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プロローグ〜始まり@ [2009年08月30日(日)]
 久露埜(くろの)登利(のぼとし)、37歳。通称黒の鳥=B傭兵(ようへい=雇われ兵士)として、文字通り戦争の渡り鳥≠ニなり、世界各国の紛争地で壮絶な戦闘を経験してきた。そんな彼だが現在は、数少ない私設警備員(=ボディー・ガード)として、日夜激務≠ノ励んでいる…。

「はい。クロの私設警備事務所」
 久露埜玲菜(れな)が、ワンコール(電話の呼び出し音1回)で、ヘッドセットのマイクに応えた。芳紀(ほうき)24歳の楚々(そそ)とした美人で、本人は「3本の指に入る」と信じて疑わない。残る2本については、私同様に、本人にも不明だ。そんな超絶美人である彼女は、、彼の唯一無二の肉親(姪)であり、薄給酷使をものともせずに業務に勤(いそ)しむ唯一の事務員≠セ。

「…お世話になっとります。所長の携帯に転送いたしますので、お待ち下さい」

「くそゥ…なかなか、現れやねェなァ…」
 
 登利は、街の雑踏に紛(まぎ)れて、遠くから1軒の店先を凝視していた。服装は動きやすさと人目を考えたTシャツとカーゴ・パンツで、足元はエアークッションのスニーカーで固めている。これなら、人目にもつきにくい。

 彼の視線の先にあるのは、豪華な構えで有名な外資系のブランドショップだ。主に貴金属を専門に扱っている。

 緊張した面持ちで店先を見つめる彼の尻ポケットで、携帯電話がブル・ブルと震えた。

 右耳にぶら下げていたイヤホンのスイッチを挿(お)し、小声で冗談みたいな小型マイクに話しかけている。

「久露埜です」
「玲菜だけどォ〜今ァ〜大丈夫ゥ〜?」
「勤務中は真面目(まじめ)にやれ、と言ってあるだろ…アニメ番組みたいに、妙な節(ふし=音程)をつけてはい、クロの私設警備事務所でェ〜すゥ≠ネんて云ってないだろうな?」
「ピンポ〜ン、御名答!おザブ(座布団)1ま〜い」
「ッて、云ってんのかい…ままごとじゃないんだから、しっかりやってくれよ!」
「2人きりの肉親なんだからいいじゃない、冷たい伯父(おじ=父母の兄)さんなんだからァ〜」
「紛らわしい言い方はやめてくれ、人聞きの悪い…張り込み中だ…要点だけを話せ」
「緒羅賀(おらが)検事から電話です。どうしますか?」
「何、不貞腐(ふてくさ)れているんだ…仕事の話しかもしれない…まわしてくれ」

 玲菜は無言で、わざとビープ(雑音)音を大きくして、回線を切り替えた。久露埜は右耳を抑えて、表情(かお)を顰(しか)めながら額を押さえた。その姿は、飲み屋のカウンターで眉間に人差し指を押し着けて呑みすぎと戦う(この迷信が利く、とは申しておりません)、酔っ払い、そのものだ。

「緒羅賀です。張り込み中だそうですが、大丈夫ですか」
「あの野郎、また、(回線を)オープンにしながら喋(しゃべ)りやがったな…いえ、何でもありません。大丈夫です」
「実は、折り入って、話したいことがあるのだが」
「検事(先生)の頼みじゃ断れません…喜んで…」

 と、その時。一瞬、人通りが途切れた。そして、彼が待ち望んでいた獲物の黒い影≠ェ現れた。影は忍び足で、店先へと、滑るように進んで行く。

「あッ!」

 電話の向こうで、緒羅賀検事は表情を強張(こわば)らせた。久露埜登利が「アッ!」と叫ぶ時、必ず何かが起こる―警察関係者から「クロの引き金(トリガー)」と呼ばれる不吉なジンクス―が脳裏を掠(かす)めたのだ。

「検事(先生)申し分ない!犯人(ホシ)が現れた!アポ(約束)は後で録音しといてください!」

 −やはり、何か重大な事件を追っていたに違いない。緒羅賀検事は今夜の土産話≠楽しみに、「今晩19時30分、ホテル・穂樽(ほたる)1階、『ラウンジ 個室』、102」と吹き込んで、電話を切った。

 その頃、一方的に留守電機能に切り替えた久露埜は、丸々と太った真っ黒い野良猫に向かって走り出していた。

 そう、彼の依頼主は「豪華な構えの主に貴金属を専門に扱っている外資系のブランドショップ」ではなくて、その2軒隣にある魚屋『魚新(うおしん)』だったのだ…。

 
プロローグ〜始まりA [2009年08月31日(月)]
「いやァ、さすが傭兵(ようへい)上がりだけあって、いつもながらの鮮やかな仕事っぷりだねェ〜」

 魚新の店主、挿蓑(さしみの)都万(つま)は、お魚くわえそこねたドラ猫の首根っこを鷲掴(わしづか)みにして現れた久露埜登利(くろの のぼとし)に愛好を崩して告げた。

「野良猫狩りは保健所の仕事、だろ?仕事の依頼はありがたいが、傭兵の技術が泣くようなオーダー(依頼)は勘弁してくれないか?」
「そんなこと言っても、1匹千円の報酬に釣られて、喜んでやって来たじゃない〜」
「まったく、です。非ッ常に助かっとります…これからも、よろしく、おッ願いしまァ〜すッ!」

 久露埜は2万円≠フ入った封筒を拝み抱くと、風のように、店を出て行った。1日で20匹もの野良猫を駆除したとは、さすがは元傭兵だ。が、愛猫家と動物愛好家には気をつけるんだゾ!

 そんな彼が目指しているのは、ホテル・穂樽(ほたる)。「ここからなら、3時間も歩けば約束の時間に間に合う」って、電車くらい使いなよ、格好悪い…。

 ホテル・穂樽(ほたる)は、その名のとおり「ワインの樽を稲穂のように積み重ねた」景観が一際(ひときわ)目を引く洒落(しゃれ)た建物だ。都会の一等地にある老舗(しにせ)のホテルで、歩いて2分≠フ、最寄(もより)駅には3つの大手私鉄が乗り入れている。

「さすがにアスファルトの上を3時間、歩くのはきついな…(だから、電車くらい使いなよ≠チて、言ったのに…)」

 ホテルの前までたどり着くと、大きく深呼吸をして、斜屈身(しゃがみ)込む、だらしない?元傭兵。が!元傭兵だけに、往来する人々の奇異な視線を察知するのは早い。つーか、誰でも分かるだろう…しかし元傭兵だけに、何事もなかったように、平静さを装(よそお)う術(すべ)には長(た)けている。汗でびしょ濡れのTシャツと、濃いグリーンのカーゴパンツ。汚れて、今にも破けそうなエアークッションのスニーカーというみすぼらしい出(い)で立ちをものともせず、堂々と胸を張って入って行く姿は、さすが元傭兵だけにフテブテシく図々しい。

「お客様、当ホテルにはドレス・コード(最低でもネクタイかジャケット着用)が御座いますので、またの機会に、お越し願えませんでしょうか」

 イヤミっぽく入店を拒否するドアー・マンの呼び掛けにも、元傭兵だけに?負けてはいない。

「19時30分に、1階の『ラウンジ 個室』、102で大物と会う約束をしているんだ…」カーゴパンツの右腿(もも)ポケットから、汗で塗れたボロボロの名刺を差し出した「テレビや新聞でも報道された人だ。有名ホテルの従業員なら、名前くらいは知っているだろ?」
「失礼ですが、存じません」
「なにィ〜、大型政界疑獄事件や有名薬害事件を指揮した人だぞ?いくら忙しいとはいえ、ニュースや新聞くらい見聞きしてるだろ?!」
「キャバ・クラ『H』のユキちゃん、が大事件を指揮されたとは到底、思えませんが」

