●鎖骨骨折から643日目。
先週末、「ロベール・ドアノー写真展」 に行ってきた。
ロベール・ドアノー(1912-1994)は、パリを舞台に、軽妙洒脱で幸福感に満ちた瞬間を写してきた著名な写真家。
本展は、2006年10月パリ市庁舎内で開催され、本国フランスでも11年ぶりとなった大回顧展の日本巡回展。
日本橋三越本店・新館7Fのギャラリーに、200数点の写真やパネルが作品が並べられていた。展示にも工夫が見られ、モノクロの作品群に、躍動感が溢れていた。
ポスターに使われている「パリ市庁舎前のキス」は、僕にとって、とても思い出深い写真。
20歳代の頃、仕事で訪れたシドニーで、偶然この作品の大きなポスターを見かけ、衝動買いをした。当時は、ドアノーの名前も、この作品が非常に有名であることも、全く知らなかったが、ココロに響いた。連日連夜のハードワークで「愛おしさ」を切望していたのかも知れない。
それから時が経ち、本物の写真を見た。控え目に展示された作品の前で、暫く立ち止まり、ゆっくりと見た。憧れの人(写真)に、ようやく逢えた。
「ギャラリー・ロミのウィンドウ」も面白かった。裸の女性の絵が飾られている画廊のウィンドウを覗く人々を撮影した連作で、人々の多彩な表情が、活き活きと切り取られている。
しかもこの連作は、透明のガラス板に並べて展示され、向こう側からこの作品を見る人達の様子が確認できるよう工夫されていた。ドアノー本人がこの展示を見たら、さぞ喜ぶのでは、とも思う。
上映されていたショートフィルムも面白かった。作品をバックに、ドアノー自身が、こう語る。
「これが私のパリだ」、だと。
素敵な言葉だと思う。
「これが私の東京だ」、という写真を撮りたい。