いい女は男の欠点をあげつらって責め立て、追い詰めたりはしないものだ。
わかっているのに、わたしにはそれができない。
今回のきっかけは、例の、姪っ子の七五三の日に着ていく「はずだった」スーツのこと。
着ていった「はずの」ジャケットが、
カバーごと落ちていたので、
拾い上げて掛けなおそうとして気づいた。
ジャケットのしつけやタグがついたままだ。
どういうこと?
あれだけ何日も前から気を揉んで、
結局尻をたたくように前日一緒にスーツを買いにいったのに、
それが無駄になったのか?
そう思ったら怒りがこみ上げてきて、相手が仕事中にもかかわらず、
何か言ってやらないと気が済まなくなった。
わたしの頭の中は、
「既婚男性の服装がしっかりしていないのは奥さんがしっかりしていないから。」
というステレオタイプの考え方への恐れでいっぱいである。
本人に問いただすと、わたしから電話が来るまで、ちゃんと着ていったと思っていたらしい。
確認すると、2着35000円のうち、
わたしが前日パンツのすそあげをした方「ではない方」のジャケットを着ていったようだ。
両方ともグレー系でストライプのスーツ。似ているといえば似ているけど、
合わせて着たら違うのは絶対わかるはずなのに。
夫曰く当日は、スーツを新調したことに触れた人はいても、
だれもその間違いを指摘した人はいなかったそうだ。
むしろ好評だった、とまで。
そんなはずはない!
義母も義父も、服装には敏感な人たちなのに!
前日はクルマで勤務先まで迎えに行き、買い物をして、帰ってきたのも遅かったのに、
それからすそあげをして、着ていくジャケットとシャツを揃えるだけ揃えて、
疲れきって、「あとは自分でやって……。」とお願いしたのだった。
要するに、タグとしつけぐらい自分でとれよ。子どもじゃあるまい
しそれぐらいできるだろ。
という、無言のプレッシャーだったのですが、全く通じていなかったようで……。
「そんなに気にするなら最後まできっちり準備しておくべきだったんじゃないの?
実際やってないんだからそう思われても仕方ないだろ。
だいたい誰もそんなふうに思ってないよ。被害妄想だ。」
オマエにだけは言われたくなーい!
いや、本当に被害妄想なのかもしれない。
怒りを感じたら、すぐ相手にぶつけるんじゃなくて、
安定剤を飲んででも、少し時間を置いて冷静になったほうがいいんだろうな。
ダメな女だな……。