高島俊男著
講談社現代新書
個人的に高島さんの本は大好きで、
特にご自身が中国文学者であることから、
中国に関する著書は面白い。
その割りに文章は柔らかいので、読みやすい。
この本は人物によって各章に分かれているから、
より読みやすくなっていると思う。
盗賊というと、日本では石川五右衛門のような泥棒のように思うが、
中国では違う。
盗賊とは官以外の、武装した、実力で要求を通そうする、集団、
と定義してある。
だから、皇帝になった人物のほとんどがそうなる。
ここでは、明の太祖や李自生など、皇帝と名乗った人物6名を書いている。
実はこの本の初版は1989年。
完全版は講談社現代新書の40周年を期にリニューアルした時に、
当時はほとんど載せてもらえなかった毛沢東の項を入れた
当初の原稿通りで発売されたもの。
どの章も面白いのだが、やはり毛沢東の章が白眉。
この時代というのは、各国が複雑に絡み合い、難しく
私もよくわからないのだが、それを簡単に事実のみを書いてあるので、
大変わかりやすいです。
そして、あの時代を紐解くことによって、今の中国を垣間見ることもできる。
中国とは近くて遠い国。
日本は古くから影響を受けていて、なんとなく同じような考えであるよに
錯覚してしまうが、中国とは文化や思考が違う。
それをハッキリ認識させられます。