 久露埜は慌てて名刺を奪い返して確認すると、赤面したまま、左腿のポケットから緒羅賀(おらが)検事の名刺を差し出した。

「中のショップでネクタイとジャケットを買って、トイレで着替えまちゅからァ〜、入れてくれまちぇんかァ〜?もうすぐ約束の時間なんでちゅよォ〜」
「外(駅)のショップで購入された後、外のトイレでお着替えになられてから、お越し下さい」
「融通の利かない人でちゅねェ…僕チンは…」
「こんな場所(ところ)で、何、媚(こび)売ってるんだ?」

 と、その時。久露埜の肩を叩く男がいた。

「これは、これは、緒羅賀様〜!毎度、御利用いただき、有難う御座います」
「今晩は。このホテルが気に入りましてね。また、お世話になりますよ。あっ、この人なら大丈夫、私が保証しますから」
「緒羅賀様がどうしても、と仰(おっしゃ)るならば…」
 
 そのやり取りを聴いていた久露埜登利が「あッ!」と叫んだ。クロの(怒りの導火線の)引き金(トリガー)が、引かれたのだ。−クロのトリガーが引かれた時、何かが起きる―緒羅賀検事はいやな予感≠ノ表情を曇らせた。

「左の尻ポケットに葬式用の黒いネクタイがあったんだ…!ほら、ほら、Tシャツにネクタイ。これで、文句は無いだろ?ドレス・コードはクリアしたもんね!?」

 緒羅賀検事のいやな予感≠ヘ的中した…さすが元傭兵だ。使えるものならば、恥も外聞も無く、どんな汚い手を使ってでも、なんでも利用する厚かましさ。お前はリ・アクション芸人か?ヤダ、ずゥえったいに、い・や・だ。こんな格好の人間と同類だと思われたくない!!

「まァ、まァ」緒羅賀が着ていた絹のジャケットを脱いで、久露埜の肩に羽織らせて笑った。「ここは私の顔に免じて赦してくれないか」
「検事(先生)これじゃあ、俺はピエロだ」

 久露埜はドアのガラスに映る自分の姿に、情けない声を挙げた。ツンツルテンな光沢のある濃い赤のジャケットの下は、汗で塗れた白いTシャツと、シワだらけでヨレヨレになった葬儀用の黒ネクタイ。ズボンはこれまた汗まみれの濃緑のカーゴ・パンツと、薄汚れて今にも破れそうなエアークッションのスニーカー…久露埜よ、お前はどこに向かって行こうとしているんだァ〜ッ?

 明日の、この時間を、お楽しみに!
謎の物体X  [2009年08月31日(月)]
 明日まで待てない方のために(と言いますか、ブログの方向性が読めない方のために)、今朝方の続編で御座います。

「どうやら、大丈夫(=安全)そうですね…」

 久露埜登利(くろの のぼとし)は、折りたたみ式の盗聴器探知機(こんなものがあるのかどうかは、私は知らない)を扇子(せんす)大に折り畳(たたみ)、カーゴ・パンツの右前ポケットに、しまいこんだ。

「いつも感心するのだが、キミのポケットは、ドラ●モンのポケット、か?」

 驚きながら座り込む緒羅賀(おらが)検事に、久露埜はアヒルのように、けたたましい声で応えた(ブログデザインの意味が御理解いただけたかたと…)。

「ニヒルに澄ました笑顔が出来なくて申し訳ない…科捜研(科学捜査研究所)の友人に頼んで、ポータブル型の探知機を作ってもらいましてね(こんなことをしてくれるかどうかは、私は知らない)。壁が薄い割には、防音効果がしっかりできていますね」

 ホテル・穂樽(ほたる)の1階にある、『ラウンジ 個室』は、その名のとおり全席が壁で仕切られている。ことにテーブル・ナンバー102は、V.I.P(特別待遇席)で、携帯電話さえ使えない完全密室≠セ。

「さすが次期・検事聖(けんじせい=最高位)を噂されているだけのことはありますね。実に、用心深い」
「私なんか、まだまだ、だよ」そう言うなりメニューを広げて、自らが貸し与えたシルクの背広をハンガーに掛ける久露埜へ差し出しながら、続ける。「何でも好きなものを注文(たの)んでくれ。とりあえずビール、でいいな?」
「今日はウコン系の肝臓保護サプリを持ち合わせていないんで…それと、余分な脂肪を分解してくれるレシチンも持っていないんです…ので。ビタミンミネラルが豊富な刺身や海藻サラダがいいですね」
「さすが傭兵あがり!相変わらず、健康には気を使っているようだな…」

 緒羅賀はテーブルの下にあるオーダー・ボード(注文盤=こんなものがあるのかどうかは…あァ、しつっこい!)から、適当に選んで、ボタンを押した。

「最近、メタ坊(メタボリック・シンドローム)気味なんでね」
「楽な仕事ばかりしてるからだよ、クロちゃん」
「そんなことはありませんよ!今日だって、極悪非道なストーカーや強盗犯たち―いわゆるストリート・ギャング(死語?)≠フ連中の首根っこを押さえる大捕り物をして来たばかりなんでね」

 おい、おい、久露埜。泥棒猫の捕獲を、メダカを釣って鯨を捕まえたような、針小棒大な言い方は感心せんな…。

「それで、そんなに疲れていたのか」
「大丈夫、パワーがつくアミノ酸系のサプリ飲料を飲んどきましたから」
「で、その大捕り物、ってヤツをく詳しく&キかせてはくれんかね?」
「斑(まだら)のジョンや、豹柄のムサシ。子連れのハナと云われる、1クセも2癖もある、心臓に毛が生えているような毛深い割には臆病な奴らが束(たば)になって善良な…いや、俺の手柄話より、検事(先生)の用向きが先だ」

 と、その時。テーブルの縁(ふち)が開き、ビタミン・ドリンクと冷えたビールとコップが現れた(繰り返すが、こんなシステムがあるのか…)。

 緒羅賀は完全個室でもあるにもかかわらず、用心深く左右を見回し、それぞれのグラスに飲み物を注(そそ)いだ。そして無言でコップを掲げ合い、形ばかりの乾杯をして、喉(のど)を潤(うるお)した。

「子連れのハナちゃんを除けば、随分と凶悪そうな連中みたいだが…まっ、それは、それとして…話と言うのは他でもないのだが」タラコ唇に着いたビールの泡をクリームパンみたいな太い指で拭きながら、続ける。「キミのモットー(信条)を、もう1度、確認させてくれ」
「やる気・暢気(のんき)・根気と陽気」
「その明るいキャラクターを信じた上での依頼なのだが…」

 今度は天井が開き、鯛と平目と鮪の3種盛りが、赤貝のおつくりと一緒に降りて来た(ご期待に応えて、こんな…クドイ!)。
 緒羅賀は皿を並べ、醤油(しょうゆ)を挿(さ)して言った。

「じつは最近、こんなものが送られてきたんだ」

 挿し終わり、空(からのコップにビールを注ぎ終えると、手元の鞄(かばん)から黄色く細長い筒状の物を取り出した。

 久露埜登利が「あッ!」と叫んで、黄色い物体に手を伸ばした。「こ、これは…!?」

 ―クロの(感情の)トリガー(引き金)が引かれた。緒羅賀は、ゴマ粒のような目を、真夏のヒマワリみたいに見開いた。−クロのトリガーが引かれると、何かが起こる!さっきみたいな卑怯でミットモナイ真似だけは勘弁してくれ〜ッ!!

「検事(先生)、最近、お疲れ気味じゃありませんか?」
「疲れていない検事なんているのかね…」
「まさか…こんなところで、こんな物に、お目にかかるなんて…」
「やはり、新種の麻薬(ドラッグ)か?」
「ドラッグではありません。ありません。が、やり始めたら最後、やめる時には徐々に量を減らして行かなければならない、シロモノです。」
「そんなに恐ろしいものなのか?」
「ちゃんとした知識さえあれば、恐れることはありません。最近では若い学生さんやOLさんにビジネスマン。主婦層や病院嫌いの連中を中心に蔓延(はびこ)っているそうですよ。って、こ・これは…」
「待て、久露埜。誰かが見ている!?」

 緊迫の事態と、本ブログの方向性は明日の朝、明らかに…なるのか?

