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犬の眸 [2008年09月19日(金)]
大阪府内の山中にある、犬猫のシェルター施設の見学に行ってきた。
犬つながりのご近所さんとの協力体制で関わり合いになった、2頭の捨て犬を、預かってもらえる可能性が出てきたからだ

先月下旬、近くの河川敷で、骨と皮ばかりに痩せこけてさまよっていた。
おそらく、兄妹だろう。
思わず目をそむけたくなるほど、すべての足の裏の肉球がぼろぼろに傷付き、震えながら立ってよたよた歩くのがやっと、という有様だった。



ベージュ色が男の子、仮名・ダイ。
褐色の方が女の子、仮名・チロ。

獣医さんに診てもらったところ、年齢は2〜3歳。
なりは大きい(がりがりに痩せていても20kgはあった・・・)けれど、性格はとても優しく、ひとなつっこい子たちだ。

警察と保健所には、翌日すぐに届出を出したが(いちばんラッキーなケースとしては、捨て犬ではなく迷い犬で、飼い主が心配して捜索願を出しているという可能性がある)、何日たっても、どちらからも折り返し連絡はなかった。

予想通りではあったけれど、やはり行き場のない捨て犬だ、ということがはっきりした。


動物病院で高栄養療法食の缶詰を買ってきたり、頻繁に様子を見に行ったり、散歩だゴハンだトイレだ寝場所だと、おせっかい4人衆が世話を焼いているうち、さすがは犬、めきめきと快復をとげ・・・

今、2頭は、訓練所にいる。
仮住まいと、基本的なしつけを兼ねて

犬は、情が深い動物だから、褒め育てで伸びるんだって(笑)
怒鳴ったり、威圧したり、暴力なんてもってのほか。
ひとの言うことを聞いて、ひとを喜ばせることが“嬉しい”と思わせることが何より大切

純血種の子犬ならともかく、なんせ、雑種だから。
なんせ、でっかい成犬だから。
それでもって、オイデもマッテもダメも意味がわからず、散歩に出れば気の向くままにひとを引っ張り回し、見知らぬものに吠えまくる・・・では、新しい飼い主さんを見つけるのは難しいからね。

そう・・・
私を含め、この兄妹犬に関わり合った4人は、すでに犬や猫を飼っていて、この子たちをずっと手元に置きつづけることは難しい・・・

おおまかな経緯を知っている友人の一人が、
「私は、関わり合ってもどうすることもできないから、初めから関わらない、見ても何も感じないようにしてる」
と言った。
「助けるのは、人間の一方的な感情」
だとも。
その感覚は、よくわかる。
私が、世界各地の、戦禍や地雷や災害や飢餓や貧困に苦しむひとたちに対して抱く感情と、とてもよく似ている。
そういうテーマを扱ったドキュメンタリー番組は極力見ないし、見ていても感情移入はしない。
番組のゲストのタレントさんたちが全員、目をうるませていても、私は泣いたことがない。
その現実を痛ましいと思わないわけではないし、一日も早い問題の解決を願いはするけれど、実際、私にはどうすることもできない、別世界のできごとだと割り切っているからだろう。

では、どうして犬に対してはそういう割り切り方ができないか、といえば、理由は単純。
人間に対してよりも、犬に対して抱く、愛おしさや親しみや恩義や償いの気持ちが、比べものにならないほど深いからだ。
幼い頃からずっと、私の命を支えてくれていたのは、人間の言葉や理屈や常識や善悪ではなく、言葉をもたない犬たちの眼差しだったからだ。
人間のそれとは色も形もまるで違う、犬の眸。
敵意も嘲笑も、哀れみも媚もない、まっすぐな視線は、私の憧れでさえあった。
その眸の前でだけ、自分が生きているという事実を受け入れられる気がした。
16年、傍にいてくれた愛犬と、近所の犬たちの存在は、私の唯一の親友であり、拠り所であると同時に、免罪符だった。

――生きていても、いいですか?

飼い主に捨てられて、さまよって保護された犬は、そう問いかけるような目をしている。
胸がしめつけられる。
かつて支えてもらった恩義を、目の前にいる不安げな眸に、返したいと願う。
おそらく、一生かかっても、返しきれるものではないのだけれど。

それに、犬は野生動物ではないのだから。
飼育放棄という、どこかの無責任な人間がしでかしたことの結果は、その後、関わり合いになった人間が、できうる限りの形で償わなければならないことだと思っている。

シェルターに預けるといっても、それで御役御免、というわけにはいかない。
信頼できる新しい飼い主さんに出会って、その家の子になるまでは、経済的支援は欠かせない。
お金で何とかなることがらの、あまりの少なさに愕然とする。

ダイ・・・
チロ・・・

愛情とか、同情とか、犬好きだからとか、そんなキレイなものではなくて・・・

贖罪が天に通じますようにと願う・・・
この記事のURL
http://www.dhcblog.com/nekohime/archive/90
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