プロローグ〜始まり@ [2009年08月30日(日)]
久露埜(くろの)登利(のぼとし)、37歳。通称黒の鳥=B傭兵(ようへい=雇われ兵士)として、文字通り戦争の渡り鳥≠ニなり、世界各国の紛争地で壮絶な戦闘を経験してきた。そんな彼だが現在は、数少ない私設警備員(=ボディー・ガード)として、日夜激務≠ノ励んでいる…。
「はい。クロの私設警備事務所」
久露埜玲菜(れな)が、ワンコール(電話の呼び出し音1回)で、ヘッドセットのマイクに応えた。芳紀(ほうき)24歳の楚々(そそ)とした美人で、本人は「3本の指に入る」と信じて疑わない。残る2本については、私同様に、本人にも不明だ。そんな超絶美人である彼女は、、彼の唯一無二の肉親(姪)であり、薄給酷使をものともせずに業務に勤(いそ)しむ唯一の事務員≠セ。
「…お世話になっとります。所長の携帯に転送いたしますので、お待ち下さい」
「くそゥ…なかなか、現れやねェなァ…」
登利は、街の雑踏に紛(まぎ)れて、遠くから1軒の店先を凝視していた。服装は動きやすさと人目を考えたTシャツとカーゴ・パンツで、足元はエアークッションのスニーカーで固めている。これなら、人目にもつきにくい。
彼の視線の先にあるのは、豪華な構えで有名な外資系のブランドショップだ。主に貴金属を専門に扱っている。
緊張した面持ちで店先を見つめる彼の尻ポケットで、携帯電話がブル・ブルと震えた。
右耳にぶら下げていたイヤホンのスイッチを挿(お)し、小声で冗談みたいな小型マイクに話しかけている。
「久露埜です」
「玲菜だけどォ〜今ァ〜大丈夫ゥ〜?」
「勤務中は真面目(まじめ)にやれ、と言ってあるだろ…アニメ番組みたいに、妙な節(ふし=音程)をつけてはい、クロの私設警備事務所でェ〜すゥ≠ネんて云ってないだろうな?」
「ピンポ〜ン、御名答!おザブ(座布団)1ま〜い」
「ッて、云ってんのかい…ままごとじゃないんだから、しっかりやってくれよ!」
「2人きりの肉親なんだからいいじゃない、冷たい伯父(おじ=父母の兄)さんなんだからァ〜」
「紛らわしい言い方はやめてくれ、人聞きの悪い…張り込み中だ…要点だけを話せ」
「緒羅賀(おらが)検事から電話です。どうしますか?」
「何、不貞腐(ふてくさ)れているんだ…仕事の話しかもしれない…まわしてくれ」
玲菜は無言で、わざとビープ(雑音)音を大きくして、回線を切り替えた。久露埜は右耳を抑えて、表情(かお)を顰(しか)めながら額を押さえた。その姿は、飲み屋のカウンターで眉間に人差し指を押し着けて呑みすぎと戦う(この迷信が利く、とは申しておりません)、酔っ払い、そのものだ。
「緒羅賀です。張り込み中だそうですが、大丈夫ですか」
「あの野郎、また、(回線を)オープンにしながら喋(しゃべ)りやがったな…いえ、何でもありません。大丈夫です」
「実は、折り入って、話したいことがあるのだが」
「検事(先生)の頼みじゃ断れません…喜んで…」
と、その時。一瞬、人通りが途切れた。そして、彼が待ち望んでいた獲物の黒い影≠ェ現れた。影は忍び足で、店先へと、滑るように進んで行く。
「あッ!」
電話の向こうで、緒羅賀検事は表情を強張(こわば)らせた。久露埜登利が「アッ!」と叫ぶ時、必ず何かが起こる―警察関係者から「クロの引き金(トリガー)」と呼ばれる不吉なジンクス―が脳裏を掠(かす)めたのだ。
「検事(先生)申し分ない!犯人(ホシ)が現れた!アポ(約束)は後で録音しといてください!」
−やはり、何か重大な事件を追っていたに違いない。緒羅賀検事は今夜の土産話≠楽しみに、「今晩19時30分、ホテル・穂樽(ほたる)1階、『ラウンジ 個室』、102」と吹き込んで、電話を切った。
その頃、一方的に留守電機能に切り替えた久露埜は、丸々と太った真っ黒い野良猫に向かって走り出していた。
