第4章 免疫の心強い味方@ [2009年12月08日(火)]
これは貴方にお勧めしているわけでは御座いません。世の中には、こういう考え方もある、と言うことで無断転載させていただいております。
もしも実践される場合は、自己判断・自己責任でお願い申し上げます。
ここ数年、聞きなれない病気が盛んに報道されるようになった。エイズ、エボラ・ヴィルス、マールブルグ病ヴィルス、ハンタ・ヴィルス、耐性の肺炎、耐性の結核、人食いバクテリアなどなど。いずれも命に関わる病気だ。私たちがこのような病気に恐怖を覚えるのには、2つの理由がある。
まず第1に、かかってしまえば死ぬかもしれない。
第2に回復が難しい。あるいは、絶望的だ。
このような病気に1つでも救いがあるとすれば、それはかつてないほど免疫への注目を高めた、と云うことだろう。免疫学の研究に巨額が投じられた結果、体の治癒システムの解明が格段に進んだ。研究が実を結ぶ日も近いだろう。そのときには、致命的な病気だけではなく、人間ならば誰しも抱えている難題、すなわち年をとると共に免疫系が徐々に衰えて行くと言う問題も解決できるかもしれない。
一連の研究から、メラトニンは免疫系の中で中心的な役割を果たしていることが判った。まだまだ知名度こそ低いものの、
ガンを撃退し、
エイズの進行を食い止め、
風邪に対する抵抗力を強め、
化学療法の有害な副作用から免疫系を守るなど、わずか数年のうちに研究者が明らかにしてきたメラトニンの威力は、大変なものだ。
メラトニンの働きがこれだけ解って来たのは、免疫系全般の研究が進んだおかげだ。1960年代にはまだ、「免疫系」と言っても、膨大な種類の免疫細胞と脾臓・胸腺(きょうせん)・骨髄・リンパ節など要(かなめ)となるいくつかの器官に関する事柄が中心だった。免疫系と内分泌(ホルモン)や神経といった他のシステムとの密接な係わり合いについては、まだほとんど解っていなかった。
今日では、「免疫系とは体のあらゆる側面が絡んだ統合的なもの」として、とらえられている。特に注目されているのは心と体、医学用語で言うと「神経系と免疫系との関係」である。様々な研究の結果、
瞑想をしたり、
視覚的なイメージを描いたり、
深い信仰を持ったり、
あるいは家族や友人との助け合いのネットワークに属したり、
ポジティブな思考を身につけたりすることで、体の状態を変えられることが解った。ひと時の感情でも、免疫力をアップさせる効果がある。これは顕微鏡でも確かめることが出来る。最近(1995年現在)行われた実験では、ボランティアの被験者たちに2種類のドキュメンタリー映画のどちらか一方を観せた。片方はマザー・テレサをテーマとしたもので、観る者の意識を高めるようなものだ。もう一方は、自然界を摂った刺激の少ない映画だった。被験者が映画を観る前と見た後に、それぞれ血液を採取した。意欲を掻き立てるようなマザー・テレサの映画を観た被験者の血液を調べたところ、自然のドキュメンタリー映画を観た者たちとは比べ物にならないほど、白血球の数が増えていた。
これらとちょうど対照的なのが、「否定的な考え方や感情は体にマイナスの影響を与える」と、言う事実だ。統計学上、「人は伴侶に先立たれると、その翌年に自分も死を迎える可能性が高い」と云う。もっと新しいデータとしては、HIVに感染してうつ状態の兆候を見せる人は、そうではない人よりも予後が悪い。「うつの人が病気になりやすい」と云う事実と、彼らにはガンやヴィルスから体を守ってくれる「ナチュラルキラー細胞」が不足していると言う事実の間には何か関係がありそうだ。
気分とは、その時々の思考や感情の具合で決まるものだが、どのようにして免疫細胞に影響を与えるのだろうか?まだ完全に解明されているわけではないのだが、免疫細胞の中には神経伝達物質のレセプター(受容体)を持っているものがあることが判った。神経伝達物質とは、神経細胞から神経細胞にインパルス(信号、刺激)を伝えるものであり、私たちの気分の決定権を持っている(セロトニンやドーパミンは、いずれも神経伝達物質である)。たとえば私たちが落ち込むと、神経伝達物質が不足して脳細胞でメッセージのスムーズなやり取りが出来なくなる。このような神経伝達物質の欠乏とそっくり同じことが、免疫細胞でも起きる。詳しい仕組みはまだ明らかにされてはいないが、落ち込んだ気分は免疫系をも落ち込ませてしまうのである。
