類の低下作用が示唆されます。
今後、臨床的意義の検証が期待されます。
コエンザイムQ10には、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)と還元型(=ユビキノール,ubiquinol)があります。
還元型CoQ10のほうが、酸化型CoQ10よりも体内で利用されやすいと考えられます。
(酸化型CoQ10は、体内に吸収された後、いったん還元されてから、利用されます。)
コエンザイムQ10に関するこれまでの研究の多くは、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)を用いています。
したがって、一般的には、生活習慣病の予防やアンチエイジング目的に関して、
酸化型CoQ10のユビキノンの摂取で十分な効果が期待できます。
一方、特定の疾患に対して用いる場合、あるいは、体内の生理機能が低下している高齢者の場合には、
還元型CoQ10の利用が推奨されます。
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