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第6章 ガン治療の革命@ [2009年12月10日(木)]
  これは貴方にお勧めしているわけでは御座いません。世の中には、こういう考え方もある、と言うことで無断転載させていただいております。
 もしも実践される場合は、自己判断・自己責任でお願い申し上げます。


 ドーラLは70歳。モントリオールに住んでいる。ブリッジと健康が一番の関心。彼女はガンからの生還者である。ドーラは1987年に「甲状腺のガン」と診断され、甲状腺を切除した。1989年、ガンはそばのリンパ節に転移してた。この時も患部は切除された。リンパ節を切除する際に、外科医が神経を軽く傷つきたらしい。そのために右側の声帯が麻痺してしまった。以来、彼女しわがれたささやき声でしか話せなくなってしまった。
 この時の手術の後、内分泌を専門とする彼女の主治医は「これ以上ガンが転移するのを食い止めるために放射線療法を受ける」よう、勧めた。ドーラは気が進まなかったが、「他にどうしたらよいのか解らなかった」。強い照射を30セッション受けた結果、口・喉(のど)・頭のいたるところに爛(ただ)れが生じた。「耳たぶが黒くなりました」−彼女はこの時のことを思い出して続ける。「それに、いつも息が詰まった感じでした。照射の回数が増えるに連れて、ますます症状が悪くなって行きました。口も首にもいろいろな爛れが出来たけれど、特に口がひどかったわ」しかも、ガンは再発した。1993年、右肺に長さ3.5センチメートルの腫瘍があるのが、ボディー・スキャナーで見つかった。ドーラを診た時の専門医は「手術をして転移の詳しい状況を確認しよう」と、提案した。「必要とあれば灰を切除する」と云う話だった。今度ばかりは、さすがドーラも怖気づいた。10年前の手術の際、左の肺は潰れた。もしも右の肺をとられることになったならば、もう1度左の肺が潰れてしまうのではないだろうか。「手術台のうえで家族の誰1人として見守る者もないまま死んでしまう」と云う恐怖が彼女を襲った。
 ドーラは手術に同意しなかった。だが、死ぬのもごめんだった。そこで、地元の医師に相談してみることにした。それが、従来にはない治療法にも関心を寄せる、ローマン・ローゼンツヴァイク博士だった。「メラトニンを服用しなさい」と、彼はアドヴァイスした。
 「そのメラトニンって何ですか?今まで聴いたこともありません」と、ドーラが尋ねると医師はそのホルモンについて、こと細かく説明してくれたのである。ドーラはじっくりと考えた末に、アドヴァイスに従うことに決めて毎晩6ミリグラムのメラトニンを服用するようになった。
 数ヶ月もすると、ドーラの体調はかなり回復するようになって来た。「力が沸いて来るような感じがしました。1日に1時間も歩くようになったのです」。また、彼女はホープ&コープ(希望と助け合い)≠ニ言うガン患者の交流会に入会し、そこでガンを克服した大勢の人たちに勇気付けられた。そのお返しに、ドーラはメラトニンのことをみんなに話した。
 「実際にビンを見せて話したんですよ?主治医から服用するように勧められている、って云ってね」
 会のメンバーはその話に眼を輝かせて「さっそく自分たちも主治医に話して服(の)んだ方がいいかどうか」を訊きに行った。ドーラによれば「メラトニンのことを知っている医師は1人もいなかったんです。だから、勧めるはずがありません。私以外には服もうという人は出てきませんでしたよ」
 1995年の春、ドーラは定期健診のためにガンの専門医の元を訪れた。すると「肺の腫瘍は1センチメートル以上も小さくなっており、転移も全く観られない」と云う、嬉しい結果が出た。次の交流会で、彼女は仲間に吉報を伝えた。「全員に、というわけには行きませんでした。私が参加した時のメンバーのうち、その時までに亡くなってしまった女性が何人もいたからです」
 ドーラの話は、医師の倫理の基盤にあるものをよく物語っている。どんな治療法でも、とりわけそれが命に関わるガンのような病気の治療法であればあるほど、大多数の医師はその安全性と有効性を確認するまでは採用しようとはしないものなのだ。患者が自分の体験をどれだけ熱っぽく語って聞かせても、健康雑誌の記事で絶賛されても、それは採用基準とはならない。医師を納得させられるのは、「人間を対象として行われた大規模な実験の結果だけ」だ。単なる流行現象なのか、それとも本当に効果を発揮する療法なのかを判断するには、それしかないのだ。と、彼らは考えている。特に、サメの軟骨からはては得体の知れないキノコまで、自称「自然界の奇跡」なる療法がひしめき合っているガン治療の分野では、臨床実験はますます重きを置かれている。科学的な確証も得ないままでそのような類の物質を処方しては、「医師の倫理にもとる」と云うわけだ。
  「医療に携わるの者が厳密な証拠を要求するのは、まことに立派な態度」と、言って良いだろう。こんなことは考えたくもないが、仮に私の妻がガンになるようなことにでもなれば、いくら友人が勧めても安全性や有効性が確かめられていない薬や飲み物などは服用させまいとするだろう。ましてそのような商品を健康食品店の棚から行き当たりばったりに選ぶようなことはしないはずだ。
 それよりも、並以上の効果があると証明済みの治療プランを勧めてくれる、熟練した腫瘍の専門医に妻をゆだねたいと願うだろう。と同時に、妻を腫瘍に憑(と)り依(つ)かれた物体として扱うのではなく、呼吸する人間として認めて治療へと導いてくれる医師を探すだろう。妻を意見・思考・感情・独自の病歴・個性的なライフスタイルを持つ者として扱ってくれる人物を望むだろう。さらに、一部の食品や食品補助物質に関しては治療効果ありと証明されている≠ニ、認める医師であってほしい。毒性の強い薬や放射線や手術だけに頼る治療法よりも、体の自然治癒能力をフルに活かす治療法の方が優れているはずだ。もちろん、そのセラピー(療法。行い)が安全で効果的であると証明済みであること≠ェ条件だが。このような共通認識(プロトコル)がなければ、とても医師を信頼することなどは出来ないだろう。
 この基本を基に、本章では次の疑問に答えて行く。