健康に欠かせないホルモン
ホルモンもまた健康状態に大きな影響を与える。「テストステロンは女性よりも男性に多いので男性ホルモンだ」と言われているのだが、これには免疫系を抑制する働きがある。多くの動物実験で、オスの精巣を取り除く(これでテストステロンの生成が抑えられる)と、取り除かれていないオスよりも病気にかかる率が低くなる。また寿命も延びた。人間の男性にも同じことが言える。
1950年代にカンザス州の精神病院で行われた奇異な実験では、たくさんの男性患者が去勢された。それによって従順になるかどうかを調べたのだ(テストステロンは攻撃性を高めるもので、男性のテストステロンの値を下げれば、困った振る舞いを減らすことが出来るのではないか、と科学者は期待した)。被験者になった男たちが扱いやすくなったかどうかは解らないが、彼らは健康を保ったまま長生きした。実際、この実験を考案した頭脳明晰な科学者よりも、去勢されなかった患者よりも、そして大部分の女性患者よりも彼らは長生きした。
エストロゲンは男性よりも女性に多い。このエストロゲンが免疫系では複雑な役割を果たしている。ある種の病気にかかるリスクは減らすが、病気の種類によってはかえってかかりやすくなる。総じて女性は男性に比べて伝染病にかかる抵抗力が強いが、自己免疫疾患には弱い。
多発性硬化症にかかる確率は2倍、
慢性関節リュウマチにかかる確率は3倍、
紅斑性狼瘡にかかる確率は9倍である。これは体の結合組織を攻撃する病気だ。免疫学者たちは「このような病気はいずれもエストロゲンに関係がある」と確信している。なぜなら、血中のホルモン濃度の変動に合わせて勢いづいたり弱まったりすることが解っているからだ。
ストレスホルモンは、男性や女性に関わりなく発生して免疫反応を低下させる。長期間ストレスにさらされていると、病気なりやすく回復にも時間がかかる。これにはおそらく多くの人が気づいているだろう。肉体的なストレスでも精神的なストレスでも、体内のコーチゾル(コルチゾル、コルチゾン)と云うホルモンの量は増える。私たちの免疫細胞はコルチゾンのレセプター(受容体)を持っている。つまりコーチゾルが免疫細胞と結合して相手の分裂の速度を落とすので、免疫系は人手不足になってしまう。
免疫系が弱まると、強いストレスのかかる状況に耐えられなくなるように思われる。だが、ストレスホルモンは根本的に私たちが生き延びて行くように後押ししてくれるものだ。強いストレスにさらされると、ストレスホルモンはたとえば生殖機能や治癒機能など、今すぐは必要ない部分からエネルギーを流用して筋肉に供給する。捕食者から逃げ出す時には、軽い風邪が治ろうと治るまいと、あるいは結婚についての悩みなどどうでもいいはずだ。そのような日常生活に関わることは、危機が去ってからたっぷり時間をかけて解決すればよい。
コルチゾール - Wikipedia
アルドステロン - コルチゾン - コルチゾール - デスオキシコルチコステロン - デヒドロエピアンドロステロン - コルチコステロン ... 「http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%AB%E3 ...
ja.wikipedia.org/wiki/コルチゾル -キャッシュ
受容体 - Wikipedia
の体にあって、外界や体内からの何らかの刺激を受け取り、情報として利用できるように変換する仕組みを持った構造のこと。 レセプターまたはリセプターともいう。 下記のいずれにも受容体という言葉を用いることがある。 ...
