イメージの詩

　さて、母に踏まれた十六クンのその後です。

　皆様のおかげで？１５年間無事に？能天気な暮らしを満喫していた極楽トンボならぬ桜文

鳥の十六クンでは御座いましたが、重吾クンから十六クンに改名した（された）途端、文字通

りに踏んだり蹴られたり、の飛んだがゆえのトンだ災難に見舞われました。

　「鳥は３歩、歩いた瞬間に全て忘れる」と、古（いにしえ）の格言？が御座いますが、あれ

は、とんだ嘘っぱち、のようです。

　なぜかと申しますと、十六クンと、その妻のシロちゃん＆娘のシロちゃんＪｒは、執念深く？

踏まれた恨みを覚えておりました。

　奥方のシロちゃんには大切な旦那様だし、シロちゃんＪｒには、お父様。その十六クンが、目

の前で、文字通りに「あと１歩」で、不帰の鳥になっていたわけですから、そりゃあ「忘れてく

れよ」と云う方が虫が良すぎるってってもんで御座います。

　母が掃除で鳥篭の前を通る度に、やたら、警戒音を発して牽制する、する。

　「さっきまでは可愛らしく囀（さえず））っていたのに、可愛げがないったらありゃしない！」

　母は、自分が踏んだことすら忘れてオカンムリで御座います。

　「どれ、どれ」と、籠を覗くと…十六クンは、垂れ下がったままの右翼と体を震わせて、眼を

吊り上げんばかりの勢いで？「ビー・ビー・ビリビリ」と、速射砲のごとく抗議しているは、シロ

ちゃん親娘も「ビリ・ビリ・ビー」と、精一杯に体を震わせて大合唱で御座います。特に娘のＪｘ

ｒ？なんぞはケージ前面に飛びついて、尾羽を震わせている始末で御座います。

　まっ、「命あってのものだね」では御座いませんが、完全にペシャンコ状態になっていたなら

ば…たとえ、チニック＆グレープシード・オイルがあっところでどうにもならなかったわけですか

らねェ…。

　それでも母は、ケージを指で突いて「可愛くない鳥だね、焼き鳥にて食べちゃうゾっ」と、脅

かして悦に入っております。

　化け文鳥も怖いが、自らの過失も忘れて恫喝する北の将軍様もどきの母も恐い！この戦争

の行方やいかにッ！？でも、３羽とも死ぬまで忘れないんだろうな、きっと。それはそれで、

「見上げたもんだね、屋根屋のフンドシ」で立派なのですが…、格言どうりに「３歩」とは言わ

ないまでも、いつかは忘却の彼方へと忘れ去る日が来るのでしょうか。

　いや、忘れるのではなく、許す日が来るのでせうか。飼い主の私に似て？痩せたとは言

え、太っ腹なところを見せてくれるか十六一家？！