増える自殺者の数 [2008年07月20日(日)]
山梨県は昨年、自殺率(人口10万人当たりの自殺者数)が最も高かった。
富士山の北西部に広がる「青木ケ原樹海」で自殺する県外者が多いからだ。
なぜ樹海なのかを探ると、原生林の中を最期の場所を求めてさまよい歩く人たちの
「逡巡(しゅんじゅん)」の時間に自殺防止の可能性があると知った。
樹海に入って2週間、入沢勇さん(45)=仮名=は凍傷による足の壊死(えし)で
とうとう歩けなくなった。
昨年11月25日夜、氷点下の闇の中で決心がついた。
「ここで死のう」。下着1枚になり持っていたペットボトルの水を頭から浴びると、
カラスの鳴き声が聞こえた。
「お迎えが来たかな」。安堵(あんど)のため息が自然と出た。
千葉市でトラック運転手をしていた05年5月、心筋梗塞(こうそく)で倒れた。
2週間で退院したが、激務の仕事には復帰できず約2年後に解雇された。
再就職先も見つからず、
信販会社から150万円を借金して生活費に充てたが、底をついた。
独身で1人暮らし。「潮時かな」。故郷の名古屋を約40年ぶりに訪ねた。
幼少期に行った名古屋城を見て、気持ちが固まった。
「誰にも迷惑をかけず、簡単に死ねる」。テレビで見た樹海を選んだ。
所持品はロープなどを入れたスポーツバッグ一つ。
免許証など身元が分かるものは処分した。
だが、「簡単」ではなかった。首をつるのに適した木が見つからない。
犬の遠ぼえも聞こえる。「食われて死ぬのだけは嫌だ」と木の棒を抱えて寝た。
夜間は氷点下3〜8度。
方法を変えて凍死しようと決めた時、「名古屋で仕事が見つかった」とうそを言って
別れた千葉の友人らの顔が次々に浮かんだ。
寒さで震えが止まらないまま、丸まった状態で朝を迎え、観光客に発見された。
3000ヘクタール以上が緑で覆われる樹海は、全域が富士箱根伊豆国立公園に
指定された観光地だ。
しかし、管轄する県警富士吉田署によると、03〜07年に発見された変死体は
年平均90体。
身元不明者は6割以上。
07年中に自殺をしようとして保護された126人のうち、95%以上は県外者だった。
自殺が増えたのは、松本清張の小説「波の塔」が発表された1960年ごろという。
主人公の女性が、死ぬ場所として樹海に入る場面が登場。
74年4月には、若い女性が「波の塔」が収められた
本を枕に死んでいるのが見つかっている。
ある意味「美化」されがちな樹海自殺だが、実態を知る人ほど否定的だ。
樹海近くの山梨県山中湖村に住み、自殺者の心情などに迫った
「青木ケ原樹海を科学する」を出版したミステリー作家の早野梓さん(62)は、
25年にわたり樹海を散策してきた。
これまで100体以上の変死体を発見、自殺を考えて訪れた人にも300人近く会い、
話を聞いた。
早野さん自身、うつ病で自殺が頭をよぎったこともある。
思いとどまったのは樹海で見つけた遺体。
見るに堪えない状態を思い浮かべ、「自殺だけはしたくない」と思ったからだ。
市民団体「全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会」(事務局・東京)は昨夏、
樹海に相談を呼びかける看板を設置した。
吉田豊樹事務局次長は「飛び降りなどに比べ、樹海を訪れる人は
借金などの悩みから逃げたいが、まだ生きたいと迷いを抱えている人が
多いのではないか」と考える。
それは早野さんの実感とも重なる。
「樹海で自殺しようとする人に声を掛けると安心した表情を浮かべる」というのだ。
必要なのは、パトロールの強化や樹海内の清掃など、自殺への最後の一歩を踏み出しにくい環境作りだと言う。
樹海から生還した入沢さんは、凍傷の治療を「ホームレス」を理由に
東京都内の4病院に断られた。
そんな時に協議会を知り、病院を紹介してもらった。
今は、自らの樹海体験を語ることもある。
だが、胸の内は複雑だ。「人に『自殺するな』なんて言えない。責任が取れない」。
定職に就いて自由に生きたいと思っても、持病があり特技や資格も持たない身では、
今後の人生に光を見いだせない。
これまでの人生で知ったことだ。
自殺を踏みとどまった後、生き抜いてもらうために何をなすべきか。
大きな課題がまだある。
「できれば生きたいよ。でも、自分を受け入れてくれる場所は
日本にない」と入沢さん。
そして、少し間を置いて言った。「心はまだ樹海の中だよ」
(毎日新聞・・小林悠太著より)
富士山の北西部に広がる「青木ケ原樹海」で自殺する県外者が多いからだ。
なぜ樹海なのかを探ると、原生林の中を最期の場所を求めてさまよい歩く人たちの
「逡巡(しゅんじゅん)」の時間に自殺防止の可能性があると知った。