1.ガンの予防/治療において、メラトニンにはどのような力があると証明されているのか。
2.その実験はどれだけの信憑性があるのか。
3.ガンの予防と治療において、メラトニンが果たすと思われる役割はどのようなものか。

 パイオニアたち
 「松果体から分泌される何らかの物質が、動物と人間療法のガンの進行を食い止める」と解ったのは、かなり前のことだ。1800年代の終わりから1900年代の初めにかけて、既に多くの医師が松果体からの抽出物をすりつぶしてガン患者に与えていた。「一部あるいは全面的に効果があった」と云う報告が、文献のなかには数多く残っている。
 私が知る限り、生成されたメラトニンが初めてガン患者に投与されたのは、1963年だ。このホルモンの分離に成功し、ようやく身元が割れてから、わずか5年後のことだった。ウェールズ人のケネス・スター医師は、足の腫瘍が鼠径部(そけいぶ)と首のリンパ節に転移した若い男性患者の静脈にメラトニンを注入した。スター医師の報告よれば、「メラトニンの注入によって、10日後には大部分が消滅した」と、言う。
 もう1つ、スター医師がもたらした「奇跡の治癒」例は、すねの骨に腫瘍(骨原生肉腫)のある16歳の少年だった。スター医師は次のように書いている。

 患者は「切断手術の必要がある」と診断されたが、放射線療法と生検の傷が治るのを待つ間に、メラトニンを注入した。臨床上の反応と生化学的反応は、2週間後にはっきりした。放射線療法が始まったが、2ヶ月目には肺の部分に不吉な影が現れた。おそらく、「転移したのだろう」と、判断された。ところが、4ヶ月目の終わりの頃には、これがすっかり消えてしまい、肺はきれいな状態になっていた。硬くなって痛みあった膝は治癒し、今では少年は走ったりジャンプしたり、乗馬を楽しんだりしている。

