今月の内分泌学の専門ジャーナル(電子版)に、肥満者におけるビタミンD3サプリメント投与と血中ビタミンD値との関連を調べた臨床研究が、米国のグループ(University of Nebraska Medical Center)から報告されていました。
(
J Clin Endocrinol Metab. 2013 Sep 13.)
ビタミンDには免疫調節作用や抗がん作用があることから、
アンチエイジング医学の分野では、ベーシックなサプリメントとして、一日あたり1,000 IUから2,000 IUのサプリメント摂取が推奨されています。
一般に、肥満者では、非肥満者に比べて、ビタミンDの必要量が2倍から3倍であり、ビタミンD欠乏になりやすいとされています。
しかし、肥満者におけるビタミンDサプリメントの用量依存性を検討した研究は多くはありません。
そこで、今回の研究では、
肥満者におけるビタミンD3サプリメントの漸増投与による血中ビタミンD値への影響が調べられました。
具体的には、
肥満者67名を対象に、
冬期の21週間に、
ビタミンD3を1日あたり1,000 IU, 5,000 IU, 10,000 IUの用量で投与が行われています。
血中25(OH)D値が投与前後で測定されました。
解析の結果、
21週後の時点で、
血中25(OH)D値の上昇幅は、
1,000 IU/日の群では12.4 (SD 9.7) ng/ml、
5,000 IU/日の群では27.8 (SD10.2) ng/mL、
10,000 IU/日の群では48.1(SD 19.6) ng/ml
でした。
計算上の定常増加幅は、それぞれ
20.6 (SD 17.1) ng/ml, 35.2 (SD 14.6) ng/ml, 51.3 (SD 22.0) ng/ml
でした。
この時、
高カルシウム尿症や高カルシウム血症は認められませんでした。
以上のデータから、
肥満者におけるビタミンD3サプリメント投与への反応は、用量依存的であり、
血中25(OH)D値を1 ng/ml増加させるのに対して、
体重1kgあたり2.5 IUのビタミンD3サプリメントの投与が相当すると推定されます。
近年、ビタミンDは、骨の健康維持だけではなく、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な効果が示されています。
一般に、
健康保持や疾病予防の目的で利用されるビタミンD3サプリメントの摂取量は、
1日あたり
25マイクログラム(1,000IU)から50マイクログラム(2,000IU)です。
ビタミンDは、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な作用を有する脂溶性ビタミンの1種です。
多くの生活習慣病や慢性疾患、難治性疾患の患者群において、ビタミンD低値が示されており、ビタミンDサプリメントの臨床的意義が注目されています。
日本からの報告では、
ビタミンDサプリメントのインフルエンザ予防効果
が知られています。
また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000〜2,000
IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)
今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。
日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。
たとえば、
日本人妊婦の90%がビタミンD不足、
血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い
というデータがあります。
DHCでは、
ビタミンD3サプリメントを製品化しています。
ビタミンDサプリメントに対する効果には個人差がありますが、
臨床的には、ビタミンDサプリメントを1,000 IU/日の用量で投与すると、血中25ヒドロキシビタミンD値が10ng/mL増加する、
という報告もあります。
マルチビタミンのビタミンDはRDAのための設定ですので、別途、ビタミンDサプリメントの利用となります。
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