ビタミンC@ [2009年09月01日(火)]
 久露埜登利(くろの のぼとし)は緊張した視(め)で、緒羅賀(おらが)検事を見据えていた。

「カメラはおろか盗聴の心配さえ無い完全な密室≠ナすよ?いったい誰が見ていると言うのですか」

 緒羅賀検事も、負けじと、緊張した面持ちで応える。

「誰かは分からない。…が、何者かの視線を背中に感じるんだ」

 痛いほどの静寂が、狭い個室に張り詰めている。聞こえる音は、吹き出し口から流れる冷房の音と、換気扇が回る音だけだ。

 久露埜が用心深く、照明を落とした薄暗い部屋を、見回している。さすが元傭兵≠セけに、鋭い眸(め)で、細心の注意をはらっている。自ら「メタ坊」を公言する緒羅賀とはちがい、「戦争」と言う過酷な実践で鍛え上げられた細マッチョ≠ェやけ≠ノ頼もしい。

 その久露埜登利が「あッ!」と叫んで、緒羅賀の背後に設(しつら)えている棚の奥に、素早く筋肉質な腕を突っ込んだ。

「あっ!」

 ―クロのトリガー(引き金)が引かれた。緒羅賀は、緊迫したゴマ粒のような視(め)で、踏んづけられたアンパンみたいな顔を引き攣(つ)らせて振り向いた。

「こ、これは…!?」
「ど、ドラ●モン…のヌイグルミ…!?どうしてこんなものが…」

 と、その時。閉め切っていた扉をノックする音が聞こえた。

 久露埜が用心深い声で、インターホン越しに応える。

「どうぞ」
「お寛(くつろ)ぎ中に申し訳御座いません、お客様。ラウンジの者ですが、先客様がお子様のお土産≠、お忘れになられましたそうで…御確認させていただけませんでしょうか」
「ドラ●モンのヌイグルミなら、ここにある」

 努めて冷静な声を演出しながら、ドアーを開き、ヌイグルミを手渡す元傭兵=Bその姿からは戦争の犬≠フイメージは微塵(みじん)も感じられない。悲しいぞ、哀し過ぎて笑えるゾ、久露埜登利ッ!

 しかし、そんなことには構わず、恐縮する店員に余裕で手を振る久露埜。大人の余裕なのか、それともエエカッコシイ≠セけなのか…

 久露埜は、厳(おごそ)かにドアーを閉めると、陽気を通り越してガチャガチャした騒がしい声≠ナ緒羅賀に告げた。

「さすが敏腕検事だ。クレーンゲームのヌイグルミにさえ、敏感に視線を感じ取るとは…」
「クロちゃんこそ、だ。依頼人の意を汲(く)んで、即座に結果を出すとは…さすが、鍛え抜かれた傭兵だ。頼もしい限りです」

 互いに視線を交わして頷(うなず)き合い、無言でコップの中の液体を飲み干したあとで、微笑んだ。知らない人が観たら大の仲良し≠ゥ、同性愛者≠セ。もっとも、お互いその気≠ヘないのだが。

「で、クロちゃん。この黄色い包みの正体だが」
「検事(先生)。こいつは、トンでもない代物です」

 徒(いたずら)っぽく笑う久露埜に、緒羅賀が焦(じ)れるように、先を急ぐ。

「そのまま吸うのか。それとも炙(あぶ)って打つのか?」
「こいつは…こうして封を開けて、好きな飲み物と一緒に飲むんです」
「好きな飲み物と一緒じゃないと飲めない?そんなに不味い物なのか!?どうして、そんな物が巷(ちまた)で人気なんだ?分からない…で、体に、どのような悪影響を及ぼすんだ!?」
「詳しくお知りになりたければ、ちょっと長くなりますが、以下の本から無断転載させていただきます…ぱくッ!」

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丸元淑生 - Wikipedia丸元 淑生(まるもと よしお、1934年2月5日 - 2008年3月6日)は、作家、料理研究家。大分県生まれ。東京大学仏文科卒。1978年「秋月へ」で芥川賞候補、1980年には二度芥川賞候補。『丸元淑生のシステム料理学』で自身の健康のために栄養によく廉価な料理 ...
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ライナス・ポーリング - Wikipedia
1949年11月、ライナス・ポーリング、ハーヴェイ・イタノ、S. J. シンガー、イベール・ウェルズは、ある種の人間の病気が特定のタンパク質の変化に関係があるとする論文をサイエンス誌に発表した。彼らは電気泳動を用いて、鎌状赤血球病を持つ個体が赤血球 ...
若年期 - 学生時代 - 科学者としての初期の経歴 - 化学結合の性質の探究
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ビタミンC - Wikipedia
ライナス・ポーリング氏の学説により風邪予防に効果的であるとされているが、後の検証結果において「ビタミンCは、予防に対し ... いる(米国メリーランド大学病院内科の医師のグループがポーリング博士の仮説を検証した二重盲検法による臨床試験結果)。 ...
ja.wikipedia.org/wiki/ビタミンC - キャッシュ - 類似ページ

P.153〜P.155 ビタミンCの摂り方
ビタミンCが、ガンを予防する、と言うのは本当でしょうか。また、「ビタミンCは食事で充分に摂れる」と言う医師や学者が多いようですが、それ以上にサプリメントで摂る意味があるのでしょうか。(45歳の会社員)

 ビタミンCを摂っています。自分ではどのような効果があるのか自覚できないのですが、効果について教えてください。(39歳の主婦)

丸(丸元淑生):アメリカの国立ガン研究所(NCI)は1982年2月に、アリゾナ大学のガン・センターで開かれた『ビタミンとガンに関する第1回の国際会議』でキモブリペンション計画≠発表しました。「疫学調査や動物実験の結果がガンを予防する」と言う証拠を集中的に示している5つの栄養素と、いくつかの化学物質について、ヒトを対象とした実験をも推し進めよう、と言う計画です。
 その会議の冒頭、博士はスピーチされ「ついにガン研究の新しい世紀が始まったのだ」と述べられました。「ガンを予防すると言う証拠が多く上がっている栄養素はビタミンA(ベータ・カロチン=ベータ・カロテン)、ビタミンC、ビタミンE葉酸、セレニウムです。ポーリング研究所でもNCIからの予算を得て、ビタミンCの研究を行っておりますが、その後、何か結果は出ていますか?
ポ(ポーリング博士):我々はガンとの関連でビタミンCの研究をいくつか行っていますが、1つは疫学研究です。カリフォルニアに住む「自分は健康だ」と思っている初老(55歳以上)の白人7百名を対象にしたものです。みな1日にビタミンCを15グラム摂っている人たちで、我々は7年間フォロー(追跡調査)した結果を得ました。
 この人たちの死亡率は対象となる同年齢の白人のカリフォルニア住民の死亡率の約1/2でした。
丸:死亡率が半分になったのは、主としてガンによる死亡者が減ったから、ですか。
ポ:いいえ、主として心臓病による死亡者が減るからです。ガンによってはさして死亡率は低下しないのですが、心臓病による死亡数には、ハッキリ差が表れました。