 このような個々のケースは、医学ではほとんど注目されない。携わった研究者がほとんど無名で、治療に関わった医師が他にいなければなおさらだ。しかし、パイオニア精神に満ちたスター医師の努力は、間違いなく実を結んだ。ガンの研究者がメラトニンに注目し、より組織的な研究が始まったのだ。
 およそ20年にわたる研究のペースは速いとは言えない。この複雑な分子を解明するのは難しく、また研究の大部分が動物を対象としたものに限定されていたためだ。しかし、動物実験のなかには、明るい将来を感じさせるものがあった。とりわけ説得力のある結果があった、アメリカのローレンス・タマキンという研究者が行った実験だ。
 1980年、タマキンはラットに実験用発ガン物質DMBAを注入し、胸部に腫瘍が形成されるように促した(「DMBAによって引き起こされた乳房の腫瘍は、人間の乳がんに非常に近い」と、されている)。メラトニンの効果を確かめるためにタマキンは一部のラットに、毎日メラトニンを与えた。90日後、メラトニンを与えられなかったラットのうち50%には胸部に腫瘍が出来ていた。一方、メラトニンを与えられたラットは、胸部の腫瘍が皆無だった。この段階で、タマキンはメラトニンの投与を完全にストップした。すると、それまで与えられていたグループの20%に胸部の腫瘍が出来た。
 
 乳ガン
 タマキンらが行った動物実験は、やがて「メラトニンは人間のガン細胞にどのように影響するのか」と云う研究へとつながっていった。デイヴィッド・ブラスク医学博士も、研究をリードした1人である。彼はかつての私の教え子で、現在はニューヨーク州クーパーズタウンのメアリー・イモジェン・バセット・リサーチ・インスティチュートにいる。1986年にブラスクが発表した結果は、MCF−7細胞と呼ばれる人間の乳ガン細胞の有毒株(virulent strain)の成長を果たして抑制できるのかどうか、といった内容だった(この細胞は、実際に患者のガンからとった腫瘍細胞を培養増殖させて作ったクローン(複製)である。医学の研究にはたいていこのようなガン細胞が使われる。これは「ガン細胞株」と呼ばれ、個々にコード・ネームがつけられている。世界中の研究者が同じ細胞のクローンを使用することが出来るので、結果を比較しやすい)。
 研究には博士課程を終えたばかりのステーィブン・ヒルの力を借りた。彼らは乳ガンの細胞を2つのグループに分けた。その一方にメラトニンを加えよう、と云うわけだ。もしもメラトニンに抑制力があるとすれば、メラトニンを加えた細胞は加えなかった細胞よりも分裂の速度が落ちるはずだ。適量と云うものが解らなかったので、ブラスクとヒルはかなり大量のメラトニンを加えた。ブラスクに言わせると「どんな化学者にも負けないくらい、我々はメラトニンをどっさりと注ぎ込んだ」とのことだ。これは、わずかな兆候でも見逃さないため、だ。しかし、人間の血流の中のメラトニンの百倍を注ぎ込んでも、細胞は依然として繁殖を続けた。
 実験は何度も繰り返された。その度に、同じ結果が出た。メラトニンがあってもなくても、細胞の成長の速度に違いはなかった、のである。
 「メラトニンは細胞に何も影響を与えない」と云う結論を出そうとした時、ブラスクの頭にあることが浮かんだ。メラトニンの量が多過ぎたためではないか− 「少ない方が効果的なのかもしれない」と、ブラスクはヒルに言った。「体内では、ほんの少ししか出来ないのだから、もしかしたならば、ほんの少しのほうがよい効果が出るのかもしれない」
 2人は研究室に戻って、もう1度、やり直した。今度はホルモンの量をぐっと抑えた。驚いたことに、ごくわずかなメラトニンが乳ガンの細胞の成長を75%も抑制したのである。意外な発見だった。と云うのも、抗ガン剤と言えば、「どれもみな濃度が高ければ高いほど効き目がある」と云うのが常識だったからだ。メラトニンの効き方は、どう観てもそれとは正反対であった。
 この結果に気をよくしたブラスクとヒルはさらに、メラトニンが最も力を発揮する濃度を調べてみることにした。すると、ますます意外なことが解った。メラトニンが一番効果的に働く適量は、ある一定の範囲の数値に限られていたのだ。それは「人間の体内のメラトニンの量に符合する。それよりも多くても少なくても、細胞に影響を与えることは出来ない−度肝を抜かれるとはこのことです」と、ブラスクは語る「なんとも説明のしようのない現象でした。少なすぎては効かない。と云うのがよく判ったのです。しかし、なぜ濃度が高過ぎても効果がゼロなのか?私たちに判る事と言えば、何らかの理由から、女性の体はこのような乳ガンの細胞の成長を抑制するために必要な量のメラトニンを正確に作り出している。と云うことだけです。体には私には考えもつかない知恵が備わっていたのですね」

