Neko

2007年10月  >
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
辞書マニアの書棚から〜恋愛篇 [2007年10月08日(月)]
昨日の「辞書マニア」の記事でコメントいただいた狐狸さんの『新明解(第4版)』(三省堂)の恋愛観についてのご指摘がおもしろかったので、記事にしてみました

狐狸さんネタをくださって、どうもありがとうございます

新明解(第4版)』については、狐狸さんの昨日の記事に対するコメントを参考にしていただくことにして、今日は手持ちの辞書の恋愛観を探ってみます

新潮現代国語辞典(第2版)』から、

恋愛とは、「特定の異性にひかれて愛し慕うこと。精神的・肉体的な結合を求める男女間の愛情。「ラブ」「リーベ」などの訳語という。こい。愛恋。」

近・現代文学から例文をとるこの辞典らしい語釈です。初版もほぼ同じ解釈だったので、引用を割愛します。

つづいて、『明解』、『新明解』を。

明解国語辞典(改訂新装版)

恋愛とは、「男女間のこい慕う愛情(がはたらくこと)。こい」

新明解国語辞典(初版)

恋愛とは、「一組の男女が相互に相手にひかれ、ほかの異性をさしおいて最高の存在としてとらえ、毎日会わないではいられなくなること。」


新明解国語辞典(第5版)

恋愛とは、「特定の異性に特定の愛情をいだき、高揚した気分で、二人だけで一緒にいたい、精神的な一体感を分かち合いたい、出来るなら肉体的な一体感も得たいと願いながら、常にはかなえられないで、やるせない思いに駆られたり、まれにかなえられて歓喜したりする状態に身を置くこと。」

明解』では非常にあっさりしていた語釈ですが、『新明解』になると独特の解釈がとられるようになっています。また、編纂当時の時代背景が色濃く反映されており、初版ではプラトニックな面が中心の記述ですが、第5版では、より肉欲的な面に注目しています

広辞苑(第3版)

恋愛とは、「男女間の恋い慕う感情。こい。」

広辞苑(第5版・電子辞書)

恋愛とは、「(loveの訳語)男女が互いに相手をこいしたうこと。また、その感情。こい。」

とっても薄い語釈です。『広辞苑』(岩波書店)編纂者たちの恋愛にたいする罪の意識すら感じてしまいます

小学館日本語新辞典

恋愛とは、「特定の異性(時には同性)に特別な愛情を感じ、慕うこと。また互いにその感情をもち、それをあたためたり楽しんだりすること。」

日本語を国語とするものだけではなく、日本語を外国語として学ぶ外国人をも視野にいれ、編まれた現代日本語の辞典ならでは、という先進性を感じさせる語釈です恋愛対象に同性を含めるのは現代日本の社会状況を反映した画期的な解釈だと思います


いかがでした
辞書を比較すると、なかなか興味深いでしょ


この記事のURL
http://www.dhcblog.com/ringonomitsu/archive/277
トラックバック
この記事へのトラックバック
URL http://www.dhcblog.com/ringonomitsu/tb_ping/277
コメントする
名前:
Email:
URL:
クッキーに保存
小文字 太字 斜体 下線 取り消し線 左寄せ 中央揃え 右寄せ テキストカラー リンク
コメント
私は
辞書を引くのが大好きでした

学生のころ
中学校入学前に母に買ってもらった
国語辞典を
わけもなく引いて「ふむふむ」と思っているのがすきでした。

今、広辞苑ほか分厚い辞書が2冊もあるのですが。。。
誰も使いません

子供たちは各自
電子辞書もち。。。

辞書は引く楽しみというのもあるとおもうのですけどね。。。
Posted by:あられ  at 2007年10月11日(木) 12:29

アオさん、コメントありがとうございます

アオさんのおうちの『家語辞書』いただけるのですか
それは家宝にします

いつとりに伺えばいいでしょうか
Posted by:アオさん←りんごのみつ  at 2007年10月09日(火) 22:35

まろんさん、コメントありがとうございます

こちらにもコメント、ありがとうございます

辞書による解釈の違い、結構大きいです。
同じ出版社からでている国語辞典でも語釈が異なるのが一般的のようです

なかなかおもしろいですよね
Posted by:まろんさん←りんごのみつ  at 2007年10月09日(火) 22:33

コウホさん、コメントありがとうございます

コウホさんも辞書マニアの仲間になりましょうよ

お疲れで大変ですね。
体調、気をつけてくださいね
応援していますよ
Posted by:コウホさん←りんごのみつ  at 2007年10月09日(火) 22:31

mogmogさん、コメントありがとうございます

わたしの妄想恋愛に限ったことではありません

わたしも電子版の『広辞林』持っていますが、語釈が薄すぎて、使う気になりません
Posted by:mogmogさん←りんごのみつ  at 2007年10月09日(火) 22:28

