DHC健康食品相談室の担当医が、健康についてご紹介します。
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ピロリ菌、胃がん以外にも [2016年05月07日(土)]
こんにちは。内科医のA.I.です。

ゴールデンウィーク、皆さんはどう過ごされましたでしょうか。

我が家はゴールデンウィーク後半、日帰りバスツアーで富山県の立山に行って参りました。今年は暖冬で積雪量が少なかったそうですが、それでもバスの二倍近い高さの雪の壁を見ることができました。


下界は30℃近い夏日だったのですが、山頂付近の気温は9℃と真冬並みの寒さでした。

日帰りということで、朝は3時起き、帰りは22時、と強行軍でしたが、なんとか楽しく行ってこられました。

どこへ行っても混んでいる連休ですので、あとは家で菜園いじりや読書などをしてのんびり過ごしました。

その際読んだ新聞に、ピロリ菌 関連の記事がありました。

ピロリ菌は5歳頃までに親などから口移しにうつる感染症で、胃潰瘍や胃がんを引き起こすとされている細菌です。胃がんの98%がピロリ菌によるものといわれています。

1984年7月、オーストラリアのマーシャル博士が自ら菌を飲み込み感染したことで発見されました。(あれ?5歳までに感染するんじゃ・・・?)

ピロリ菌は胃に棲みつくと、Cag A というたんぱく質を胃壁細胞に注入します。それにリン酸が結合すると、細胞増殖を活発にするSHP2 という酵素が動き出し、胃がんを引き起こす、というのです。


そこでさらに別の酵素、SHP1 が上の反応を邪魔してSHP2が働かないようにします。これにより、人間の胃細胞を使った実験で発がんの抑制が証明された、というのが、その記事の内容でした。
胃がん予防への期待が高まります。
ピロリ菌に感染したことのある方(=胃癌のリスクの高い方)には朗報ですね!

ピロリ菌は胃がん・胃潰瘍以外にもMALTリンパ腫という悪性腫瘍、血小板が減る紫斑病(の一部)、鉄欠乏性貧血、動脈硬化、蕁麻疹、糖尿病、シェーグレン症候群など全身の病気との関連があることも明らかになっています。これは、上記のCag A が血液を通して全身に運ばれるためと推察されています。

時代とともにいろいろなことが明らかになってきて、病気の診断や治療もどんどん変わっていきます。

ピロリ菌については虫歯菌と同様、感染予防が大原則(幼児と食器を別にする、大人の唾液を子どもの口につけない)です。
が、一度感染してしまったら除菌をしたとしても、それまで長年経ってしまい胃細胞のダメージも蓄積してしまっているケースが多いのです。

ピロリ菌への対策として、サプリメントはあくまで補助的なスタンスではありますが、抗腫瘍効果が報告されているプロポリスフコイダンなどはお勧めできそうです。



新年度の健康診断も本格的になってきました。
ピロリ菌感染について調べたことがない方は、この機会に是非ご確認を!


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