▼体に備わっている自然治癒の力
 ブラスクとヒルの実験からさらに一歩進んだ理論が登場したのは、それから8年も経ってからのことだ。スペイン人の研究家サミュエル・コスは、かつてブラスクの研究室にいたこともある。コスは、誰1人として注目していなかった点について、改めて考えてみた。「ブラスクとヒルは乳ガンの細胞を、一定の濃度のメラトニンと共に培養したのだろう?体は、ある決まったサーカディアン・リズム(日内周期)に従って、このホルモンを分泌しているはずではないか。夜間にはたくさん、そして日中は少なく、と云う具合に。このリズムは試験管実験で再現すれば、どんなことになるのだろうか?」
 こうしてコスは、ブラスクとヒルが使用したのと同じ乳ガンの細胞のクローンを手に入れた。細胞をまず いくつかのグループに分けて、それぞれ違った方法で培養した。体内で夜間に作られる量のメラトニンと共に培養するもの、日中の量に合わせて培養するもの、そして量を合わせたもの。つまり12時間は濃く、残りの12時間は薄くというふうに体のサーカディアン・リズムを再現したのだ。コスが推測したとおり、ガン細胞の成長が最低だったのは、2種類の濃度で培養したものだった。ここでもまた、体そのもののやり方を真似た結果、ベストの成果が収められた。
 このような試験管実験から「メラトニンが女性の体に組み込まれた乳ガンの撃退装置の一部して働いている可能性」が高まった。サーカディアン・リズムに合わせて。本来の体内で作り出される濃度に調整すれば、メラトニンは効果的な抗ガン剤となる。乳ガン細胞の異常な成長を抑え、免疫細胞が攻撃しやすくなるように働くのも、メラトニンの機能の1つなのかもしれない。
 「なぜ乳ガンのリスクは年をとると共に増して行くのか」と云う疑問も、この理論で説明がつくのではないだろうか。乳ガンのリスクを高める要因としては
○初潮が早い
○閉経が遅い
○高脂肪の食生活
○飲酒
○出産経験がない
○高齢での第1子の出産
○母乳を与えない
○家族や近い親戚に乳ガン患者がいる
○加齢
 など、いろいろと挙げられているが、最大のポイントは何と言っても年齢である。実際、乳ガンになった女性の3分の2は、それ以外に「これと言った危険要因」は見当たらないのだ。
 年を経るにつれて、女性の体内ではメラトニンの分泌量が少なくなる。これについては間違いない。おそらく、年齢が高くなればなるほど、乳ガン細胞の横暴を抑えるだけのメラトニンが体内で分泌されなくなり、細胞が完全な腫瘍に成長してしまうのだろう。

