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まえがき [2009年10月03日(土)]
まえがき                           マックス・ゲルソン

 私の治療の実績を知った多くの医者や研究者から、私はこれまでに、悪性腫瘍の個々のケースの治療法を教えて欲しいと求められたり、そのための文献を求められたりしてきた。しかし個人的な手紙のやり取りなどでは、私がなぜそう言う治療法を指示するのかと言う理由も、その治療法の説明も完全には出来がたい。
 この本を私が書き、その中で私の30年以上にわたるガンの治療体験や治療法の処方箋を公(おおやけ)にすることにしたのも、そのためである。
 ポアンカレは『科学と仮説』の中で次のように書いている。
「家が石で建てられるのと同様に、科学は事実を材料として建てられるものである。しかし事実をただ集めただけでは、科学とは言えない。石をただ集めてきただけでは家と呼べないのと同様にである」
 生物学の世界では事実が互いに相殺しあったり、逆に通常以上の機能を発揮し、時には過度に機能を発揮してしまったりと言うこともあり得る。したがって個人は、その問題を自分で解決しなければならないと言う負担を背負わされることになるが、その場合に問題解決のための手段を提供するのが科学である。
我々医師は症状を発見したり、それを検査したり、治療したりするための訓練を受けていて、それに慣れている。
 ところで医者の教科書では、症状は1つ1つの器官に現れるものだとして記述されている。本書でも、目に見えたり検査器具やX線で判別できる限りの症状について記述してある。しかし私は、こういう症状を病気が表面に現れたものとして理解しているわけではない。そうではなく、肉体部分の代謝状況を示すしるしであり、生体活性に関係する諸要素の深くかつ高度な仕組みの状況を表すものと捉えている。
 この要素はミネラルの働きや細胞中の電気的活性、酸化作用に関わる酸化酵素の働きなどなどと云ったもののことである。また、代謝の状況が改善される場合も逆に一層悪くなる場合も、それは症状や何かの信号を通じてはっきり認識できる。この代謝の状況がよくなるか悪くなるかは、そのまま病気の治癒能力に反映され、よくなる場合は治癒能力は向上し、逆の場合は低下する。
 私の治療方法は主として、肉体の栄養状態の改善を武器とする治療法である。この領域で発見されたこと、およびその応用法の具体的な内容の多くは、既に科学的な研究によってその確かさが確認されている。本書で紹介した個々の症例は、従来明らかにされて来た事実を単独にか、あるいは組み合わせて応用したその結果として、いい結果が得られたものに過ぎない。
 私はこのような治療経験からガンになった肉体に対しては、従来云われてきたよりももっと長期にわたって肉体の解毒作用を集中的に促し、かつこれを続行することが必要だと云う点に気付いた。最近は世間の人々もガンと言う難病に関心を高め、これを警戒し、有効な治療法を求めての絶えざる研究に注目するようになって来ている。本書は、まず第1には医者のために書いたものだが、しかしガンを巡る主要な問題点は、素人の知的な読者にも理解してもらえるように意図して書いた。いくつかの章は別々の時に執筆した。そんなわけで、同じことを繰り返し述べている箇所も少なくない。
 医学の歴史を見ると医学の考え方そのもの、および実際の医療技術に革新をもたらしたような医学の改革者たちが、苦渋の道を歩んだという実例が実に多い。お解りだろうが、それまで自分が続けてきた治療法を喜んで変えようと言う医者は、きわめて少ないものである。大部分の医者は自分が習ったとおりのことや、教科書に書いてある治療法を、多かれ少なかれ操り人形のように繰り返しているだけなのだ。
 そもそもの出発点においては、医者は何よりも患者のために役立ってやりたい、と思っている。しかし彼は、医学界に認められていない治療法を自分の患者に実際に使うことには足踏みする。科学、芸術、技術の歴史は、新しい考えはどんな考えも、激しい抵抗に出会って来たことを教える。そして改革者で自分の考えが生前に世間に受け入れられるのを、自分の目で見られた者は残念ながら少ない。
 文化の領域での発展が何世紀にもわたる長い期間をかけて、極めて遅々としか進まない1つの理由は、このような事情により、発展が力によって抑えられるためである。
 この点でいえば、私はむしろ幸運な立場に恵まれて来たと言える。なぜなら私の患者の90〜95%がガンがうんと進んだ末期患者で、彼らには冒すべきどんなリスクももう残っていないのだった。公認されているどんな治療法でも、効果が上がらなかったとか、最初から「手術不能」とされたと言うのが、彼らだった。私の治療法がいい結果になるにせよ、失敗に終わるにせよ、事態の推移を充分に観察するには、患者たちにも、もうしばらくの辛抱の時間が必要なのである。

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コメント
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Posted by:replica watches uk  at 2012年12月08日(土) 19:13