樹海に入って2週間、入沢勇さん(45)=仮名=は凍傷による足の壊死(えし)で
とうとう歩けなくなった。
昨年11月25日夜、氷点下の闇の中で決心がついた。
「ここで死のう」。下着1枚になり持っていたペットボトルの水を頭から浴びると、
カラスの鳴き声が聞こえた。
「お迎えが来たかな」。安堵(あんど)のため息が自然と出た。
千葉市でトラック運転手をしていた05年5月、心筋梗塞(こうそく)で倒れた。
2週間で退院したが、激務の仕事には復帰できず約2年後に解雇された。
再就職先も見つからず、
信販会社から150万円を借金して生活費に充てたが、底をついた。
独身で1人暮らし。「潮時かな」。故郷の名古屋を約40年ぶりに訪ねた。
幼少期に行った名古屋城を見て、気持ちが固まった。
「誰にも迷惑をかけず、簡単に死ねる」。テレビで見た樹海を選んだ。
所持品はロープなどを入れたスポーツバッグ一つ。
免許証など身元が分かるものは処分した。
だが、「簡単」ではなかった。首をつるのに適した木が見つからない。
犬の遠ぼえも聞こえる。「食われて死ぬのだけは嫌だ」と木の棒を抱えて寝た。
夜間は氷点下3〜8度。
方法を変えて凍死しようと決めた時、「名古屋で仕事が見つかった」とうそを言って
別れた千葉の友人らの顔が次々に浮かんだ。
寒さで震えが止まらないまま、丸まった状態で朝を迎え、観光客に発見された。
3000ヘクタール以上が緑で覆われる樹海は、全域が富士箱根伊豆国立公園に
指定された観光地だ。
しかし、管轄する県警富士吉田署によると、03〜07年に発見された変死体は
年平均90体。
身元不明者は6割以上。
07年中に自殺をしようとして保護された126人のうち、95%以上は県外者だった。
自殺が増えたのは、松本清張の小説「波の塔」が発表された1960年ごろという。
主人公の女性が、死ぬ場所として樹海に入る場面が登場。
74年4月には、若い女性が「波の塔」が収められた
本を枕に死んでいるのが見つかっている。
ある意味「美化」されがちな樹海自殺だが、実態を知る人ほど否定的だ。
樹海近くの山梨県山中湖村に住み、自殺者の心情などに迫った
「青木ケ原樹海を科学する」を出版したミステリー作家の早野梓さん(62)は、
25年にわたり樹海を散策してきた。
これまで100体以上の変死体を発見、自殺を考えて訪れた人にも300人近く会い、
話を聞いた。
早野さん自身、うつ病で自殺が頭をよぎったこともある。
思いとどまったのは樹海で見つけた遺体。
見るに堪えない状態を思い浮かべ、「自殺だけはしたくない」と思ったからだ。
市民団体「全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会」(事務局・東京)は昨夏、
樹海に相談を呼びかける看板を設置した。
吉田豊樹事務局次長は「飛び降りなどに比べ、樹海を訪れる人は
借金などの悩みから逃げたいが、まだ生きたいと迷いを抱えている人が
多いのではないか」と考える。
それは早野さんの実感とも重なる。
「樹海で自殺しようとする人に声を掛けると安心した表情を浮かべる」というのだ。
必要なのは、パトロールの強化や樹海内の清掃など、自殺への最後の一歩を踏み出しにくい環境作りだと言う。
樹海から生還した入沢さんは、凍傷の治療を「ホームレス」を理由に
東京都内の4病院に断られた。
そんな時に協議会を知り、病院を紹介してもらった。
今は、自らの樹海体験を語ることもある。
だが、胸の内は複雑だ。「人に『自殺するな』なんて言えない。責任が取れない」。
定職に就いて自由に生きたいと思っても、持病があり特技や資格も持たない身では、
今後の人生に光を見いだせない。
これまでの人生で知ったことだ。
自殺を踏みとどまった後、生き抜いてもらうために何をなすべきか。
大きな課題がまだある。
「できれば生きたいよ。でも、自分を受け入れてくれる場所は
日本にない」と入沢さん。
そして、少し間を置いて言った。「心はまだ樹海の中だよ」
(毎日新聞・・小林悠太著より)





URL http://www.dhcblog.com/saharasiro/tb_ping/141
こんにちは
初めまして
全くですね、ただ数が交通事故死よりも
はるかに多いいのには驚きました、
借金が多いいようですが、全く残念ですね。
これからもよろしくです
自分で死のうと思っている人は
はっきり言って馬鹿です
せっかく命を与えてもらったのに自分でそれを切り落とすんですよ
生まれる前に死んでしまう人たちもいるのに
失礼ですよね
生まれてきたからには自分で良い人生だったと言えるようにしていかなければ