ゆきにゃーさん、コメントありがとうございます

基本的な単語のほうがそれぞれの辞書の特色があらわになるようです
「海」という単語もその一例です
Posted by:ゆきにゃーさん←りんごのみつ  at 2007年10月09日(火) 22:26

美大生の母さん、コメントありがとうございます

『広辞苑第2版』も、そこまでつかってもらうと、辞書冥利につきると思います

じぶんの感性にいちばんあう辞書を選ぶといいと思います
Posted by:美大生の母さん←りんごのみつ  at 2007年10月09日(火) 22:24

ははは。
さすがが何で流れる石なんだ?!
とか疑問があると覚えるだけでぇすw
賢いと思われるとイケンので(思わねぇかw
一応コメコメしときます(レスもち不要
Posted by:さとw  at 2007年10月09日(火) 22:23

いづコロさん、コメントありがとうございます

いづコロさんが「恋愛」をひいたことがないなんて、とても意外です
もっとハードなをひいていたのですか

たしかに辞書によっては、かえってわからなくなるような説明が載っていますよね
バイトの院生のせいだと思います
Posted by:いづコロさん←りんごのみつ  at 2007年10月09日(火) 22:22

mooncatさん、コメントありがとうございます

わたしはじぶんでものを創造できないので、もっぱら他人のつくったものを楽しんでいますが、さんはごじぶんの手で創造できるからすごいと思いますよ
Posted by:mooncatさん←りんごのみつ  at 2007年10月09日(火) 22:20

じゃすこっこさん、コメントありがとうございます

きっと例文をよんで、そう思ったのでしょうね。
わたしもその話、読んだ記憶があります

例文をていねいに読んでみると、たまにこんなのあり〜、と思う例文もあります
Posted by:じゃすこっこさん←りんごのみつ  at 2007年10月09日(火) 22:18

狐狸さん、コメントありがとうございます

ねたの提供、どうもありがとうございました

「きわめて睦まじい様」、どういうことか大阪のかたに確認しないといけないですね
やはりですかね
Posted by:狐狸さん←りんごのみつ  at 2007年10月09日(火) 22:16

Juliaさん、コメントありがとうございます

Juliaさんも辞書比べにはまった経験がありますか

おとなになってから、また辞書比べをすると、中学生のころには、気づかなかったことも発見できると思いますよ
Posted by:Juliaさん←りんごのみつ  at 2007年10月09日(火) 22:14

さと、コメントありがとうございます

流石をだしてくるところなど、さともほんとは辞書を読みこんでいるのではありませんか
Posted by:さとりんさん←りんごのみつ  at 2007年10月09日(火) 22:12

ショコプさん、コメントありがとうございます

小学館は、このような革新的な辞書を出版する一方、バリバリの保守雑誌も出しているので、いかにも総合出版社だと思います

広辞苑、じつに岩波らしいと思います

たまに辞書を手に取ると新しい発見があると思います
Posted by:ショコプさん←りんごのみつ  at 2007年10月09日(火) 22:06

degumiさん、コメントありがとうございます

辞書が愛読書、渋いですか

いつか、二十歳のセクシー乙女の「恋愛」観を伺ってみたいです
Posted by:degumiさん←りんごのみつ  at 2007年10月09日(火) 22:02

のりぴーさん、コメントありがとうございます

辞書くらべ、ひまつぶしのつもりでやっていると、ついつい時間が過ぎてしまいます
辞書一冊一冊に個性があります
Posted by:のりぴーさん←りんごのみつ  at 2007年10月09日(火) 22:01