 ネズミを使った実験では、皮膚ガンを予防できた。

丸:ほう、そうですか。
ポ:その結果は共同研究者と一緒に論文を発表しましたが、他にネズミを対象とした2つの研究を行っています。合衆国の国立ガン研究所の提案に基づいたもので、1つは「紫外線によるネズミの皮膚ガンをどれだけビタミンCが予防できるか、その効果を調べる」ものです。
 ネズミを50匹あるいは100匹の群に分け、ある群はほんのわずかな量のビタミンCしか摂れない食事を与えます。他の群はタップリな量のビタミンCが摂れる食事、いま1つの群はその中間の食事にして効果を調べたのです。
 その結果、ビタミンCをたっぷりと与えた群のネズミは、皮膚ガンの発病がほぼ完全に予防できました。紫外線を照射しておくと、ネズミには通常、2〜3週間で皮膚ガンができるのですが、タップリとビタミンCを与えた群では、予防できなかったとしても、皮膚ガンができるまでにずっと長い時間がかかるのです。
 ネズミを対象にしたもう1つの研究は、8ヶ月前(1985年8月)に国立科学アカデミーの会報に報告を載せましたが、これは乳ガンを発病する系統のネズミを使って調べたものです。
 外からの原因を与えなくても乳ガンを発病しやすい系統のネズミ650匹を使って、実験を行いました。150匹はごく少量のビタミンCしか摂れない食事、残りは何群にも分けて、ビタミンCの量が次第に多くなって行くようにしました。
 その結果、ビタミンCがごくわずかしか摂れない食事の群は、平均60週、人間に当てはめたら中年において、皮膚ガンを発病しました。一方、最も多量にビタミンCを与えた群は、その大多数が乳ガンを発病することなく老齢によって死にました。ビタミンCを多く獲ることで、ほぼ完全にガンから身を守ったと云うことになります。

「ネズミと人間を同一に論じるのは、いかがなもんだろう…」
「人間はネズミほど短命ではないし、倫理(りんり)的に人体実験は出来ませんからね…オット、いけない!喋り過ぎてしまった。このブログの方向性と私の正体が見えて来ました皆様!私の正体は他言無用にて、お願いいたします(水面下で色々な事態が発生しておりますので、以前の私みたいに、ずゥエッたいに多言有用してはいけませんよ〜ッ!)続きは、また明日…」

ビタミンCA [2009年09月01日(火)]
 またしても約束破り≠ナゴメンなさい。「消失ブログの責任をとれ!」と云うお怒りの抗議が、公儀隠密を介して寄せられているもので(じゃあ、余計なストーリーなんか作らなきゃいいじゃん、とか言わないように。好きなんです、バカが…)。

「検事(先生)、袋に「ビタミンC」と、書いてあるじゃないですか」
「最近、老視(=老眼)が進んでね…」思いっきり目を近づけて、呟いた。「なァんだ、ビタミンか。馬鹿らしい…」
「ウマ・シカらしく自然に学んで生きるのも、1つの行き方です」

 と、キレた口調で呟(つぶや)いたあとで、久露埜登利が「あッ!」と叫んだ。緒羅賀は「何がクロのトリガー(引き金)を刺激した」のか分からなかった。

ビタミンを笑う者はビタミンに泣く、んですよ(登場する2人の略歴は、9月1日(火)午前中の更新分を見てね)…」

「おいしく治そう 丸元 淑生 著 文芸春秋社 刊 P.155〜159」

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丸:アメリカではどれくらいの人がビタミンサプリメントを摂っていますか(註:1986年5月現在)。
ポ:6千万人とも聴いていますが、1億人かもしれません。私は正確には知りません。1970年と比べると、おそらく10倍の人がサプリメントを摂るようになっていると思います。
丸:それだけ多くの人がサプリメントを摂るようになったら、健康上の変化が現れているでしょうね。

 ビタミンCによって心臓病のリスク(危険)を減らせる

ポ:この15年間に非常に多くの変化が生まれているのですが、それを示した研究者はただ1人です。チェコスロバキアのエミル・ギンター博士がその人で、彼は『アメリカン・ジャーナル・オブ・ニュートリション』誌に論文を発表して。アメリカ人の冠状動脈性心臓病(心筋梗塞)による死亡者数の減少は、おそらくビタミンCの摂取量の増加によるものだとしています。
 先ほど述べましたように、我々の研究でも、ビタミンCを普通に摂っている人に比べてビタミンCを多量に摂っている人は、心臓病による死亡率が低いことが示されています。ですからビタミンCを多く摂ることで心臓病のリスクを減らせると私は考えています。

―アメリカにおいては、約20年前にそれまで増加の一途を辿(たど)っていた冠状動脈性心臓病による死亡率の上昇が止まり、1955年くらいから逆に連続して低下している。次ページの図(複雑な折れ線グラフのため、割愛させていただきます)は、チェコスロバキア国立栄養研究所のエミル・ギンター博士によるものだが、ビタミンCの消費量の増加とはっきり逆の相関が見られる。
 ギンター博士は、アメリカにおいてこの20年間、冠状動脈性心臓病による死亡率が低下し続けている背後には、いくつかの要因があるとして、次の5つを挙げている。
1.運動
2.高血圧のよりよいコントロールの普及
3。動物性脂肪を植物性脂肪に変えたこと
4.野菜と果物の消費の増加
5.ビタミンCん消費の増加
 この5つである。

丸:ドクターは毎日、どのくらいの量のサプリメントを摂っておられますか。
ポ:私は18グラムのビタミンCを摂っています。ビタミンEは800国際単位(IU)。B群のビタミンがそれぞれ25ミリグラムずつ入っているBコンプレックス(ビタミンB複合体)に、B1だけはさらに50ミリグラム別に摂っています。ビタミンAは4万国際単位(IU)。ミネラルは標準の単位のマルチ・ミネラルを摂っています。ミネラルは摂り過ぎないようにしています。
丸:ビタミンCの唯一の副作用は「下痢」だと云われていますが、1日に18グラムもビタミンCを摂って下痢されることはありませんか。
ポ:誰も、ビタミンCを摂って下痢することはありません。下痢と云うものは病気によるものなので、ビタミンCによる緩下(かんげ)を「下痢」と言ってはいけません。ビタミンCは緩下剤として作用します。緩下剤は下痢を起さずに便を軟らかくします。ビタミンCの場合もそうで、便を軟らかくするだけです。それはいいことで、悪いことではありません。
丸:確かにビタミンCをたくさん摂ると便が軟らかくなりますが、水のようにはなりませんね。

 風邪をひきかけたら軟便になるまでビタミンCを摂る

ポ:体が必要とするビタミンCの量は体の状態によって大きく変わるので、200グラム摂っても便が軟らかくならな場合があります。具合が悪いとそうなるのですが、元気な時は少量で
緩下効果が得られます。私は1日に18グラム摂っていて、それで軟便が保たれています。
丸:私は毎日2グラム摂っているのですが、4グラム摂ると軟便になることがあります。しかし、風邪を罹(ひ)きかけた時は1日に20グラム以上とっても、便は普通ですね。
ポ:私もそうです。私は1日に18グラムが適量ですが、具合が悪い時は、それよりはるかに多く摂っても緩下効果が起こりません。ガン患者の多くは1日に30〜40グラム摂っています。具合が悪くなると、それだけ腸のビタミンCに対する耐性が強くなるわけです。
丸:腸の耐性度は加齢によっても高くなりますか。
ポ:ええ、高くなります。ですから年をとるに連れて多く摂るようにすべきだと私は考えています。それは他のビタミンも同様ですね。
丸:それでは軟便になるまで摂るようにしたらよいのでしょうか。
ポ:そうです。それを目安にしていれば、自分の体の具合もよくつかめます。
丸:具合の悪い時は相当量とっても軟便にならないわけですからね。体がビタミンCを多量に必要としている証拠だから、軟便になるまで摂る必要があると云うことなのですね。

ポ:その点に関しては、ドクター・カスカート3世が優れた研究をしています。

 ここで、緒羅賀検事が、ビールの白い泡を醤油と山葵(わさび)で黄土色に汚した(こんな色になるかどうか、私は知りません…)口を挿(はさ)んだ。

「1日18グラム!それ以外にサプリメントを摂るゥ!?彼らは新興宗教の関係者か宇宙飛行士か?あと、(食品)被害妄想家と云うのもあったな…」
「それについては、今日の午前中(9月1日:火)の更新分ぱくッ!≠読んでもらうとして、それなりの実績を残されていらした人たちです、と、申しておきましょう」
「しかし1歩間違えると、厚生労働省に対する誹謗中傷…いや、国の政策を揶揄(やゆ)する国賊ものだゾ」
「発言の自由が保障されている国で生まれてよかった…っと、云うことで。明日も怒涛の2連チャンを、お楽しみに!
ビタミンCB [2009年09月02日(水)]
「ところで、クロちゃん」鯛と平目とマグロの3種盛りと、赤貝のおつくりの皿を、グローブみたいに膨らんだ指で機用に迷い箸(ばし)しながら、続ける。「15年間飼い続けている桜文鳥の
…重吾クン、だっけ?は、元気か?」
「あっ!?」

