我が家がここに越してきたころ、
近くの公園に、きれいなお母さんが
まだ幼い3人の兄弟を連れてきた。
何が始まるかと見ていたら、
そのきれいなお母さんがいきなりノックを始めた。
彼らは母の打つボールに向かってグローブを向けては
がむしゃらに飛びついていた。
数年して、息子が小学校にあがると、
その兄弟たちは近所の子だとわかった。
とても人懐っこく礼儀正しい彼らだった。
彼らは、3月生まれでまだまだ幼くて小さい息子を
とてもかわいがってくれた。
共働きでお母さんの帰宅がおそい彼らは
夏休みには毎日のように遊びに来ては
息子と遊んでくれた。
人懐こくやんちゃな長男、真面目な二男、明るい三男。
中でも1番上のお兄ちゃんは息子と年が離れているせいか
とても優しく面倒をみてくれた。
帰りが遅いお母さんに代わり弟たちのまとめ役。
先生の思う優等生ではないのかもしれないが、
息子の荷物をさりげなく持ってくれたり
しっかり挨拶をするその姿勢は
当時は小学生ながら、今思っても感心する。
彼らは野球好きで、息子が入った野球チームに入っていた。
3人とも野球が得意だった。
特に、お兄ちゃんは、器用ではないのかもしれないが
野球に対する情熱は兄弟一で、努力家だった。
中学に入ると硬式のクラブチームに入って頑張っていた。
自宅でも、素振りをしたり、走ったり自主練習する姿に
感心したものである。
何万人もいる野球少年やかつて野球少年だった人
憧れは甲子園でしょう。
彼も甲子園に向かって頑張っている。
そんな彼がある日、転勤で引っ越すことになった。
息子も彼が中学に入ってからは
あまり接することは少なく、
彼の弟たちと遊ぶことが多くなっていたが
彼らの引っ越しは
私たち家族にとってはショックだった・・・
しかし、ここより高校の数が少ない県ならば
甲子園に行ける確率は高くなるかもしれない。
期待に胸ふくらまして
何かここに書いてと彼らに主人が差し出した古いボールに
こう書いて、引っ越していった。
もう何年も前のことである。