DHC健康食品相談室の担当医が、健康についてご紹介します。
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抗生剤使用3割減 [2016年04月02日(土)]
こんにちは。内科医のA.I.です。

新年度が始まりました。都内も桜が満開で、入学式や入社式のシーズン真っ盛り、といった感じです。今朝も会社に向かう途中、すれ違う人々が桜の木を見上げていました。

今朝の新聞に載っていたのですが、政府は抗生物質が効かない「薬剤耐性菌」への対策として、初の行動計画をまとめた、とのことです。

(関連記事 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160401-00000034-jij-pol )

抗生物質の使い過ぎのために、効き目が弱くなったり、あるいは完全に効かない薬剤耐性菌が増えてしまったので、2020年までに、13年の使用量から3割減らす目標を立てたのです。

1942年に初めてペニシリンGが実用化されて以来、抗生剤は世界中で多くの命を救ってきました。さらにセフェム、アミノグリコシド、ニューキノロン、カルバペネム・・・と強力な抗生剤が次々に開発されてきましたが、その一方で抗生剤の効かない薬剤耐性菌も生まれてきたのです。
現在、世界中で薬剤耐性菌による死者は70万人(!)にも上るそうです。

特に日本人は抗生剤信奉が強く、外来に来る患者さんの中には、開口一番「抗生剤!!!」と要求される方も少なくありません。

風邪は9割方、抗生剤の効かないウイルス性で、抗生剤の使用はむしろ、免疫力に重要な腸内細菌を殲滅してしまうことに他ならないからです。無用な抗生剤の乱用で、激しい下痢(なかには偽膜性腸炎のような厄介なものも)や真菌感染(食道、膣)に苦しむ人も少なくありません。
そういう説明が外来診療の仕事の大きな割合を占めているので、風邪の患者さんが多いシーズンにはちょっと嫌気がさすことも・・・
国がもっと本腰で啓蒙しないといけないんじゃないかな〜、といつも感じています。
抗生剤使用に関する厳正なマニュアルをつくっている病院もありますが、全国的な統一が望まれますので、今回の政府の方針には期待したいところです。

もちろん、明らかな細菌感染の兆候がある時や、高齢・基礎疾患のある方の二次感染予防など、抗生剤が必要なことも多々あります。
しつこい咳が続く方の中には、マイコプラズマ(最近結構流行ってます)にかかっている方もあり、マクロライド系の抗生物質が効果的です。
溶連菌感染や細菌性膀胱炎の時なども抗生剤は頼りになる武器です。

風邪をひいてお医者さんに行った時、抗生物質が処方されたら、その理由を聞いてみると良いと思います。

よくあるのどの痛み、咳・鼻水、微熱、頭痛などはほとんどがウイルス性の風邪ですので、私は免疫力をサポートするビタミンC亜鉛ビタミンD3などで乗り切ることにしています。
これらのサプリメントの効果についてのエビデンスに関しては議論されているところですが、明らかに治りが早いな、と感じています。

冷えと呼ばれるほど、まだ寒い日も断続的に続きますので、皆様も風邪をひかないようにご注意ください。


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