日々のつれづれ日記です。
本や映画や舞台の感想、友達の話、犬猫の話、ひとりごとetc、etc。
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師匠[2011年12月19日(月)]
当たり前にできると思い込んでいたことが、驚くほどできなくなっていることに気づく。

こんなにも歌が好きで、音楽から離れたことなんかなかったのに、今、ここで鳴っている音と同じ声を出すという単純なことが、どうしてこんなに難しいんだろう。

どうして、できないんだろう。

何に怯えているんだろう、私。



感じることができていない。

感情のままに体を動かすことができない。

心と体が繋がっていない。

どこかで、自動的に蓋が閉まってしまう。

思いは、声や表情という形をとる前にどこかで絡め取られて口をふさがれ、そのまま行方知れずになる。



私の声には支えが無い。

よく通る声ではあるのだろうけれど上っ面をフワ〜と通り過ぎるだけで後には何も残らない、だから説得力が無い、聞いていて落ち着かない。



自分で漠然と感じていたことを、はっきりとした言葉で指摘してくれるひとに出逢えて、私は今、未体験の感覚にじたばたもがいている。



地声でひとと話したことがないのか、と言われた。

自分の本音って、わかる? と。



わからなかった。

私の声は、地声ではないの?

私が考えたり感じたりしている「はず」のことは、本音ではないの?

だとしたら、それらはどこにあるんだろう。

本当に、どこかに存在しているんだろうか。



私は、生きている、よね。

幽霊じゃ、ないよね?



そんなわけないじゃんと苦笑しながら、本当は迷子の幽霊だったりして、なんて不安が全身を包む。




私はいつも理由を欲しがる。

その痛みに、その悲しみに、その切なさに、その孤独感に、思い当たる理由が無ければ、強引にでっち上げてでも理由らしきものを頭と心に満たして、自分を納得させようとする。



攻撃の矛先が、誰かに向かないように。

誰かに恨みをぶつけないように。

もう、自分のこの身も傷つけたりせずにすむように。



たえまなく理論武装して身を守ろうとする。

・・・誰から? 何を、守りたいの?



すべて私が決めたこと、私が選んだこと、私がそう考えてそうした、もちろん違う道もあった、拒絶することも本当はできた、しなかったのは私の弱さ、私の不甲斐なさ。


そうやって最初から最後まで自分の中だけで理屈を通して完結させておけば、誰のせいにもしなくてすむ。


過去の落とし前を他人につけさせようなんて、ぶざますぎるじゃない。


すべて私が決めたこと。すべて私が選んだこと。


その時傍にいる相手が望むとおりの、何人もの「私」を演じ分けることも、誰に命じられたわけでもなく、私がそうせずにはいられなかっただけの話。



ねえ。

私は間違ってた?

いつ、何を、どうすればよかった?

今さら過去をどうこうできないのはわかってるけど、でも、誰か正解がわかるなら、おしえてほしい気もする。





何を言っても言い訳にしか聞こえないよと、ぴしりと言われてしまった。

見破られたと感じて、悔しいけれど嬉しかった。


「病んでるね」


という言葉が、荒っぽくも、見下されているようにも聞こえなかったのは、彼女の芯にある揺るぎないあたたかさ。



「相手の姿勢見てて、見どころがあるとか、本気で関わろうと思ったら私、まず優しくないから。バカじゃないのッ!? とか、結構、毒吐くから」



だから、言われるうちが華よ。


・・・そんなことを言ってニヤリと笑い、私の虚飾も強がりも屁理屈も全部突き崩しておいてから、



「絶対、変わるから。自分の声、ちゃんと取り戻せるから」



と微笑んでくれた。




「聴こえてるはずのものが実は聴こえてなかったんだ、ってことがわかれば、意識して聴こうとするようになるでしょ? たとえば周りの音とか、ひとの話し声とか。それだけでも、だいぶ変わるから。女の低い声は、男とは全然違う、すごく魅力的なものだってこともわかってくる。そういう声、せっかく持ってるのに、使いこなしてなきゃもったいないよ」