▼乳ガンの予防につかるか
 メラトニンのレベルが下がったために乳ガンのリスクが高まるのだとすれば、−これはあくまでも理論上では、と断っておかなくてはならないが−メラトニンの補助剤がどこまでそのリスクを抑えられるのか、調べてみる価値はありそうだ。だが、それには大掛かりでしかも長期的な臨床実験を行う必要がある。現在(1995年)、抗エストロゲン薬タモキシフェンを使用した乳ガン予防の研究が進行中だが、おそらくこの臨床実験もそれと似たものなるだろう。
 あいにく、まだこのような研究は行われていない。また「計画されている」と云う話も聞かない。米国の様々な乳ガン患者の会をまとめて率いているエイミー・ランジャーは、「これは怠慢であり現状の乳ガン研究においては重大な失態だ」と指摘する。
 「ガンの研究者たちは、ガン治療に関しては膨大な研究を行っていますが、予防についてはほとんど白紙の状態です。私たちは画期的な予防法を求めています。残念なことですが、アメリカの研究者は体そのもののメカニズムの研究に関しては遅れをとっている、と言わざるを得ません」
 とりあえず今出来るベストな方法は、これまでに出ている様々なデータから役に立つ部分を取り出して、それに解釈を加えて行くことだ。有力な情報源の1つは、新しい避妊薬B−オーバルについての臨床実験データである。このB−オーバルには75ミリグラムのメラトニンが含まれている。被験者となっているオランダの女性1千4百人は、4年以上にわたってB−オーバルを服用している。当然のことながら、被験者の健康状態は綿密にモニターされている。もちろん、乳ガンの発病率もチェックされている。ただし、この実験が終了するまでには、まだ数年はかかる。また、乳ガンとメラトニンの関係について統計的なデータを得るには、対象となっている女性の数があまりにも少ないのが難点だ。
 アブライド・メディカル・リサーチ社の取締役で、B−オーバルの開発者でもあるミハエル・コーヘン医学博士は「乳ガンの予防法の開発に並々ならぬ関心を抱いている。メラトニンが乳ガンを抑制する、と云う決定的な証拠が登場する数年前の1987年にコーヘンは「ランセット」誌に「メラトニンは性ホルモン、特にエストロゲンの分泌を抑制することで乳ガンのリスクを減らす可能性がある」と云う内容の論文を発表した。
 その基盤となっている理論は、なかなか興味深い。「人間は他の哺乳類に比べて、乳ガンの発病率がはるかに高いが、これは人間がもはや周期的な繁殖をする生き物ではなくなったためだ」とコーヘンは指摘している。「その結果、女性の乳房はエストロゲンをはじめ乳ガンの細胞を成長させることで知られている女性ホルモンの刺激を、1年中受けるようになってしまった。メラトニンには、多くの女性ホルモンの影響を食い止める働きがある。もちろん、エストロゲンにも効く。だが、老化や非環境的な要因、遺伝的な要因などのためにメラトニンのレベルが低くなってしまった女性は、乳ガンになるリスクがずっと大きいはずだ」と、コーヘンは確信している。
 コーヘンは乳ガンにメラトニンが及ぼす影響を調べるために、研究を始めた。この研究では「乳房の縮小手術を受ける予定の女性の中から被験者を無作為に選び、B−オーバルか、メラトニンを含まない避妊薬を服用させた。1年後、女性たちは手術を受け、現在、切除された乳房の組織が詳しく検査されている。2種類の薬の影響を調べるためである。このプロジェクトがまもなく終了すれば、人間の乳房の組織へのメラトニンの影響が明るみに出るかもしれない。
 ランジャーは「コーヘンの理論は非常に堅実な科学的見地に基づいていると思われます。メラトニンは乳ガンの予防と治療に関して大変な可能性を秘めています」と話している。

▼乳ガン治療法としての可能性
 メラトニンが乳ガンの治療に有効だと言う証拠はあるのだろうか?毎年およそ18万2千人のアメリカ人女性が「乳ガン」と宣告されている。メラトニンが試験管実験で乳ガンの細胞の成長スピードを緩めることが出来るのであれば、女性の腫瘍の成長も抑制できるだろうか?
 いままでのところ(1995年)、「進行したガンをメラトニンが独自に治癒できる」と云う強力な証拠は出て来ていない。もちろん、乳ガンについても同じだ。しかし、「メラトニンを他の治療法と併用した場合、それが確立された治療法であっても開発途上の治療法であっても、患者の寿命は延び症状も緩和される」と云う証拠は増えて行くばかりだ。
 新しい治療法の中でも期待されているのは、メラトニンとタモキシフェンを組み合わせたものだ。タモキシフェンは腫瘍の治療に、世界で最も広く使用されている薬である。だが抗ガン剤のご他聞にもれず、タモキシフェンにも限界がある。乳ガンの細胞の中には、タモキシフェンにも反応しないタイプのものがあるのだ。また、ごくわずかな時間だけしか反応しない、と云う種類のものもある。さらにタモキシフェンが効いて乳ガンの進行がひとまず収まっても、患者が子宮ガンや他のガンの発病のリスクさらされる可能性が増すかもしれない。だが、タモキシフェンとメラトニンを組み合わせて使えば、2つの意味で患者は恩恵をこうむるだろう。タモキシフェンの服用の量は減るが、効果はアップする、と云う具合にだ。総合的には、腫瘍の成長が大幅に抑えられ、しかもマイナスの副作用が少ない、と云う可能性も出てくる。
 この理論はデヴィッド・ブラスクによるものだ。彼は「メラトニンとタモキシフェンにはよく似た働きが数多くあることに注目した。その1つが、エストロゲンが乳ガン細胞の成長を刺激することを防ぐ、と云う機能である。メラトニンとタモキシフェンを組み合わせた治療法は、それぞれを独自に使用するよりも、より効果的なはずだ」と、ブラスクは推論した。彼はショーン・ウイルソンとアシーナ・リーマス・ウイルソンと云う2人の同僚と共に、これを実証するための最初のテストにかかった。まずは「人間の乳ガンの細胞を薄いメラトニンの溶液で24時間培養した。それから、タモキシフェンを加える。すると、あらかじめメラトニンで処理していた細胞はタモキシフェンの効力を百倍にする」と云う驚くべき結果が出た。

