第一幕
朝日新聞の夕刊に、連載小説
「愛しの座敷わらし」
が載っている。
わたしも母も読んでいないのだが、なぜだか気になる存在である。
母は、わざわざ、そのページを探し出して、読みもしないで満足している。
第二幕
放蕩娘まな姫は 高校卒業後 鉄砲玉のように実家を飛び出し
長らく 帰っておりませんでした。
今が おそらく 長期滞在として記録・・・あ。去年の退院後に次ぐ記録でしょう・・・。
そのため 長期に渡り、我が家には
わたしがいない秩序
ができあがっておりました・・・
第三幕
そのため わたしが家の中でふいに現れると
母は たいそう驚いてくれる・・・。
自分で髪を おかっぱの マチルダ・カットに切ってからは
母はわたしを
「座敷わらし」
と呼ぶようになった。
最近では短縮されて、
「わらし」
と呼ばれている・・・のみだけではなく、なんたる不覚、
わたしも一人称を
「わらし」
と名乗るようになってしまった・・・。
母のパワー恐るべし・・・。
終幕
最近 母の部屋で一緒に寝ているわたし・・・。
病院のおばちゃんたちと同様に、午後サスペンスの再放送を見てる母。
「わらしは、
わらしの部屋におるよ・・・。」
「ハイ、行ってらっしゃい。」
(テレビ見てる)
よし、座敷わらし、母の部屋の占領成功