ロードバイクに乗りながら、多摩川サイクリングロード(多摩サイ)で見た夢、見た風景、想った事などを中心に、気ままに更新中のブログです。地球の上の様々な場所の一つ、東京の近郊から。

しびれるほど面白い脳A [2007年05月09日(水)]
鎖骨骨折から117日目。

昨日に続いて、池谷裕二著「進化しすぎた脳」(2007年 講談社)について。

本書には、興味深いテーマが判りやすく語られている。備忘録として、2点だけ書き留める。

1)脳の地図のダイナミックな進化
 ・脳の地図は、体に合わせて変わり、進化する。
  ・指が4本になれば、脳地図も4本になる。
  ・もし指が6本あれば、6本の脳地図ができるはず。
 ・体と脳は、相互にコントロールしあっている。
 ・脳が一方的に体をコントロールしている訳ではない。

2)言葉の重要性
 ・言葉には2つの側面がある。
  ・コミュニケーションの手段、伝達のための信号・記号
   (痛い、暑い、お腹が減った、遊びたい、など)
  ・抽象的な思考をするための道具
    例)この深い感動をどう表現しようか。
      自我とは何だろうか。
 ・動物が発する声は、伝達のための信号にすぎない。
 ・人間は、言語を繰ることで、抽象的な思考ができる。これが重要。

「人間は脳の力を使いこなせていない」、という章では、病気で脳の成長を妨げられた例が挙げられていた。

子供の頃からの病気で、脳が10%程度しか発達しなかった人でも、日常生活やIQのレベルは健常者と変わりないケースが多い。このことから、人間が持っている脳は必要以上であり、「人間の脳は、必要な程度の進化を遂げたのではなく、過激に進化してきた」、という。そしてこの過激な進化は、将来予期せぬことが起こったときの「余裕」であり、「未来への予備」、と続けている。

本書のタイトル「進化しすぎた脳」は、ここから来ている。

positiveな考え方で、とても面白い。

慶応義塾ニューヨーク学院高等部での講義は、こんな言葉で結ばれている。

「脳を理解しようなんて、そもそも傲慢でおこがましいチャレンジだと僕は感じはじめている。(中略) 人間ってこんなにも素敵な存在なんだから、人間の脳がそんな簡単にわかってたまるかってね。(後略)」

研究者としての謙虚さが、池谷氏の魅力の一つだと思う。

目が離せない脳科学者を、もう一人見つけた。
posted at 22:10 | この記事のURL
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しびれるほど面白い脳 [2007年05月08日(火)]
鎖骨骨折から116日目。

GW連休中、池谷祐二著『進化しすぎた脳』(2007年 講談社) を読んだ。

2004年春に慶応義塾ニューヨーク学院高等部で行なわれた4日間の講義録で、2年前に朝日出版社から出た単行本が底本。追加講義として、筆者の研究室での対話が書き加えられ、講談社ブルーバックスから、新版として出版された。

旧版と同様、表紙は真っ赤。帯には、「しびれるくらいに面白い!」 という大きな文字と、「朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、日経新聞、NHK週間ブックレビューほかで大絶賛」と書かれている。

駅前の書店で偶然手に取り、躊躇なく購入した。

脳の機能、体と脳の相互関係、意識と無意識の境界、言葉の重要性、記憶の曖昧さと学習の遅さの意味、脳の細部のメカニズム、部分と全体の不可分性、アルツハイマー病、等について、講義の様子をそのまま伝えるスタイルで、平易な言葉で書かれている。

高校生の素朴でストレートな問いかけに、真摯に向き合う姿も、素晴らしい。

池谷氏は、東京大学大学院・薬学系研究科の講師。

知的な興奮とともに、清々しい爽快感を感じるのは、筆者の人柄によるものではないだろうか。(お会いした訳ではないが。)

講義の内容も、そのベースとなる人柄も、全て池谷氏の脳の働きによるもの。そして、それを感じて受け止めるのは、読者自身の脳の働き。

約1,000億個の神経細胞と、神経細胞同士をつなぐ100兆規模のネットワーク(シナプス)が、1.5リットルにも満たない脳空間で作り出す世界。

脳は、しびれるほど、不思議で面白い!
posted at 21:50 | この記事のURL
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