あやぴぃさん、コメントありがとうございます

陳腐な表現ですが、きっと「恋愛」は人の数だけあるのでしょうね。

BOOWYファンだったのですね
たしかにことばの意味を知ると、歌にこめられたメッセージをちゃんと知ることができますものね

辞書の比較、楽しいです
Posted by:あやぴぃさん←りんごのみつ  at 2007年10月09日(火) 21:59

nicoさん、コメントありがとうございます

同じ出版社から同時期に出版されている辞書でも、語釈が違うケースがままあります
辞書は千差万別です

外国人に日本の実情を知ってもらうためには、先進的ないい語釈だと思います
Posted by:nicoさん←りんごのみつ  at 2007年10月09日(火) 21:55

Gum Treeさん、コメントありがとうございます

Gum Treeさんではなく、Gold Treeさんとお呼びいたしましょうか

中学生には、目の毒な語釈ですよね

「恋愛」、まだまだわからないことがたくさんありそうですね
Posted by:Gum Tree さん←りんごのみつ  at 2007年10月09日(火) 21:53

mayuさん、コメントありがとうございます

妄想」ですか
いろいろなことを妄想しています
こんど、mayuさんのことも妄想しましょうか

『新明解』はさすがに解説本がでるだけのことがありますね

2通、拝見しました。
心配しましたが、結果的に安心しました
Posted by:mayuさん←りんごのみつ  at 2007年10月09日(火) 21:49

nahnaさん、コメントありがとうございます

『広辞苑』はもともと《恋愛》に淡泊な辞書のようですから、同性同士の恋愛に言及することなど、今後もないのかもしれませんね
Posted by:nahnaさん←りんごのみつ  at 2007年10月09日(火) 21:46

こんばんは

辞書の話し、面白いですね
それぞれの辞書から、
言葉へのこだわりが見えてきました

辞書マニアさん・・・
うちの「家語辞書」も贈らなければ、ね
Posted by:アオ  at 2007年10月09日(火) 21:19

こんばんわ
ご無沙汰しております

そうなのですか
すごいすごい
辞書によってこんなにも解釈の仕方が違うのですか
興味深いです。。。
ほぉ〜そうなんだそうなんだって
思いながら読み進めました
Posted by:まろん  at 2007年10月09日(火) 21:18

 こんにちは
すごーい
同じ言葉でこんなに解釈が違うなんて
感動ですね〜
やはり「読み物」としての辞書興味深いですね
活字中毒生活・・・いくら眠たくても
読書しなければ眠れない疲れが取れない生活です

Posted by:コウホ  at 2007年10月09日(火) 17:00

こんにちは

恋愛に対するさんの妄想がいや増していくような解釈がいっぱいですね〜
昭和45年の「広辞林」第41刷より・・「恋愛・・男女間の恋慕う愛情。こい。ラブ。」味もそっけもありませんね〜
Posted by:mogmog  at 2007年10月09日(火) 16:22

こんにちは
ひとつの単語でもこんなに色々な解釈があるとはびっくりしました
他の単語も色々調べて書き留めてみると面白いでしょうね

Posted by:ゆきにゃー  at 2007年10月09日(火) 14:45

おはようございます

私の国語辞書は、nahna様と同じく『広辞苑』2版、古い・重い・表紙破れ・ページ破れ・全体が酸性紙の宿命で茶色に変色、と悲惨極まりない状態です。

新しい辞書が欲しかったところです。
解釈の違いを読み比べて買おうとは、思ってもみないことでした。
参考になりました。みつ様、狐狸さま、ありがとうございました。
Posted by:美大生の母  at 2007年10月09日(火) 07:04

こんばんは
恋愛って言葉を
辞書で引いたことないですね〜
意外ですか?
昔は難しい言葉を辞書で引いて
ますます意味がわかんなくなってました
外国人の友達が
『日本語難しいね』
って言う意味が何となくわかりますね
Posted by:いづコロ  at 2007年10月09日(火) 03:12

こんばんは

いや〜ぁ、これだけ調べるなんて、よほど辞書がお好きなのですね。流石です、お勉強になりました。
根気のないはだめですね。
Posted by:mooncat  at 2007年10月09日(火) 01:43

辞書って深いですねぇ。

で、何かの語句をりんごさんと
同じようにいろんな辞書で調べていくと
この辞書を書いた人はそうとうお金に
困っていたらしいという結論に至ったという
話を見たことがあります。

辞書マニア?のりんごさんは
このあたりは読んでいて感じられる
ものなのでしょうか?