ja.wikipedia.org/wiki/受容体 -ブックマーク:3人が登録-キャッシュ
メラトニン登場
メラトニンは、体の免疫系にとって欠かせない中心的な物質である。その事実に研究者が気づいたのは、1980年代の半ばに入ってからだ。私もその1人だ。1965年から1985年にかけて、メラトニンを動物に投与したり松果体を除去(「松果体切除術」と言われる手術)したり、と私自身も数百回に上る実験をした。ただ当時は免疫学ではなく、繁殖の方に関心を持っていた。だがあいにく、メラトニンの量と健康の間のつながりを示すようなはっきりとした証拠はつかめなかった。
今となれば「メラトニンには免疫を高める働きがある」と云う事実が確認されるまで、「なぜそれほどまでの時間がかかったのか」と云う説明がつく。それがはっきりと現れるのは、動物がストレスにさらされた時だ。ここでは、肉体的および心理的ストレス、環境のストレス、病気や華麗から来るストレスまで含めた、広い意味でのストレスを意味する。ところが、私たちが研究に使った動物は、ほとんどストレスとは無縁の生活をしている。実験用のラットは、最良の状態で飼育されている若い者ばかりで、慢性的なストレスを知らぬまま成長した。それに加え、最高の餌を与えられて免疫システムも万全だ(人間もこれに匹敵するだけの「餌」を食べれば、はるかに健康になれるだろう)。温度と湿度は厳密に管理され、ラットは環境的なストレスからも守られる。それに加えて、実験用動物の待遇を定める厳しい法律に基づいて、ラットの部屋は4つ星ホテルのスゥイート・ルーム並みに清潔だ。壁に図表をかけることすら禁じられている。ゴキブリに隠れ家を与えないためだ。
こうしてみると、実験室のラットは野生のものよりストレスを感じる度合いがはるかに低い。敵から身を隠す必要もなければ食糧をあさることもない。また厳しい気候に苦しめられることもない。埃や細菌やヴィルスや害虫から受ける害に関して言えば、観察する我々の方がどれだけ被害をこうむっていることか。唯一ストレスがあるとすれば、閉じ込められて退屈に苦しんでいる、ことぐらいだろう。
ストレスから守ってくれるメラトニン
今では、もっと自然な状態では動物の血流の中のメラトニンの量は生死に関わるほど重大な意味を持つ、と云うことは解っている。この点にいち早く着目したのがジョージ・マエストロニだった。1977年、彼はある実験結果に眼を留めた。「動物の松果体を切除すると、胸腺が小さくなる」と、云うのだ。健全な免疫反応を保つには胸腺が欠かせない。これは、1960年代の初めには既にはっきりしていた。
マエストロニはこのように推論した−胸腺が充分に機能するためにメラトニンが必要なのだとすれば、免疫系にとてもメラトニンは重大な意味を持っているのではないか。
着実に論理を積み重ねながら、マエストロニは自分の推論が正しいことを証明した。1988年に彼は実験結果を発表し、そこでメラトニンが免疫系に及ぼす劇的とも言えるほど大きな影響を明らかにした。マエストロニ、アリオ・コンティ、ワルテル・ピエルパオリが行った実験では、致死量に近い脳真菌炎ヴィルス(EMCV)がマウスに注射された。その結果、基本的に若く健康なマウスは概(おおむ)ねヴィルスを撃退したが、ストレスや老化のために免疫系が弱っていたマウスは病死した。
ヴィルスを投与した後、マエストロニらはマウスを1日数時間ずつ空気孔の開いた筒に閉じ込めてストレスを与えた。筒に閉じ込めるだけでは肉体的な苦痛は加わらないが、マウスは不安を抱く。不安はエストロゲンの分泌を促し、そのホルモンのおかげで免疫反応が大幅に衰える。ここで一部のマウスにメラトニンを注射して、果たして生存率がアップするかどうかを調べた。
マウスの観察はその後30日間にわたって続けられた。メラトニンを与えられなかったグループの大半は実験後1週間以内に死亡した。ところがメラトニンを投与されたマウスはほとんどがヴィルスの撃退に成功したのである!もちろん、どちらのグループのマウスも同じだけのストレスをかけられていた。最終的にメラトニンを与えられたマウスの82%が生き残った。それに引き換え、与えられなかったグループは、たったの6%だった。これだけ死亡率に大きな差が出たのである。
人間の場合
無論、このように生死のかかった実験を人間相手に行うわけにはいかない。しかし、はからずも私たちは皆、似たような実験のモルモットになっているのかもしれない。マエストロニの野マウスを筒に閉じ込める実験と、鼻をたらした子供とくしゃみやせきをする大人で満杯の地下鉄や飛行機に私たちが乗ることは、ほとんど変わらないではないか。幽閉・ストレス・ヴィルス・ヴィルス感染と、全く同じ要素がそろっている。では、メラトニンを服用すれば病気にかからずにすむだろうか?