彼女は自らがプロのシンガーであり、作詞作曲や舞台の音楽プロデューサーも手がける傍ら、ボイストレーナー=歌の先生でもある。


教え子はほとんどがタレントさんだそうで、こんな私みたいな素人が弟子入りするのは珍しいケースだと思う。


そもそも、私は歌の上達法を教わりたかったわけじゃない。


いやいや、そりゃ歌もヘタクソより上手いほうが楽しいに決まってるけど(笑)、そういうことじゃなくて。


彼女の手がけたステージを観た日の夜、ブログにこんなことを書いた。



『私は言葉に厚化粧させすぎるから。

言葉に限らないかな、表情も、言動もか。


心に感じたことを、見える表情に、聞こえる言葉にするまでのわずかな秒数のあいだに、いったい何枚のフィルターを通して、何色の化粧品をぶっかけてしまうんだろうと、しみじみ痛感すると溜め息が出る。


私のいちばんの悪癖だと思う。

かつて、そうでなければ生きられなかったのは事実だとしても、時は流れるものだから。


いいかげん、脱皮したいもんです。


(中略)


彼女のように、心を声に乗せて解き放つすべを覚えたら、生きることがもっと鮮やかに楽しいものになりそうだ。


職業が、女優じゃなくても、歌手じゃなくても。


本当に好きなひとは、好きなものは、理由なんか説明できないね。

それでいいの。


あなたに惚れてます。

それだけで、いい! 』





このブログを、彼女は読んでいて、私を縛る “何枚ものフィルター” の話を覚えていてくれた。


だから最初から、真剣に向き合ってくれた。


ひとの顔色ばかり気にして自分を見失った、支えのない声だと、はっきり指摘してくれた。



私の言動に対して、それはおかしい、違うよ、とダメ出ししたり、ましてこんなパワフルな女をつかまえて 「病んでる」 なんて言うひとはまずいない。


この歳になれば、いろんな建前と言い訳を何となく混ぜ合わせた化粧品を顔にも心にも塗って生きることが 「普通」 と思われがちだから、それをわざわざ、言い訳するなと叱ってくれるひともいなくなる。


私は幸せものだ。


「当たらず触らず波風立てない人間関係なんて、無いほうがまし」


と言い切り、優しい目をして厳しいダメだしをくれる、最高の師匠に逢えたもんね




大好きだよ、師匠!


来年も、その先も、ずっと末永く付き合ってよね。


私の心は、自分でも気づかないくらいの大小さまざまなフィルターや柵や蓋や、そういうもので散らかってるから、きっとすごく手のかかる弟子だけど。


自分というヤツが、こんなに厄介なものをいろいろ背負い込んでるなんて、気づいてしまったからものすごく、悩んで、戸惑って、自分に呆れ返って、あがいてる。


気づかないでいる方が楽だったかもしれない。


でも、それは何も成長しないということ。

それ以上、幸せにはなれないということ。


パンドラの箱を開けたのは、もとい、開けて風を通してくれたのは、あなたなんだからね。


いつか、少しでも追いつけるように、離れないようについて走るからね、師匠




ずっと欲しいと思いながら、場所を取るしな〜、限られたひと部屋の空間に趣味のものばっかり増やしてもな〜、と思って躊躇していたYAMAHAのキーボード、自主トレのためという理由をつけて、買っちゃった(笑)



聴いた音をそのまま声に反映させること。


その単純なことができるようになったら、私の心は今よりだいぶ、自由になりそうだ。


感じたことをそのまま声に、言葉に、表情に、映すこともきっとできるようになる。


自分の体が、声が、こんなに無限大に多機能の面白いオモチャだなんて、知らなかったわよ。


子供みたいにわくわくしてる。


何がどう変わってゆくか、すごく楽しみだ!!

Posted at 23:38 | この記事のURL
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