 またも、久露埜登利が「あッ!」と叫んだ。緒羅賀は「何がクロのトリガー(引き金)を刺激した」のか分からなかった(いい加減、慣れてきてもいいとは思いますが…)。

「しまった、1日1回の栄養補給の時間…まっ、いいか」
「鳥にも栄養補給をしているのか、キミは?!」
「信ずる者は救われる、です。私はキリスト教徒なクリスチャン(=キリスト教徒、と同義語)ではありませんが…先を急ぎましょう」

 ちなみに、登場する2人の略歴は、9月1日(火)更新分no.1を見てね。

「おいしく治そう 丸元 淑生 著 文芸春秋社 刊 P.159〜162」

 これは、あなたに勧めているわけでは御座いません。世の中には、「こういう考え方があり、それを実践している方が居る」と、云うことです。また、現在ではいろいろな研究により、それぞれの栄養素の効用や弊害(へいがい=副作用)についての情報が公開されております。
 実践されます方は、くれぐれも御確認の上、自己責任・自己管理の下(もと)で行って下さい。


丸:それでは軟便になるまで摂るようにしたらよいのでしょうか。
ポ:そうです。それを目安にしていれば、自分の体の具合もよくつかめます。
丸:具合の悪い時は相当量とっても軟便にならないわけですからね。体がビタミンCを多量に必要としている証拠だから、軟便になるまで摂る必要があると云うことなのですね。
ポ:その点に関しては、ドクター・カスカート3世が優れた研究をしています。彼は過去10から2年の間に、様々な病気の患者1万1千名以上にビタミンCを処方して、腸耐性の限界量のリストを作り上げたのです。
 インフルエンザのような病気だと、1日に、だいたい100グラム。肝炎や単核症患者の場合は、1日に200グラムのビタミンCを摂っても軟便にならないことがしばしばあるのですね。
 ドクター・カスカートがこの研究を始めたのは、私のビタミンCと風邪≠ニ云う本を読んだから、と云うことです。それまでは、彼自身がよく風邪を罹(ひ)いていて内耳の感染で耳が痛んでいたのです。しかし彼は風邪の最初の徴候を覚えた時に8グラムのビタミンCを摂ると風邪を罹かずに済むことに気づきました。彼は整形外科医だったのですが、このビタミンCの価値に非常に心を動かされて、感染症を扱う内科医に転じたのです。

 白血球の働きを高め免疫システムを強化する

丸:ドクター・カスカートは、軽い風邪ならば1日に25〜60グラム、重い風邪だと60〜100グラムと云うように、軟便になるビタミンCの量の病気別リストを発表していますが、軟便になる量―つまり、大腸耐性の80〜90%の量のビタミンCを摂らなければ、治癒効果は得られない、としていますね。
 たとえば元気な時には1日4グラムのビタミンCを摂っても軟便になる人が、風邪を罹きかけると1日25グラムくらい摂らなければ軟便にはならない。そして、軟便になるまでビタミンCを摂らなければその効果はないと云うのですね。しかも、それは軽い風邪の場合であり、ひどい風邪になると100グラムくらい摂らなければ軟便にならないので、ドクター・カスカートは100グラム風邪≠ニ呼んでいます。罹きかけの軽い風邪は25グラム風邪≠ナす。
 25グラム風邪ならば1時間おきに2グラムずつビタミンCを摂って15時間以上になると軟式便になり、同時に風邪も治る、と云うのですね。ところが風邪で医者にかかるのは、たいてい100g風邪になってしまった人たちで、そういう人たちに10グラム程度のビタミンCが処方されても効果は現れません。それで無効と云うことになるわけです。しかし、ドクター・カスカートは、100グラム風邪を治すには100グラムのビタミンCが必要なのだと述べています。そこまでビタミンCに対する大腸の耐性が高まるのは、それだけ体がビタミンCを必要としてくるからだ、と云うですね。
ポ:そのとおりです。最近、彼はビタミンCでエイズ患者の治療も行っています。私はそういう患者の何人かに会いました。また別の医師の患者で忘れられないのはカボジ肉腫(皮膚ガンの1種)を患っていた人です。その人は自主的に1日に50グラムのビタミンCを摂り始めたのです。その結果、数ヵ月後には皮膚の病巣がきれいに治り、医師が大変に感銘を受けて私のところに、その患者さんを連れてみえたのです。
丸:そう言うビタミンCの効果は、どう云う働きによるものでしょうか。
ポ:私は主として免疫システムに関与したものではないかと考えています。免疫システムをより効果的にするのですね。
丸:どのようにしてでしょうか。
ポ:ビタミンCを多く摂ると抗体が作られます。IgMやIgGが多く作られる事が観察されるのです。アメリカ合衆国の国立ガン研究所(NIC)は、ビタミンCの高摂取によってリンパ球のT細胞が多量に作られることを報告しています。リンパ球はバクテリア細胞や、ウイルス細胞、ガン細部を破壊する働きをします。
 また白血球の中には、ある量のビタミンCが含まれていなくてはなりません。

―我々の体内に異物(抗原)が侵入すると、体は白血球やリンパ球で捕らえて溶解する一方、抗原と特異的に結合する物質(抗体)を作り出す。抗体はIgG,IgA、IgM、,IgD、IgEの5種に大別されるが、抗体が抗原に結合すると、それに血清中の補体(ほたい)がくっついて分解する。

 ん?…ぱくッ!
抗体 - Wikipedia
抗体は定常領域の構造の違いにより、いくつかのクラス (アイソタイプ)に分けられる。多くの哺乳類では、定常領域の構造の違いによりIgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類のクラスの免疫グロブリンに分類される。それぞれのクラスの免疫グロブリンは大きさや ...
ja.wikipedia.org/wiki/抗体 - キャッシュ - 類似ページ

 保健体育の略か…ぱくッ!
補体 - Wikipedia
補体(ほたい)とは免疫反応を媒介する血中タンパク質の一群で、動物血液中に含まれる。抗体が体内に侵入してきた細菌などの微生物に結合すると、補体は抗体により活性化され、そして細菌の細胞膜を壊すなどして生体防御に働く。補体は易熱性で ...
簡易解説・補体(系) - 歴史 - 概観 - 補体系の制御
ja.wikipedia.org/wiki/補体 - キャッシュ - 類似ページ

ポ:ビタミンCを多く摂るとまた、細胞の中により多くのインターフェロンが造られます。そして、インターフェロンは抗ウイルスの働きをします。多分抗ガンの働きもすると思われますが、それはあまり大きな力ではありません。
 白血球は感染やガンと闘うために体のあらゆる部分に移動していくのです、ビタミンCが大量に存在していると、その化学走性、つまり移動能率が高まります。これらの全てが重なりあるいはまた他の理由からも、ビタミンCは免疫システムを強化すると考えられます。

―インターフェロンはウイルス抑制因子、とも呼ばれる。ウィルスが侵入してきた時に、抗体が出来る前にウィルスに感染した細胞が作り出すウィルスの増殖を抑えるタンパク質。

 本当かな…ぱくッ!
インターフェロン - Wikipedia
これらに加えマウスでリミチン(LimitinまたはIFN-ζ)、ウシなどでIFN-τ、ブタでIFN-δが見つかっている。タイプIインターフェロンはすべてIFNAR(IFNAR1とIFNAR2に分けられる)という細胞表面の特異的な受容体複合体に結合する。 ...
タイプ - 作用機序 - 医学的利用 - 脚注
ja.wikipedia.org/wiki/インターフェロン - キャッシュ - 類似ページ