予備実験の結果、答えはイエスだった。コーネル大学のヴァージニア・ウータモーレンが行った二重盲検法(ダブル・ブラインド)の実験は次のとおりだった。
10人の大学生にまず1週間の間20ミリグラムのメラトニンもしくはプラセボ(偽薬=薬効のないニセ薬)を毎晩服用させた。次の1週間は、今度はメラトニンとプラセボを逆にして与えた。たまたまキャンパスでは風邪が大流行していて、被験者たちも大部分が風邪を引いていた。メラトニンを服用している間、被験者の唾液中の免疫グロブリンAは通常とりも250%も多くつくられていた。免疫グロブリンAは唾液に含まれるタンパク質で、風邪や上気道感染から体を守る。
二重盲検法の実験とは?
二重盲検法の実験とは、たとえばメラトニンとプラセボ(ほとんど影響のない物質、あるいは療法)あるいはメラトニンとそれに変わる療法とを比較するための方法。実験者も被験者も、今どちらの療法を行っているのかを知らないところから、二重盲検法(ダブル・ブラインド)と呼ばれる。実験者被験者双方が承知の上で行うよりも、客観的で繰り返しの利く結果が出る。
メラトニンには強度のストレスにさらされた人間の免疫系を強化する働きもある、と云う研究結果を1995年に発表したのは、イタリアの研究者である。それは23人のガン患者を対象とした研究だった。全員がごく一般的なガンの治療を受けていた。誰でも、まずガンと診断されること自体が非常に大きなストレスとなってのしかかかってくるものだ。そこに放射線・化学療法・あるいは手術が加われば、免疫系の機能は恐ろしく低下する。
果たして患者たちの免疫系をメラトニンが保護できるかどうかを調べるため、1ヶ月の間、毎晩10ミリグラムのメラトニンの錠剤が投与された。その結果、どうやらメラトニンは、免疫系の中でも特に中心となってガンと戦う物質の生成を促すことが判った(特に患者の腫瘍壊死因子アルファは28%、インターフェロンγ(ガンマ)は41%、インターロイキン(IL)2は51%増加した)。
もしも実践される場合は、自己判断・自己責任でお願い申し上げます。
ここ数年、聞きなれない病気が盛んに報道されるようになった。エイズ、エボラ・ヴィルス、マールブルグ病ヴィルス、ハンタ・ヴィルス、耐性の肺炎、耐性の結核、人食いバクテリアなどなど。いずれも命に関わる病気だ。私たちがこのような病気に恐怖を覚えるのには、2つの理由がある。
まず第1に、かかってしまえば死ぬかもしれない。
第2に回復が難しい。あるいは、絶望的だ。
このような病気に1つでも救いがあるとすれば、それはかつてないほど免疫への注目を高めた、と云うことだろう。免疫学の研究に巨額が投じられた結果、体の治癒システムの解明が格段に進んだ。研究が実を結ぶ日も近いだろう。そのときには、致命的な病気だけではなく、人間ならば誰しも抱えている難題、すなわち年をとると共に免疫系が徐々に衰えて行くと言う問題も解決できるかもしれない。
一連の研究から、メラトニンは免疫系の中で中心的な役割を果たしていることが判った。まだまだ知名度こそ低いものの、
ガンを撃退し、
エイズの進行を食い止め、
風邪に対する抵抗力を強め、
化学療法の有害な副作用から免疫系を守るなど、わずか数年のうちに研究者が明らかにしてきたメラトニンの威力は、大変なものだ。
メラトニンの働きがこれだけ解って来たのは、免疫系全般の研究が進んだおかげだ。1960年代にはまだ、「免疫系」と言っても、膨大な種類の免疫細胞と脾臓・胸腺(きょうせん)・骨髄・リンパ節など要(かなめ)となるいくつかの器官に関する事柄が中心だった。免疫系と内分泌(ホルモン)や神経といった他のシステムとの密接な係わり合いについては、まだほとんど解っていなかった。
今日では、「免疫系とは体のあらゆる側面が絡んだ統合的なもの」として、とらえられている。特に注目されているのは心と体、医学用語で言うと「神経系と免疫系との関係」である。様々な研究の結果、
瞑想をしたり、
視覚的なイメージを描いたり、
深い信仰を持ったり、
あるいは家族や友人との助け合いのネットワークに属したり、
ポジティブな思考を身につけたりすることで、体の状態を変えられることが解った。ひと時の感情でも、免疫力をアップさせる効果がある。これは顕微鏡でも確かめることが出来る。最近(1995年現在)行われた実験では、ボランティアの被験者たちに2種類のドキュメンタリー映画のどちらか一方を観せた。片方はマザー・テレサをテーマとしたもので、観る者の意識を高めるようなものだ。もう一方は、自然界を摂った刺激の少ない映画だった。被験者が映画を観る前と見た後に、それぞれ血液を採取した。意欲を掻き立てるようなマザー・テレサの映画を観た被験者の血液を調べたところ、自然のドキュメンタリー映画を観た者たちとは比べ物にならないほど、白血球の数が増えていた。
