陣痛が弱まる数秒を見計らってベッドから立ち、
また痛みと戦う。
助産師さん2人に両脇から抱えてもらい、
痛みと痛みの間に1歩1歩分娩室へ足を進める・・・
ようやく分娩室にたどりついたと思ったら
今度は高さ1mほどの分娩台。
これがまた恐ろしく高く思えました。
もちろん、踏み台は置いてあるので普段なら
ヒョイ
と軽々と乗れてしまうほどの高さ。
体を動かすたびに激痛が・・・。
小さな踏み台に足をかけるのでさえ、必死。
あのときの1歩をもう一度するか、富士山に登るか
どっちか選べと言われたら、迷わず
富士登山
を選びます
やっとの思いで無事分娩台に到着
すると、ちょっと一安心したのか 周りの光景がよく見えました。
なぜかスタッフ、みんな小走り・・・
そうなんです
どうやら、タッチの差で私より先に無事出産した妊婦さんの後、
スタッフは大慌てで私の分娩のスタンバイをしてくれていたのです!
手術衣のヒモを結びながら陣痛室に入ってくる人、
台の上にシートを広げる人、いろんな器具を整える人、
大慌てでたくさんの人たちが私達の赤ちゃんの為に
準備をしてくれていました。
たくさんの人達にさしのべてもらって
新しい命が誕生しようとしている・・・。
「がんばろう・・・」
さらにそう思いました。
ようやく準備が整い
「さあ、頑張ろうか!」
・・・とスタンバイしたのは男の先生。
「誰?!」
私が通院していたのは女医さんで有名な産院。
その女医さんではなく、初めて見る人が立ってる!
しかも
「尾見としのり
そっくり〜!!!」
・・・と妙に冷静な私(笑)
そりゃ、365日院長先生が分娩に立ち会えるわけないですよね。
週に2日は非常勤の先生がおられるそうです。
後で聞いたところ、大病院のおえらいさんだそうで
けっこう若そうに見えたんだけど。
後で旦那さまに「あの先生、尾見としのり そっくりやったなぁ!」
というと 「全然似てないでぇ〜
」
・・・どうやら、やっぱりあのときは意識朦朧としてたのかも。
・・・って、そんなことは置いといて。
先生の「頑張ろうか!」の声と同時に陣痛室内の電気が消え、
天上には満天の星空が出現しました
・・・そういえば、母親学級で分娩室を見学させてもらったときに
「分娩中はより、
リラックスしていただくために
室内を薄暗くして、天上に星空があらわれます。」
な〜んて言ってたな。
そのときは、「分娩中に星空なんて見る余裕ないだろ
」
と思ってましたが、案外 冷静に見てることもあるんですね。
旦那さまは私の右肩辺りのところで立っています。
「そのとき」が来たら、へその緒を切る気マンマンです
もうかれこれ1時間くらい、いきみたくてしょうがなかった私。
「これでやっと思う存分 いきめる〜
」
と思ったら 楽になりました。
おなか痛くてしょうがないのに、トイレがなくて
やっとの思いで公衆トイレをみつけて駆け込んだ感じ
(笑)
さあそれでは、さっき遠くで聞こえていたあの大合唱の始まりです
「大きく息吸って〜〜〜〜〜〜!
吐いて〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
もう一回吸って〜〜〜〜〜〜〜!
吐いて〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
今度は 大きく吸って吸って〜〜
ハイ、止めてっっっ」
そう、そう!この掛け声
待ってました
やっぱここが出産の一番の見せ場よね
・・・って、見世物ではありませんが
2時間サスペンスドラマでいうと10時40分、
水戸黄門でいえば印籠がでる直前ですよね
(笑)
分娩待ちしてただけに、すぐに頭が見えてきました。
「三十路ちゃん!赤ちゃんの頭見えてきたよ!
触ってごらん!」
直径5cmほど、頭が出ていたように思えます。
羊水にぬれて、ぬるっとしてるけど
とても柔らかくて、とても温かくて・・・
うっすらと髪の毛が生えていることもわかりました。
このとき、指先に感じた温かさは一生忘れません。
生命の息吹、力を感じた、今まで体験したことのない温かさでした。
もうすぐ 逢えるね・・・
前回「次回は必ず生まれます
」・・・と宣言したけど・・・
長くなったので「ついに生まれた!」は次回に持ち越します
重ね重ね スミマセン
頭の頂点だけ出たってことで許して
頭まで出ましたね(笑)
『もちろん歩いて』分娩室まで行くとこや
見たことない非常勤の先生だったとこが
私と同じで思い出して笑ってしまいましたよ。
でも私はさやぴ〜さんほど冷静に周りを見てなかったからすごいなぁって思いましたよ!
次回いよいよ誕生でしょうか??
わくわくします!