▼メラトニンとタモキシフェン
 この発見の重要性をいち早く理解したのは、免疫学者パオロ・リッソーニだった。メラトニンとUL−2を組み合わせてエイズ治療の研究を行った人物だ。サン・ジェラルド病院の同僚たちと研究グループを組み、彼はメラトニンをタモキシフェンと共に14人の女性に処方した。女性たちはいずれも進行した転移性乳ガン患者で、他の治療法は一切、効かなかった。14人全員が、この研究が始まる前にタモキシフェンを投与されていた。しかし、「全く効かない」あるいは「しばらくしてから効かなくなった」と、云う状態だった。
 被験者の女性たちはメラトニンとタモキシフェンの錠剤を与えられた。そして「昼に20ミリグラムのタモキシフェンを、夜には20ミリグラムのメラトニンを服用するよう」に指示された。有害な副作用がはっきりと現れた女性は1人もいない。「それどころか、患者の多くは不安から開放され、そのうえ抑うつ状態に陥っていた3人はすっかり回復したのです。そして、その3人とはまた別の2人の患者は…せいかつのしつ(クオリティー・オブ・ライフ=QOL)が明らかに向上しました」と、リッソーニは1995年の「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー」誌で報告している。
 乳房の腫瘍そのものへの効果も、満足のいくものだった。14人の女性患者のうち4人は腫瘍の大きさが50%あるいはそれ以上小さくなっていた。腫瘍の大きさが変わらなかった女性患者は8名いた。治療の効果が観られなかったのは、わずか2人だけだった。「この治療法によって女性たちの生活の質まで向上した」と云う事実を考え合わせれば、「なおさら意義深い結果である」と言える。ガン患者が共通して訴えるのは、「従来型の治療法が時としてひどい苦痛を伴う」と、言うことだ。
吐き気・嘔吐・疲労・抑うつ・不安などが患者を襲う。
 副作用を恐れるあまり、この種の治療を一切拒絶する患者も現実にいる。
リッソーニは現在(1995年)、「メラトニンとタモキシフェンを組み合わせた治療法と、タモキシフェンを単独で使用する治療を無作為に行って、その効果を比較する」と云う実験を計画している。リッソーニの予備実験の結果が、リッソーニ本人あるいは他者の手でより大規模な実験の末に確認されれば、いつの日か、女性が乳ガンの先刻が今ほどおびえずに済む時がやって来るかもしれない。

 ところ変わってアメリカでは、メラトニンとタモキシフェンを併用する治療法の開発は遅々として進まない。1つには、FDA(アメリカ食品医薬品局)の基準が厳しいためであり、また1つには、基金を集める側がいまひとつ熱心になっていないためである。そのような理由で、ブラスクは「自分が開発した治療法を人間相手に試してみようにも、必要な許可も資金もない」と、言った有様だ。
 つい先頃終了した動物実験(1995年)の結果は、ブラスクにとって満足の行くものだった。彼は「マウスに人間の乳ガンの細胞を移植した。その一部にはタモキシフェンだけを投与したところ、最初のうちは腫瘍が40%も抑制された。だが、それ以降は抑制力が弱まって行くばかりだった。実験を終える頃には、生理食塩水だけを注射したマウスと同じくらいのスピードで腫瘍が成長していた。しかし、タモキシフェンとメラトニンを投与していたマウスの腫瘍の成長速度は60%もダウンしていた。この新しい実験結果とリッソーニの予備実験結果を合わせれば、アメリカ国内でメラトニンとタモキシフェンの臨床実験を求める声が高まるかもしれない」とブラスクは期待をかけている。 
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コメント
(´-ω-`)b
いーね♪
Posted by:デブ専の僕が出会った最高の彼女達  at 2010年10月20日(水) 10:09