丸:博士は見るからに健康そうで、とても85歳とは思えませんが(ポーリングは1994年8月19日に93歳で公演先のホテルにて、前立腺癌で他界した。遺体はアメリカ合衆国オレゴン州レイク・オスウィーゴのオスウィーゴ・パイオニア墓地に埋葬された)何か運動をなさっていますか。

 緒羅賀検事は、タップリと膨らんだビールッ腹をタップン・タップン揺らしながら、苦笑した。

「メタ坊には、耳の痛い展開だな…」
「じゃ、続きは今夜のお楽しみと云うことで…キャア、恥ずかしいッ!」
ビタミンCC [2009年09月02日(水)]
「あっ!?」

 久露埜登利が「あッ!」と叫んだ。緒羅賀は「何度、クロのトリガー(引き金)が引かれた」のか分からなかった(そりゃあ、数えている人はいないだろうな…って云うかァ、クドクなァい?)。

「運動で思い出した、夜の放鳥の時間…まっ、いいか」
「鳥にも運動時間を作っているのか、キミは?!」
「信ずる者は救われる、です。で、昨日の続きですが…」

 ちなみに、登場する2人の略歴は、9月1日(火)更新分を見てね。

「おいしく治そう 丸元 淑生 著 文芸春秋社 刊 P.162〜165」

 これは、あなたに勧めているわけでは御座いません。世の中には、「こういう考え方があり、それを実践している方が居る」と、云うことです。また、現在ではいろいろな研究により、それぞれの栄養素の効用や弊害(へいがい=副作用)についての情報が公開されております。
 実践されます方は、くれぐれも御確認の上、自己責任・自己管理の下(もと)で行って下さい。


丸:博士は見るからに健康そうで、とても85歳とは思えませんが(ポーリングは1994年8月19日に93歳で公演先のホテルにて、前立腺癌で他界した。遺体はアメリカ合衆国オレゴン州レイク・オスウィーゴのオスウィーゴ・パイオニア墓地に埋葬された)何か運動をなさっていますか。
ポ:あまり運動はしません。暖炉に火を燃やすために木を運ぶくらいです。それに庭弄(いじ)りをしています。

  ビタミンCはストレス対応を善くしてくれる

丸:もっと、お若い頃はいかがでしたか。
ポ:やはり、何もやっていませんでした。
丸:運動はあまり重要ではないと、お考えですか。
ポ:重要だと思います。しかし、それほどたくさん運動する必要はない、と思っていたのです。
散歩に出るのはよいことだと思いますが、私はいつも、他のことをやりたくなるために、出かけられなくなるんです。しかし、他人には勧めています。私も家内が生きていた時は、彼女と一緒に、よく出かけていきました。
丸:奥様のお年は。
ポ:私よりも3つ下で、彼女は4年前に亡くなりました。
丸:飛行機に乗っての旅行で、疲れになりませんか。
ポ:疲れますね。疲れるだけでなく退屈します。家に帰って仕事をしたいと思います。しかし、実を云うと私は旅行中も仕事をしているのです。いま貴方がこのホテルにみえた時も、私は原子核構造の計算をしていました。私は退屈すると科学の問題を解くようにしているのです。私は未だに科学について非常に大きな関心を持っていますし、問題を解くのが好きです。そして、問題が解けた場合には、論文を発表します。最初の論文を私は1923年に発表しました。63年前の事です。それ以来、約6百の論文を発表してきました。
丸:ストレスはありませんか。
ポ:科学の問題に取り組んで仕事をしていると、私はリラックスできるのです。
 それでもこれまでの人生で何度か大きなストレスに見舞われたことがありましたが、ビタミンcがそれをコントロールする助けをしてくれました。ストレスとビタミンCに関してはカナダのトロント大学のドクター・テランス・アンダーソンの研究があります。彼はビタミンCについての研究を重ねてきて、ビタミンCは抗ストレス・ビタミンと云うことが出来る、と述べています。

 ビタミンCの摂取量と健康のレベルについて。ビタミンCは必須の栄養素だから摂取量が0に近づくと死亡する。ビタミンCの欠乏症としてよく知られている壊血病は、死にすぐ隣接した点と思って良い。
 アメリカ政府のRDA(1日当りの摂取勧告量)では60ミリグラム、我が国の栄養所要量では50ミリグラム(註:体格による差異)である。これは普通の食事をしていれば充分に摂れる量である。よほど果物を食べないとか、新鮮な野菜を摂らないという人の場合は摂取量の低下により、胃ガンや食道ガンのリスク(註:危険)が高まり、疲れやすくなり、傷が治りにくい、打ち身で青痣(註:あおあざ)が出来やすいと言った、欠乏の兆候が現れてくる。
 歯ぐきからの出血は、ほんのわずかな欠乏によっても起こるものなので、それを欠乏の目安にすることが出来る(註:歯槽膿漏(しそうのうろう)の予防や治療になりえると言う確証は御座いません。これは、別の原因によるものです)。
 軟便はビタミンCによる最大の恩恵が得られる現象(註:下痢では御座いません)で、その量は年齢や体調によって変わってくる。ドクター・ポーリングの場合は18グラムで、私(註:丸元)の場合は4〜10グラムだが、便が軟らかくなる現象なので誰でも間違えようが無い。
 また軟便になるので、それ以上は摂る気になれなくなる。
 歯ぐきからの出血(欠乏)点から軟便の間は摂取量が増すにつれ、健康のレベルが高まる。コレステロールが下がり、ストレス対応がよくなり、免疫力が強まると言った恩恵が重なっていくからだ。

 緒羅賀検事は、「ほゥ」っと溜息を吐くと、飲みさしのビールにビタミンCの粉末を投入した。

 それを観た久露埜登利が「あッ!」と叫んだ。「検事(先生)、なんて無謀なことを…!」

 クロのトリガー(引き金)が引かれると、よくないことが起きる≠サの詞(ことば)通りに、何度目かの小さな災い?が2人を襲った。

 何度目かの小さな災い―そう、無防備に炭酸飲料水へビタミンCの粉末を混入すると、泡だってコップや缶から溢れ出てしまうのだ…くれぐれも、御用心を!

「で、だ」忌々しげに自分の掌(てのひら)から骨格を抜き取ったような布巾≠ナテーブルを拭きながらも、緒羅賀は威厳を失わないようにどこまでも上から目線≠ナ続ける。「天然型のビタミンCと人工型ビタミンCの違いってどこ?」

 しまった!勉強不足な点を…指が滑ったァあ!!
 
ビタミンCD [2009年09月03日(木)]
ビタミンCと天然型ビタミンCについて - 教えて!goo
また、天然型ビタミンCのキャッチフレーズに『天然型なので体に安心』と書いてあったのですが、天然型じゃない ... 知人から聞いたところによると天然のビタミンCというのは微量しか取れないので大変高価で、多くは人工ですがL-アスコルビリン酸(という ...
oshiete1.goo.ne.jp/qa206621.html - キャッシュ - 類似ページ

Vita-Cafe:ビタミンCについて
天然のビタミンCと人工のビタミンCとはどう違いますか? A, 果物や野菜に含まれているビタミンCを「天然型ビタミンC」と呼びます。 しかし、取り出されたビタミンCと、化学合成、あるいは酵素合成されている通常のビタミンCとでは、化学的にも性質も ...
www.upper-village.com/provita/vitaminc.html - キャッシュ - 類似ページ

「なにィ〜ッ!天然型も人工型も変わらんのかァ〜?!」
「検事(先生)、科学者がその気になれば、いくらでも純粋な成分は造れますよ」久露埜は、アヒルが無理にニヒルな笑顔を作ったような、ぎこちない笑顔で云った。「ただし、空腹時に大量のビタミンCを摂ると胃(=大腸を含む消化管)を刺激するので、グルコン酸カルシウムを同時に摂取することをお勧めいたしますがね」
「ぐる子さん、軽石、生む…なんじゃそりゃ?!」