これらとちょうど対照的なのが、「否定的な考え方や感情は体にマイナスの影響を与える」と、言う事実だ。統計学上、「人は伴侶に先立たれると、その翌年に自分も死を迎える可能性が高い」と云う。もっと新しいデータとしては、HIVに感染してうつ状態の兆候を見せる人は、そうではない人よりも予後が悪い。「うつの人が病気になりやすい」と云う事実と、彼らにはガンやヴィルスから体を守ってくれる「ナチュラルキラー細胞」が不足していると言う事実の間には何か関係がありそうだ。
気分とは、その時々の思考や感情の具合で決まるものだが、どのようにして免疫細胞に影響を与えるのだろうか?まだ完全に解明されているわけではないのだが、免疫細胞の中には神経伝達物質のレセプター(受容体)を持っているものがあることが判った。神経伝達物質とは、神経細胞から神経細胞にインパルス(信号、刺激)を伝えるものであり、私たちの気分の決定権を持っている(セロトニンやドーパミンは、いずれも神経伝達物質である)。たとえば私たちが落ち込むと、神経伝達物質が不足して脳細胞でメッセージのスムーズなやり取りが出来なくなる。このような神経伝達物質の欠乏とそっくり同じことが、免疫細胞でも起きる。詳しい仕組みはまだ明らかにされてはいないが、落ち込んだ気分は免疫系をも落ち込ませてしまうのである。
健康に欠かせないホルモン
ホルモンもまた健康状態に大きな影響を与える。「テストステロンは女性よりも男性に多いので男性ホルモンだ」と言われているのだが、これには免疫系を抑制する働きがある。多くの動物実験で、オスの精巣を取り除く(これでテストステロンの生成が抑えられる)と、取り除かれていないオスよりも病気にかかる率が低くなる。また寿命も延びた。人間の男性にも同じことが言える。
1950年代にカンザス州の精神病院で行われた奇異な実験では、たくさんの男性患者が去勢された。それによって従順になるかどうかを調べたのだ(テストステロンは攻撃性を高めるもので、男性のテストステロンの値を下げれば、困った振る舞いを減らすことが出来るのではないか、と科学者は期待した)。被験者になった男たちが扱いやすくなったかどうかは解らないが、彼らは健康を保ったまま長生きした。実際、この実験を考案した頭脳明晰な科学者よりも、去勢されなかった患者よりも、そして大部分の女性患者よりも彼らは長生きした。
エストロゲンは男性よりも女性に多い。このエストロゲンが免疫系では複雑な役割を果たしている。ある種の病気にかかるリスクは減らすが、病気の種類によってはかえってかかりやすくなる。総じて女性は男性に比べて伝染病にかかる抵抗力が強いが、自己免疫疾患には弱い。
多発性硬化症にかかる確率は2倍、
慢性関節リュウマチにかかる確率は3倍、
紅斑性狼瘡にかかる確率は9倍である。これは体の結合組織を攻撃する病気だ。免疫学者たちは「このような病気はいずれもエストロゲンに関係がある」と確信している。なぜなら、血中のホルモン濃度の変動に合わせて勢いづいたり弱まったりすることが解っているからだ。
ストレスホルモンは、男性や女性に関わりなく発生して免疫反応を低下させる。長期間ストレスにさらされていると、病気なりやすく回復にも時間がかかる。これにはおそらく多くの人が気づいているだろう。肉体的なストレスでも精神的なストレスでも、体内のコーチゾル(コルチゾル、コルチゾン)と云うホルモンの量は増える。私たちの免疫細胞はコルチゾンのレセプター(受容体)を持っている。つまりコーチゾルが免疫細胞と結合して相手の分裂の速度を落とすので、免疫系は人手不足になってしまう。
免疫系が弱まると、強いストレスのかかる状況に耐えられなくなるように思われる。だが、ストレスホルモンは根本的に私たちが生き延びて行くように後押ししてくれるものだ。強いストレスにさらされると、ストレスホルモンはたとえば生殖機能や治癒機能など、今すぐは必要ない部分からエネルギーを流用して筋肉に供給する。捕食者から逃げ出す時には、軽い風邪が治ろうと治るまいと、あるいは結婚についての悩みなどどうでもいいはずだ。そのような日常生活に関わることは、危機が去ってからたっぷり時間をかけて解決すればよい。
コルチゾール - Wikipedia
アルドステロン - コルチゾン - コルチゾール - デスオキシコルチコステロン - デヒドロエピアンドロステロン - コルチコステロン ... 「http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%AB%E3 ...
