ジメジメした
憂鬱な梅雨真っ盛り といったところですが、
この時期に外を歩いていると、
色とりどりの
紫陽花をあちらこちらで見かけることができます。
その存在感にも負けじと、どこからか
強烈な甘い香りがしてきます。
そう
クチナシです。
紫陽花ほどの派手さはありませんが、
葉に負けないくらい大柄で純白い花を咲かせます。
花は極めて白く美しいのですが、
命が短くすぐ枯れてしまいます。
裏庭や道端に咲きほこるクチナシの花から
漂う芳醇な香りは、
夏に向かう期待感や、夏の思い出のような懐かしさがあります。
クチナシの
学名はGardenia jasminoides といい、
ジャスミン系の香り で、この上品な芳香は真夜中がいちばん強くなりますが、
これは受粉のために
昆虫を引き寄せるためと考えられています。
このクチナシですが、
花は食用になるそうです。
それ以上に利用されるのは
実です。
花の種類には一重咲き、八重咲きとありますが、
一重咲きがアメリカに渡り改良されて八重咲きになり、
ガーデニアと呼ばれています。
しかし、
実になるのは一重咲きだけ です。
この実は下の写真のように
熟しても口が開かないことから
「口無し」、
すなわち
「クチナシ」と名付けられたといわれています。
クチナシの果実の乾燥したものを、漢方で
山梔子(さんしし)と言い、
有効成分に
イリノイド配糖体・
ゲニポサイド、
カロチノイド色素・
クロチン等を含んでいます。
そのため、古くから人との関わりが深く、
消炎、
利胆、
止血薬として
黄疸、肝炎、血便、血尿、不安、不眠、吐血に用いられていました。
実際の薬理実験では山梔子(サンシシ)を煎じた液は、
胆汁分泌の促進、鎮静、血圧降下作用などが認められています。
また、
黄色の色素は、食用の着色料として、栗きんとんや沢庵漬けなどに利用されます。
また、
衣服用染料としても使用されていたそうです
こんなに身近な
「クチナシ」はこの時期に純白で清楚な花ぶり
でありながら、
とても
強烈で甘い香りを放ち、心
を安らかにしてくれます。
皆さん、街角で見かけたら、
ちょっと立ち止まってその
香りを楽しんでみてください。