ペロの思い出

いつもは食欲旺盛なペロが全然餌を食べません。寝転がってたかと思うと落ち着きなくそわそわして，その後何回も嘔吐。あわてて獣医に連れて行くと，その場で麻酔，手術となりました。手術が終わり，手術室に呼ばれた僕に獣医さんが見せてくれたものは血だらけの黒い塊。「これは卵巣だよ。理由は分からないけど，卵巣膿腫という病気だね。大きく膨らんでいるのは膿を持っているから。これが破裂したら命はなかったよ。危ないところだったね。」抜糸までしばらく入院になりました。獣医さんの話では，これでもう妊娠することもないそうです。安心できることはできるけど，傷をなめているペロを見ているとやっぱり可愛そうです。早く帰っておいで。帰ってきたら，プレミアム缶詰と僕の味噌汁用の煮干をおごってあげるよ。

今まで男だか女だか分からなかったけど，発情してペロは雌ということが分かりました。何しろこちらにお尻を向けて，後ろ向きで突進して来るのです。もうびっくりで，部屋中逃げ回ってました。でも何日かするとまた大人しくなって，元のマイペースに戻るのです。外に出ても近所の猫たちとニャーニャーうるさくて，なかなか眠れませんでした。これで子供でも出来て，増殖しまくったらどうしようと，恐怖の日々でした。

ペロの方はすっかり元気になり，お気楽なもので，風呂には勝手に入る，僕の布団で勝手に寝る，気が向くと外で虫取りをして頼んでないのに届けに来る・・・友達が遊びに来ると爪を出して流血騒ぎ。他人にはやたら凶暴で困りました。毛が生え変わるので部屋中毛だらけ，掃除も大変です。でも，今までないくらい癒されている自分に気が付きました。

猫を飼うのは初めてなので，本当に大変でした。餌はどうするの？トイレットトレーニングは？散歩って必要なの？夜はどこで寝るの？お風呂は入れた方がいいの？予防接種は・・・？ホームセンターのペットコーナーと近所の獣医さんの所に通う毎日。特に，トイレと爪とぎはもう大変。毎日が格闘技状態でした。でも，何故かとても充実していて幸せなのです。

２００１年３月のある寒い夜，僕の車の下でうずくまっていた真っ白な仔猫を見つけました。とても弱っていて動けない様子だったので，そのまま獣医に直行。緊急オペで何とか一命は取り留めたので，警察に連絡すると遺失物扱いで６ヶ月預かって欲しいとのこと。６ヵ月後，警察から連絡があり，めでたく僕のペロとなりました。図鑑で調べたところ，ペルシャの亜種で，チンチラシルバーという毛の長い品種なのだそうです。性格は自己中，マイペース，お気楽・・・まるで僕みたいです。