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命日 [2008年05月24日(土)]
日付が変わった。
1年前の今頃も、まだ起きていた。
大学病院の個室、意識のない母の枕元で、柳美里さんの絵本『月へのぼったケンタロウくん』を、小声で読んでいた。
モニター画面の点滅と、かすかな電子音が、とても邪魔だった。
母の命が機械を動かしているのか、機械が母を生かしているのか、わからなくて、苛立った。

早朝6時頃、ご家族の皆さんを呼んでください、と主任看護師さんに言われて、家に電話をかけた。
途切れ途切れに乱れる母の心臓の鼓動が何を意味しているのか、素人にもわかった。

もうすぐ、お父さんもおばあちゃんも来るから、さ、もう少しだけ、待っててあげな・・・

母の耳元でそう言うと、意識のないはずの母が、あぁ・・・と、かすれた声で答えた。
もしかしたら、もしかしたら、奇跡が起きないか?
そんなことを、つい思った。
6時18分、母の鼓動は止まった。
父たちは、間に合わなかった。

人工呼吸器、酸素吸入器、心電図モニター、導尿カテーテル、点滴・・・体じゅうに絡みつくコードとチューブ。
まるで実験途中の人造人間のような姿で、・・・自然のままで静かに、という、母の、そして私の、せめてもの望みからいちばん遠い姿で、逝かせることになってしまった。
どこから、何が間違っていたとは言えない、緊急対応策の結果だったけれど。

その3日前の深夜、意識があった最後の夜に、母はなけなしの力を振り絞って私の髪を握りしめて、「ころして」と言った。
「もう、いいから、おねがい、ころして・・・」
刑事ドラマが好きな私をからかうように、歪んだ笑顔で、
「ねえ、けんじゅう、もってないの?」
と訊いた。

逆の立場なら、きっと私も、いちばん傍にいるひとに、同じことを懇願したに違いない。
叶えてあげられなかった結果が、この、人造人間の姿だった。

いつ、何を、どうすればよかったのだろう。
何が正解だったのだろう。
今でもわからない。


・・・犬の寝息が続いている。
すぅー、すぅー、と、人間の幼児のように、お腹丸出しで、のびきって眠っている。
ママは、アンタをおいて、どこへも行かないよ。
犬の寝息に呼吸を合わせながら、朝までのカウントダウンが続く。
この記事のURL
http://www.dhcblog.com/nekohime/archive/75
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コメント
なにが 正解だったんだろう…


でも、奇跡を信じて
そして、とにかく生きていて欲しいという想いは
どうすることも、できないものね。

でも、お母さんのことを想うと
どうしようもなく 揺れるよね。

お母さんの気持ち
ムスメの気持ち



ステキな お母さんでした。
もう一度、お話ししたかった。

その分、ステキな娘と
これからを、大切にしたいと思います。





あなたは、

立派だったよ。
がんばったよ。
十分、やったよ。

あたしなんかが、言うことじゃないけど
それだけは、伝えたいと思います。
Posted by:あゆぼう♪  at 2008年05月24日(土) 19:31