ja.wikipedia.org/wiki/コルチゾル -キャッシュ
受容体 - Wikipedia
の体にあって、外界や体内からの何らかの刺激を受け取り、情報として利用できるように変換する仕組みを持った構造のこと。 レセプターまたはリセプターともいう。 下記のいずれにも受容体という言葉を用いることがある。 ...
ja.wikipedia.org/wiki/受容体 -ブックマーク:3人が登録-キャッシュ
メラトニン登場
メラトニンは、体の免疫系にとって欠かせない中心的な物質である。その事実に研究者が気づいたのは、1980年代の半ばに入ってからだ。私もその1人だ。1965年から1985年にかけて、メラトニンを動物に投与したり松果体を除去(「松果体切除術」と言われる手術)したり、と私自身も数百回に上る実験をした。ただ当時は免疫学ではなく、繁殖の方に関心を持っていた。だがあいにく、メラトニンの量と健康の間のつながりを示すようなはっきりとした証拠はつかめなかった。
今となれば「メラトニンには免疫を高める働きがある」と云う事実が確認されるまで、「なぜそれほどまでの時間がかかったのか」と云う説明がつく。それがはっきりと現れるのは、動物がストレスにさらされた時だ。ここでは、肉体的および心理的ストレス、環境のストレス、病気や華麗から来るストレスまで含めた、広い意味でのストレスを意味する。ところが、私たちが研究に使った動物は、ほとんどストレスとは無縁の生活をしている。実験用のラットは、最良の状態で飼育されている若い者ばかりで、慢性的なストレスを知らぬまま成長した。それに加え、最高の餌を与えられて免疫システムも万全だ(人間もこれに匹敵するだけの「餌」を食べれば、はるかに健康になれるだろう)。温度と湿度は厳密に管理され、ラットは環境的なストレスからも守られる。それに加えて、実験用動物の待遇を定める厳しい法律に基づいて、ラットの部屋は4つ星ホテルのスゥイート・ルーム並みに清潔だ。壁に図表をかけることすら禁じられている。ゴキブリに隠れ家を与えないためだ。
こうしてみると、実験室のラットは野生のものよりストレスを感じる度合いがはるかに低い。敵から身を隠す必要もなければ食糧をあさることもない。また厳しい気候に苦しめられることもない。埃や細菌やヴィルスや害虫から受ける害に関して言えば、観察する我々の方がどれだけ被害をこうむっていることか。唯一ストレスがあるとすれば、閉じ込められて退屈に苦しんでいる、ことぐらいだろう。
ストレスから守ってくれるメラトニン
今では、もっと自然な状態では動物の血流の中のメラトニンの量は生死に関わるほど重大な意味を持つ、と云うことは解っている。この点にいち早く着目したのがジョージ・マエストロニだった。1977年、彼はある実験結果に眼を留めた。「動物の松果体を切除すると、胸腺が小さくなる」と、云うのだ。健全な免疫反応を保つには胸腺が欠かせない。これは、1960年代の初めには既にはっきりしていた。
マエストロニはこのように推論した−胸腺が充分に機能するためにメラトニンが必要なのだとすれば、免疫系にとてもメラトニンは重大な意味を持っているのではないか。
着実に論理を積み重ねながら、マエストロニは自分の推論が正しいことを証明した。1988年に彼は実験結果を発表し、そこでメラトニンが免疫系に及ぼす劇的とも言えるほど大きな影響を明らかにした。マエストロニ、アリオ・コンティ、ワルテル・ピエルパオリが行った実験では、致死量に近い脳真菌炎ヴィルス(EMCV)がマウスに注射された。その結果、基本的に若く健康なマウスは概(おおむ)ねヴィルスを撃退したが、ストレスや老化のために免疫系が弱っていたマウスは病死した。
