ナオキチ若作りブログ

　僕はずいぶん痩せたらしくて、仕事で人に会うたびに、痩せたなーって言われる。食事制限で痩せたっていうと、褒められる。「俺にはできねー」って。
　けど、きっと違うよ。人にはいろんな欲求があるけど、僕は自分を肉体的にコントロールしたいという事柄についてだけ、通常よりも欲求が強くて、そこに快感を得てるだけなんだ。 　
　だってさ。僕の友人には被写体として生きている女子たちがいるけれど、彼女たちはホントにスゴイ。お腹が見えるような撮影となれば、1.5日間くらい食べないで現場に来る。汗でメイクが崩れないように、水も飲まない。おそらくスッピンだと目の下にクマがガオーッているんだろうけど、ファンデーションで息の根を止めてですな、クマの。カメラの前では新妻のような恥じらいの絵顔を作ってたりするわけです。けれど、「終了ー、お疲れ様ー！」の号令がかかったとたんに、僕の胸倉をつかんで鬼の形相で言うですよ。
「牛丼を食わせろー！！」
　
　みなさん。人間、本当にお腹がすいているときは、フランス料理とか、イタメシとか、そんな面倒なものを欲しがらないのです。牛丼に卵を溶かして、がーって喉に流し込みたい。僕は彼女たちのそのプロ根性が好きだし、それを建前なく要求するさばけた心意気が好きだ。
　
　彼女たちは、普段から、その細い体に見合うだけの食事しかとっていない。たまには甘いものでも、と勧めても、まず食べない。でもそれは偉いのではないよ。彼女たちにとっては食べることよりも、自分のカラダが理想に近いことのほうが快感が大きい、ただそれだけなんだ。結局人間、やりたいことしかやらない。「苦労より結果」なのか「苦労より現状」なのか。天秤にかけてどちらが重いかというだけなんだ。

　僕はだらしない男だから、被写体をしている友人たちのシャープな身体より、ムチムチな人のほうが好きだけど、それでも、「食べる」という当たり前の要求を打ち負かす欲望を持った人のほうが、精神性としてはカッコイイと思う。