カルシウム D-グルカレイト(グルコン酸カルシウム) ≪アメリカン通販 ...
アメリカン通販なら有名ブランドの カルシウム D-グルカレイト(グルコン酸カルシウム) が安心価格でお求めいただけます。 ... ビタミン ... ソース ナチュラルス社のカルシウム D-グルカレイト(グルコン酸カルシウム)は、身体の解毒作用を増進する効果のある特許登録成分・グルカレイトを配合してます。 ... (C)アメリカン通販 2004-
www.ametsu.com/ametsu1/detail.cfm?pid=8459 - キャッシュ - 類似ページ

「世間一般的に、グルコン酸カルシウムが推奨されているようですが、私はヤフ・オクで安いエスターCを見つけて、DHCの1500ミリグラムと一緒に摂っています」

ポーリング博士のエスターC - 教えて!goo
2007年11月26日 ... ポーリング博士のエスターCが製造中止や、在庫切れなどで購入できなくなってしまいました。製造中止の経路や入手方法などご存知の方もしくは、他でおすすめのビタミンCをお聞かせ下さい。宜しくお願い致します。
oshiete1.goo.ne.jp/qa3502326.html - キャッシュ - 類似ページ

「しかしなァ、クロちゃんや。酸っぱい物が苦手な人、私はどうすればいいんだ…」

 緒羅賀は踏み潰されたアンパンみたいに真ん丸な顔を皺だらけにして呻(うめ)いた。アンパンを圧縮すると餡子(アンコ)が均一になってお得な気分になるが、緒羅賀の表情は…うゥ、想像したくない!

ビタミンCやサプリメントとが苦手な人には、亜麻仁油があります」
「尼に言う?って、尼さんに告げ口して何が楽しいんだ?」
「海女さんにウニやサザエの在処(ありか)を告げ口して、分け前をもらえれば楽しいでしょう?」
「漁業関係者を欺くような違法な商品があるのか?問題だな…」
「問題は、検事(先生)の複雑な思考形態にある気がしますが…えい!ぱくッ!!」

 これは、あなたに勧めているわけでは御座いません。世の中には、「こういう考え方があり、それを実践している方が居る」と、云うことです。また、現在ではいろいろな研究により、それぞれの栄養素の効用や弊害(へいがい=副作用)についての情報が公開されております。
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Amazon.co.jp: 医者も知らない亜麻仁油パワー―ガン・心臓病も治す ...
Amazon.co.jp: 医者も知らない亜麻仁油パワー―ガン・心臓病も治す、植物オイル: ドナルド ラディン, クララ フェリックス, Donald Rudin, Clara Felix, 今村 光一: 本.
www.amazon.co.jp/医者も知らない亜麻仁油パワー―ガン・心臓病も治す... - キャッシュ - 類似ページ

亜麻仁油の効果
生活習慣病、アトピーやダイエットにも効果が高い亜麻仁油(アマニ油)に注目が集まっています。亜麻仁油はフラックスオイルとも言われオメガ3脂肪酸の含有量が非常に高い厚生省の健康推奨食品。その高い効果と口コミでの評判やフローラ社などから販売 ...
www.infokabu34.com/amaniabura/flaxoil.html - キャッシュ - 類似ページ

 お待たせいたしました、ARAJINさん&ヤフー知恵袋の皆様。今晩より、私の不手際により消失してしまった「亜麻仁油」の無断転載が始まります。遅くなりましたが、お許し下さい(著作権関係者の皆様も…今回も大目に見てネ)。

 と、その時。久露埜登利が「あッ!」と叫んだ。緒羅賀は「クロのトリガー(引き金)が引かれても、もう悪いことは起きないだろう」と、タカをくくっていた。

「検事(先生)大変だァ、字数オーバーで今晩に続く、です…チャン、チャン!」
日本語版への序文 [2009年09月03日(木)]
 これより、9月半ばまで、無断転載が続きます。興味のない方は、他のサイトへ!

 これは、あなたに勧めているわけでは御座いません。世の中には、「こういう考え方があり、それを実践している方が居る」と、云うことです。また、現在ではいろいろな研究により、それぞれの栄養素の効用や弊害(へいがい=副作用)についての情報が公開されております。
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【楽天市場】医者も知らない亜麻仁油パワー:楽天ブックス誰も知らなかった“オメガ‐3”の重要性/第2章 こんな病気にオメガ‐3が効く!―オメガ‐3の不足と病気には関連がある/第3章 亜麻仁油の“オメガ‐3”で劇的な効果が上がった!―その症例と経過/第4章 毎日の生活にオメガ‐3を取り入れるために―食品 ...
item.rakuten.co.jp/book/1537560/ - キャッシュ - 類似ページ

医者も知らない亜麻仁油パワー D.ラディン&C.フェリックス 共著
               今村 光一 訳
               2003年3月20日第1刷発行
中央アート出版1800円+税

 著者
D.ラディン医学博士
(DONALD RUDIN,M.D=メディカル・ドクター=医師)
ハーバード大学医学部出身。1956年から20年余り、東ペンシルバニア精神医学研究所の分子生物学部長や所長を務め、この間にオメガ―3の研究に着手。この分野での世界的権威で、多くの学者が博士の研究をガイドにしている。
 本書は博士のオメガ―3の臨床研究を一般向けに集大成したものである。

C.フェリックス栄養学士
 (CLARA FELIEX)
 カリフォルニア大学(U.C.L.A)で栄養学を学んだ栄養コンサルタントで、一般向きの講演活動を行う一方で、月2回の栄養関係のニュース・レター『フェリックス・レター』を‘81年から自身で発行し、一般の人への啓蒙(けいもう)活動を行っている。
 栄養関係のサイエンスライターとして有名である。

訳者 今村 光一(健康ジャーナリスト、翻訳家)
 1935年、東京生まれ。早稲田大学英文学部中退。
 常に時代をリードする先鋭な発言で知られ、健康に関心を抱いている人々から支持されている。著・訳書多数。
『危険な油が病気を起こしている』
『ガン勝利者25人の証言』
『医者の知らないホルモンバランス』(以上、中央アート出版社)
『マックス・ゲルソン ガン食事療法全書』(徳間書店)など。

オフィス今村≠主催。会員への最新健康情報の提供や健康相談に応える「月間ヘルス・レター」を発行している。ホームページのアドレスはhttp://member.nifty.ne.jp/imamura-koichi(2009年9月3日現在、検索不能でした)

P.2〜3 日本語版への序文―オメガ―3の不足が大問題だった

 日本も含めて現代の先進国ではガン・心臓病・脳卒中・糖尿病・リュウマチ様関節炎や骨関節炎、アレルギーや老人性痴呆症、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などなどの他に消化器関連の諸病、偏頭痛・生理不順といった体の病気、それに精神分裂病や抑うつ症等の心や脳の病気が増えている。先進各国で医療費が年々急増して大きな政治問題、社会問題にすらなっているのも、これらの病気の急増のためである。
 では、このような病気なぜ急増しているのか?その大きな原因はオメガ―3≠ニいわれる脂肪の摂取がひどく不足していることなのだ。本書の題名(原題)を『オメガ―3の脂肪酸(OMEGA 3 OILS)』と言うストレートな題名にしたのもそう言う意味である。
 私はハーバード大学医学部の研究者および同大学所属の東ペンシルバニア精神医学研究所の所長として35年間の研究生活を通じて、医学研究の中でも脂肪の働きの解明が重要な問題と考えてきた。そして、この立場から先進各国での過去100年来の食生活と食品の内容的な変化の跡を追跡してみた。その結果わかったのは、先進各国ではオメガ―3の必須脂肪酸の摂取が昔に比べひどく少なくなっていると言う事実であった。そして本文でも書いているとおり、日本も例外ではないのだった。
 オメガ―3という必須脂肪酸の研究は比較的最近の研究テーマだが、本書の訳者によれば日本でもようやく関心が持たれ始めているようだ。訳者によると「最近は日本の食糧栄養学会や脂質栄養学会でもオメガ―3の脂肪酸のことが盛んに取り上げられ、『肥満者は血液中のオメガ―3が不足している』(日本の国立健康・栄養研究所、および東京家政大学)とか『痴呆老人ではオメガ―3が健康な老人に比べ不足している』(東北大学)と言った研究が発表されている」と、言う。
ではオメガ―3の不足は、なぜ肥満や痴呆と関連があったり、冒頭に上げたような多くの病気の原因になったりするのか?それはこの必須脂肪酸が、単なるカロリー源ではなくて細胞膜の構成要素になったり、体のほとんどの機能を支配していて「第3のホルモン」と呼ばれているプロスタグランディンと言う重要なホルモン様物質の原料になっている脂肪酸だからである。プロスタグランディンは、この発見者が10年ほど前にノーベル賞を受賞したのでもわかるように極めて重要な生理活性物質なので、これが原料のオメガ―3の不足で欠乏すれば体の機能は狂って万病≠フ原因になっても不思議ではない。また細胞膜の構成要素のオメガ―3の不足は細胞膜を病んだ細胞膜にしてしまうから、これも万病≠フ原因になって当然である。
従来も多くの食事・栄養ガイドが発表されている。しかし、オメガ―3に注目した食事・栄養ガイドは本書が始めてで、私はそれゆえオメガ―3作戦#h世界でも最初の完璧な食事・栄養ガイドだと自負している。他のやり方では治らなかった多くの患者が治っているのもこのゆえだ。
 オメガー3の必須脂肪酸が他の先進諸国同様に不足がちで、それゆえに病気に苦しんでいる日本の読者が、本書を病気を治すために活用してくれれば、こんな嬉しい事は無い。また本書はとくに健康上のトラブル(障害)はないと言う読者にも、より強健でエネルギッシュになるために役立ててもらえるものである。
                                            著者
P.4〜5 訳者からのメッセージ―「脂肪は摂るな」は危険な常識