たまたま来ました〜。またお邪魔しま〜す
Posted by:出逢い  at 2010年10月18日(月) 20:06

出会えた子がセフレが欲しいみたいなので、セフレになってやった。

Posted by:ニューハーフ  at 2010年10月15日(金) 10:40

(´-ω-`)bナイスです!
Posted by:メル友は「県民性」を見て接しよう♪  at 2010年10月08日(金) 19:34

こんにつは。
いい感じのブログですねー。
Posted by:メル友 会える  at 2010年10月06日(水) 17:17

ブログ見ました。楽しかったです。
Posted by:地域別 メル友  at 2010年10月06日(水) 12:20

ブログ面白いですね!
Posted by:3種類のレース  at 2010年10月05日(火) 14:16

携帯専用のサイトを紹介しています。
Posted by:結婚に発展  at 2010年10月01日(金) 11:51

これで俺にも彼女が出来ること間違いなし!

Posted by:優良メル友  at 2010年10月01日(金) 10:39

いつもエロい事ばっかり考えているのでいつもセックスがしたい♪

Posted by:メル友探し  at 2010年10月01日(金) 09:52

こんにちは、面白いですねー。また来ますわー!!
Posted by:即会い  at 2010年09月27日(月) 14:15

競馬紙面を扱うスポーツ新聞は日本にたくさんあります。
Posted by:競馬予想  at 2010年09月27日(月) 13:58

閲覧させて頂きました。
Posted by:豪雨  at 2010年09月27日(月) 12:55

掲示板で知り合った女性と出会いがしたくて積極的に連絡をした。

Posted by:出会い  at 2010年09月22日(水) 16:26

またよみにいきます!!?(?)
Posted by:「馬券」=「勝馬投票券」  at 2010年09月22日(水) 10:57

ぼくの以前に使った10万稼げた優良な逆援助サイトを、使えば間違いなく出会えるサイトです。メル友とメールのやり取りをしていたら来週出会うことになりました。

Posted by:サポ  at 2010年09月20日(月) 10:48

閲覧させて頂きました。
ありがとうございます。
Posted by:援助交際  at 2010年09月20日(月) 01:15

閲覧させて頂きました。
ありがとうございます。
Posted by:ノリのいいヤツ  at 2010年09月20日(月) 00:00

セフレが簡単に作れるって聞いたので登録してみたよ〜!!

Posted by:ポイントなし出会い  at 2010年09月18日(土) 15:08

逆援助マジヤベェ!!こんなに稼げるんなら金欠の友達にも教えてやろうと思った。

Posted by:エロ友  at 2010年09月17日(金) 23:54

サクラがいない出会いサイトが復活したから利用してみた。

Posted by:出会いSNS  at 2010年09月17日(金) 15:02

逆援助交際を初めて体験したけど小遣い稼ぎになるね。

Posted by:エッチメール  at 2010年09月16日(木) 11:39

参考にしています。
失礼しました。
Posted by:神様は窓口ではありません  at 2010年09月15日(水) 19:07

マジで最高なんだけど!!

Posted by:テレフォンセックス  at 2010年09月15日(水) 17:28

楽しく読ませてもらいました〜。
Posted by:にごりん  at 2010年09月14日(火) 11:17

ちょwwwデートしただけなのにお小遣いもらったよwww

Posted by:エロ友  at 2010年09月13日(月) 13:07

こんなサイト知らなかったなんて!ショックです。

Posted by:神待ち  at 2010年09月10日(金) 17:42

競馬楽しい♪
これ参考になるね☆
Posted by:スプリンターズS予想  at 2010年09月09日(木) 19:20

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Posted by:テレフォンセックス  at 2010年09月02日(木) 15:18

お金が欲しい
Posted by:ブラックリストでも  at 2010年09月01日(水) 19:05

更新楽しみにしています
Posted by:援助交際  at 2010年08月13日(金) 18:33