ヴィルスを投与した後、マエストロニらはマウスを1日数時間ずつ空気孔の開いた筒に閉じ込めてストレスを与えた。筒に閉じ込めるだけでは肉体的な苦痛は加わらないが、マウスは不安を抱く。不安はエストロゲンの分泌を促し、そのホルモンのおかげで免疫反応が大幅に衰える。ここで一部のマウスにメラトニンを注射して、果たして生存率がアップするかどうかを調べた。
マウスの観察はその後30日間にわたって続けられた。メラトニンを与えられなかったグループの大半は実験後1週間以内に死亡した。ところがメラトニンを投与されたマウスはほとんどがヴィルスの撃退に成功したのである!もちろん、どちらのグループのマウスも同じだけのストレスをかけられていた。最終的にメラトニンを与えられたマウスの82%が生き残った。それに引き換え、与えられなかったグループは、たったの6%だった。これだけ死亡率に大きな差が出たのである。
人間の場合
無論、このように生死のかかった実験を人間相手に行うわけにはいかない。しかし、はからずも私たちは皆、似たような実験のモルモットになっているのかもしれない。マエストロニの野マウスを筒に閉じ込める実験と、鼻をたらした子供とくしゃみやせきをする大人で満杯の地下鉄や飛行機に私たちが乗ることは、ほとんど変わらないではないか。幽閉・ストレス・ヴィルス・ヴィルス感染と、全く同じ要素がそろっている。では、メラトニンを服用すれば病気にかからずにすむだろうか?
予備実験の結果、答えはイエスだった。コーネル大学のヴァージニア・ウータモーレンが行った二重盲検法(ダブル・ブラインド)の実験は次のとおりだった。
10人の大学生にまず1週間の間20ミリグラムのメラトニンもしくはプラセボ(偽薬=薬効のないニセ薬)を毎晩服用させた。次の1週間は、今度はメラトニンとプラセボを逆にして与えた。たまたまキャンパスでは風邪が大流行していて、被験者たちも大部分が風邪を引いていた。メラトニンを服用している間、被験者の唾液中の免疫グロブリンAは通常とりも250%も多くつくられていた。免疫グロブリンAは唾液に含まれるタンパク質で、風邪や上気道感染から体を守る。
二重盲検法の実験とは?
二重盲検法の実験とは、たとえばメラトニンとプラセボ(ほとんど影響のない物質、あるいは療法)あるいはメラトニンとそれに変わる療法とを比較するための方法。実験者も被験者も、今どちらの療法を行っているのかを知らないところから、二重盲検法(ダブル・ブラインド)と呼ばれる。実験者被験者双方が承知の上で行うよりも、客観的で繰り返しの利く結果が出る。
メラトニンには強度のストレスにさらされた人間の免疫系を強化する働きもある、と云う研究結果を1995年に発表したのは、イタリアの研究者である。それは23人のガン患者を対象とした研究だった。全員がごく一般的なガンの治療を受けていた。誰でも、まずガンと診断されること自体が非常に大きなストレスとなってのしかかかってくるものだ。そこに放射線・化学療法・あるいは手術が加われば、免疫系の機能は恐ろしく低下する。
果たして患者たちの免疫系をメラトニンが保護できるかどうかを調べるため、1ヶ月の間、毎晩10ミリグラムのメラトニンの錠剤が投与された。その結果、どうやらメラトニンは、免疫系の中でも特に中心となってガンと戦う物質の生成を促すことが判った(特に患者の腫瘍壊死因子アルファは28%、インターフェロンγ(ガンマ)は41%、インターロイキン(IL)2は51%増加した)。
マツコ、妊婦に扮し“9つ子”を出産!
ですって。まぁ10月以降フジテレビに9つの新番組が誕生することにちなんでのイメージキャラとのことですけど、ゲテモノ番組が生まれるってことですかね??
CM見てからですけどちょっと興味あるような怖いような・・
閲覧させて頂きましたo(*^▽^*)o
バンクホークスがリーグ優勝しましたね。ソフトバンクファンなんで今日はうれしいです。
王さんのイメージが強すぎて秋山監督の印象があまり無かったんですけど、コレで好きになりました。日本一めざせ〜〜
ありがとうございます。
失礼しました。
またきます。。