 本書は研究書としても実用書としても、素晴らしい名著だと思う。現代病発生の病理学的な「理論」はもちろんとして、「症状」や「原因」、「著者の離床治療法」、「食事のレシピ(作り方)メニュー(献立)」、「摂取計画」、そして「患者自身による効き方の確かめ方」までが具体的に説明されている。従って、これで、ラディン博士の数10年の研究の成果を自宅で確かめることが出来るのだ。
 理論のキーワ−ド(鍵=カギ)は2つだ。必須脂肪酸オメガ―3を補うことで
1.変質した細胞を正常にする。
2.プロスタグランディンと云うホルモンを造る。
 この2つである。私たち人間は、皮膚細胞とか脳細胞、筋肉細胞、骨細胞など各種の細胞で構成されている。細胞の構成要素の1つに「オメガ―3」と言う必須の脂肪酸がある。オメガ―3は体内で造り出せない必須の脂肪酸であるのに、食生活の変化で体外からの摂取量が激減した。そして細胞が変質し、現代病発生の主原因となってしまった原著の副題はto improve(改善する)degenerative diseases(細胞の変質)とある。つまり必須の脂肪(オメガ―3)の欠乏で起こる色々な「細胞変質病」をオメガ―3で治すと言う意味である。
 最近「ダイエットのために中性脂肪を抑える」とか「LDLコレステロール(悪玉コレステロール)値を低くするために、脂肪をカットするのが健康の常識のように思われている。しかし脂肪が人体の大切な構成要素であり、エネルギー源であることには変わりは無い。冗談話のようだが「過剰反応して脂肪を控えたがために、栄養失調で倒れてしまったケース(例)」もある。要は摂るべき脂肪の選別と量である。そのためには『危険な油が病気を起こしている(中央アート出版社刊)』といった本が参考になる。またオメガ―6を含むリノール酸油(コーン油や紅花油など)が植物油で体にいい」とされてきたが、最近はその過剰摂取を日本脂質栄養学界も警告している。「オメガ―3」の摂取でバランスを取り戻す必要がある。
原著者は、「現代病の治療のためのオメガ―3の補給源」として、亜麻仁油を勧めている。オメガ―3の含有量が最も多いからだ。価格の問題も大きい。サプリメントが高価であっても仕方がないという風潮があるが、毎日の食事と同じわけで、気軽に使えなければ意味が無い。この点、亜麻仁油なら価格も安いし使いやすいという利点もある。
目次 [2009年09月04日(金)]
 これは、あなたに勧めているわけでは御座いません。世の中には、「こういう考え方があり、それを実践している方が居る」と、云うことです。また、現在ではいろいろな研究により、それぞれの栄養素の効用や弊害(へいがい=副作用)についての情報が公開されております。
 実践されます方は、くれぐれも御確認の上、自己責任・自己管理の下(もと)で行って下さい。

日本語版への序文−1 訳者からのメッセージ―4

第1章 いまの食生活が病気を起している!誰も知らなかったオメガ―3の重要性
現代の疫病≠ニは?−18
食品工業の≠ェ問題を起している―21
オメガ―3が病気を治す―24
オメガ―3とは?―26
オメガ―3が不足する理由−31
第3のホルモン―プロスタグランディンの働き−39
オメガ―3とオメガ―6の必要量には個人差がある-43
第2章 こんな病気にオメガ―3が効く!オメガ―3の不足と病気には関連がある
病気を引き起こす7つの要素―52
繊維とオメガ―3の重要性60
驚くほどの効果を上げたオメガ―3作戦―69
「狂った脂肪」が病気を引き起こす―73
ノルウェ0の覗き窓′サ象―74
データが示すオメガ―3の現象と現代病の急増―76
精神分裂病とその他の精神病―81
心臓病―85
心臓病や脳卒中にオメガ―3が及ぼす効果―88
ガン―96
糖尿病―98
肥満―103
免疫の異常―105
病気退治のマジック・ガン=\106
第3章 亜麻仁油のオメガ―3で劇的な効果があった!その症例と効果
皮膚のトラブルが治った―118
皮膚のためのオメガ―3作戦―129
皮膚を内と外からよくする―133
粘液嚢(のう)炎。腱鞘(けんしょう)炎・リュウマチ様関節炎もよくなった―136
免疫機能のトラブルも治る―139
頭痛が消えた―141
前立腺肥大症による頻尿にも効果があった―142
心臓病・血管病にも効果があった―142
過敏性腸症候群に効果があった―147
亜麻仁油で子供が生まれた―147
生理のトラブルも治った―148
生理前症候群(PMS)の症状が軽減した―150
前立腺肥大症が治った―158
精神病や神経症にも効果が上がった―159
病的な抑うつ症にも効果がある―165
どの症状にもオメガ―3が共通の武器―170
オメガ―3でこんな病気も治る―173
第4章 毎日の生活にオメガ―3を取り入れる 食品ガイド・アレルギー対策 
オメガ―3メニューのための食品群―184
果物、野菜、穀物の重要性―188
肉と魚の選び方―198
乳製品と必須脂肪酸の選び方―202
腸内細菌を見方にしよう―204
買うべきもの、買ってはいけない物―212
毎日のオメガ―3メニューが病気を防ぐ―218
栄養的に完璧なオメガ―3メニュー―219
オメガ―3メニューを実行する前に―226
食物アレルギーについて―227
母親と乳児のためのオメガ―3メニュー―235
過運動児(落ち着きの無い子供)の治療法―248
自閉症と免疫機能の異常―250
食事が歯に与える影響―251
長寿と老化防止のために―256
老化と脂肪酸の必要性―259
第5章 オメガ―3作戦を実行する 実践のためのプログラムと注意点 
プログラムを始める前に―266
サプリメント・プログラム―273
第1段階 オメガ―3の必須脂肪酸の選択と量の調整―275
第2段階 協働要素としての栄養物質、ビタミンミネラル、繊維の補給―282
第3段階 プログラム継続―302
第4段階 オメガ―3とオメガ―6の必須脂肪酸のバランスのとり方―308 
訳者あとがき―321
参考資料―327
 資料1脂肪の種類と心臓系統への作用
資料2オメガ―3のガンへの効果
資料3体の中での脂肪酸の変化
資料4脂肪酸の含有量
本文索引/病名・医学用語別索引(重複するため、割愛させていただきます)
脂肪ミニ知識
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