そう、彼の依頼主は「豪華な構えの主に貴金属を専門に扱っている外資系のブランドショップ」ではなくて、その2軒隣にある魚屋『魚新(うおしん)』だったのだ…。
「はい。クロの私設警備事務所」
久露埜玲菜(れな)が、ワンコール(電話の呼び出し音1回)で、ヘッドセットのマイクに応えた。芳紀(ほうき)24歳の楚々(そそ)とした美人で、本人は「3本の指に入る」と信じて疑わない。残る2本については、私同様に、本人にも不明だ。そんな超絶美人である彼女は、、彼の唯一無二の肉親(姪)であり、薄給酷使をものともせずに業務に勤(いそ)しむ唯一の事務員≠セ。
「…お世話になっとります。所長の携帯に転送いたしますので、お待ち下さい」
「くそゥ…なかなか、現れやねェなァ…」
登利は、街の雑踏に紛(まぎ)れて、遠くから1軒の店先を凝視していた。服装は動きやすさと人目を考えたTシャツとカーゴ・パンツで、足元はエアークッションのスニーカーで固めている。これなら、人目にもつきにくい。
彼の視線の先にあるのは、豪華な構えで有名な外資系のブランドショップだ。主に貴金属を専門に扱っている。
緊張した面持ちで店先を見つめる彼の尻ポケットで、携帯電話がブル・ブルと震えた。
右耳にぶら下げていたイヤホンのスイッチを挿(お)し、小声で冗談みたいな小型マイクに話しかけている。
「久露埜です」
「玲菜だけどォ〜今ァ〜大丈夫ゥ〜?」
「勤務中は真面目(まじめ)にやれ、と言ってあるだろ…アニメ番組みたいに、妙な節(ふし=音程)をつけてはい、クロの私設警備事務所でェ〜すゥ≠ネんて云ってないだろうな?」
「ピンポ〜ン、御名答!おザブ(座布団)1ま〜い」
「ッて、云ってんのかい…ままごとじゃないんだから、しっかりやってくれよ!」
「2人きりの肉親なんだからいいじゃない、冷たい伯父(おじ=父母の兄)さんなんだからァ〜」
「紛らわしい言い方はやめてくれ、人聞きの悪い…張り込み中だ…要点だけを話せ」
「緒羅賀(おらが)検事から電話です。どうしますか?」
「何、不貞腐(ふてくさ)れているんだ…仕事の話しかもしれない…まわしてくれ」
玲菜は無言で、わざとビープ(雑音)音を大きくして、回線を切り替えた。久露埜は右耳を抑えて、表情(かお)を顰(しか)めながら額を押さえた。その姿は、飲み屋のカウンターで眉間に人差し指を押し着けて呑みすぎと戦う(この迷信が利く、とは申しておりません)、酔っ払い、そのものだ。
「緒羅賀です。張り込み中だそうですが、大丈夫ですか」
「あの野郎、また、(回線を)オープンにしながら喋(しゃべ)りやがったな…いえ、何でもありません。大丈夫です」
「実は、折り入って、話したいことがあるのだが」
「検事(先生)の頼みじゃ断れません…喜んで…」
と、その時。一瞬、人通りが途切れた。そして、彼が待ち望んでいた獲物の黒い影≠ェ現れた。影は忍び足で、店先へと、滑るように進んで行く。
「あッ!」
電話の向こうで、緒羅賀検事は表情を強張(こわば)らせた。久露埜登利が「アッ!」と叫ぶ時、必ず何かが起こる―警察関係者から「クロの引き金(トリガー)」と呼ばれる不吉なジンクス―が脳裏を掠(かす)めたのだ。
「検事(先生)申し分ない!犯人(ホシ)が現れた!アポ(約束)は後で録音しといてください!」
−やはり、何か重大な事件を追っていたに違いない。緒羅賀検事は今夜の土産話≠楽しみに、「今晩19時30分、ホテル・穂樽(ほたる)1階、『ラウンジ 個室』、102」と吹き込んで、電話を切った。
その頃、一方的に留守電機能に切り替えた久露埜は、丸々と太った真っ黒い野良猫に向かって走り出していた。
そう、彼の依頼主は「豪華な構えの主に貴金属を専門に扱っている外資系のブランドショップ」ではなくて、その2軒隣にある魚屋『魚新(うおしん)』だったのだ…。
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