紹介してもらった香港の口腔外科医をW先生と表記することにします。
その4ではW先生の説明を『日本の先生のものとほぼ同じ』と記したのみでしたので、少し詳細を補足します。
W先生の説明によると、手術は奥歯の後ろの歯茎部分を切開、顎骨に穴をあけ中の病巣を掻き出すのですが、このとき病巣の巣食う位置によっては顎骨の中を通っている神経を傷つけてしまう可能性がある為、今回の手術によって40%の確率で唇等に麻痺が残り、10%以下の確率ですが、術中に顎骨が割れ足や腕の骨移植を必要とする場合があるとのことでした。
この手術を終えたら摘出部は組織検査され、病名診断をします。
W先生の説明では、考えられるのは『エナメル上皮腫(Ameloblastoma)』もしくは、歯が関連する嚢胞のいずれか。
エナメル上皮腫(Ameloblastoma)の場合はほぼ確実に再発が認められるため、いずれ顎骨を大きく切り出し骨移植を要するようになるかもしれないが、歯が嚢胞化した物ならば再発性は10%以下と低く、術後は心配要らないとのこと。
9月16日
手術日前日、日本から助っ人に来てくれた両親に子供たちを託し、パパといざ香港へ、ホテルで前泊。
何度か泊まった宿だったのですが、なぜかこの晩だけとても素敵なお部屋にアップグレードしてくれていて、束の間の素敵旅行気分を満喫できました。
9月17日
6amから絶食で入院は8am、手術は正午から開始と言われていました。
昨晩はホテルのルームサービスをがっついたら胃もたれし、早々に床に着いたところベッドが寝心地良すぎてぎりぎりまで10時間以上
ぐっすり眠れました。6時前に起きれたら水飲もうと思ってたのに。。。
チェックアウトしタクシーで病院へ。朝8時に入院しお部屋でパパとまったりおしゃべり。合間にお医者さん(W先生と麻酔科医)も挨拶に来ました。
昼12時すぎ、てくてくと歩いて手術室のフロアへ。パパとハグして入り口でお別れして、中に入りごろごろ動く車輪付きのベッドに横になります。いよいよです。
ベッドで温めたブランケットにくるまれたら、看護婦さんと子供の話をしながら、手術室まで廊下を運ばれて行きます。手術室では、既にW先生と麻酔の先生がにこにこ待っていました。(
マスクで目だけしか見えないけど)
ここまでで、わたしの名前と受ける手術内容を会う人ごとにおそらく四回は質問されその都度自分で説明しなければなりませんでした。確認の為なんでしょうね〜。
ベッドが手術台に横付けされ、『手術台に寝てね』と言われ、よっこらしょ、と乗り移ったら、ここでもブランケットでくるんでくれます。
まずは左の手の甲に点滴を、麻酔の先生が手際良く上手にしてくれました。
まるで看護婦さんや先生達が鳥のように私の上を忙しげに飛び交っている様子を見つつ、「はーい
リラックスするように酸素吸入しましょうね〜」と口に
マスクをかぶせられ、言われるままに呼吸することしばらく。
き、きたー!いよいよ寝ちゃうガスが出るんだわーー!!
と思ったら、全ての視界が見事にぐんにゃりと歪んでそこから記憶がありません。
とにかく、麻酔の先生が
「All especially for you!!」 と朗らかに繰り返し言ってくれていたのが耳に残っています。
つづく