それにしても、愛読書が辞書って
さすがりんごさんって感じがします。
Posted by:じゃすこっこ  at 2007年10月09日(火) 00:06

すいません・・・ご送信しました

【ちんちんかもかも】
男女の仲のきわめて睦まじい様

【ちんちんもがもが】
(大阪方言)片足とび。けんけん

前者は青い時代、授業中に見つけました

後者は・・・
大阪の方達〜本当なんですか
Posted by:狐狸  at 2007年10月08日(月) 23:54

おじゃまします狐狸です

記事だてしていただけるなんて光栄です

それでは記事立ての
狐狸が未だに信じられない日本語を
Posted by:狐狸  at 2007年10月08日(月) 23:50

こんばんわ

辞書比べって面白いですよね〜

実は中学時代、辞書比べにハマってました
教室で授業を受けられなかったから先生に勧められて言葉覚えって感じで辞書比べしてたんですが
「へ〜、こんな意味でとることもできるんだ〜」
いつもこんな感じで終わってました。。。

改めて色々と調べて見ると新しい解釈が加えられていたりして面白いかもしれませんね
Posted by:Julia  at 2007年10月08日(月) 23:14

ばんは。

ううむ。そなに表現がちゃうとぁ・・・
いぱーい辞典読み比べてる人しか気づかんわな。
流石(ながれるいし・・・
ですね。1冊しか所持してない自分にぁ
一生気づかんねw ハイ。
ひとつおリコウに?なった気取りw
Posted by:さと  at 2007年10月08日(月) 22:52

こんばんは

国語辞典っておもしろいですね〜

小学館は同性愛にも注目されてて、ほんと柔軟な解釈ができていますね
それにくらべて広辞苑・・。
あっさりしすぎですね

同じ辞書でもいろいろな解釈があっておもしろいですね〜。
とっても勉強になりました
Posted by:ショコプ  at 2007年10月08日(月) 21:37

こんばんわ

同じ言葉でも
少しずつ解釈が違ってて
面白いですね

辞書が愛読書なんて
渋すぎますよ・・・お兄様
Posted by:degumi  at 2007年10月08日(月) 21:21

こんばんわ。

辞書くらべ、おもしろいですね
辞書によって同じ言葉でも、書かれ方がぜんぜん、ちがうのですね。
Posted by:のりぴー  at 2007年10月08日(月) 20:40

こんばんは
「恋愛感」と一言にまとめるのは難しいですね〜
表現の仕方、解釈の仕方・・・いろいろあるんですね

私も、中学生のころは毎日辞書を眺めておりました
ナゼか・・・私の大好きな「BOOWY」と言うバンドの
歌の歌詞に、たくさんわからない言葉があったのです
やっぱり、言葉を理解しないで聴いているより
言葉を理解して聴くのとでは全然違いました

あいにく他の辞書と比べたことはありませんが・・・。
こういう楽しみ方もあるんですね

りんごのみつさん、さすがです
Posted by:あやぴぃ  at 2007年10月08日(月) 18:23

りんごのみつさん〜こんにちは〜

今まで辞書を比べた事なんて無かったので とても興味深いです。。。
でも時代や編纂者などでかなり変わってくるものなのですね〜

恋愛対象に同姓を含めているのは ホント画期的ですよね〜
外国人が勉強することを考えるとこういう語釈となるのでしょうかね。。。
 
Posted by:nico  at 2007年10月08日(月) 18:07

こんにちは。やーくん風味のケイタイを持つGumです(笑)

こんなに解釈の仕方が違うのですね。

特に、肉欲的解釈には、私が中学生でしたらおそらく何らかの妄想を抱くことでしょう

…そうか…

常にかなえられるわけでもなく、やるせない気持ちになるのも「恋」なのですね。

実に奥が深いです
Posted by:Gum Tree  at 2007年10月08日(月) 16:59

こんにちは

りんごのみつさんは、「妄想マニア」なんですか

「妄想」って、何の

さすが、「辞書マニア」さんですねー

やっぱり、一番、おもしろいのは、『新明解国語辞典(第5版)』ですね

「まれにかなえられて・・・」ってところ、うけますねー

緊急送りました。
Posted by:mayu  at 2007年10月08日(月) 16:58

こんにちは。

一番古い辞書、広辞苑大2版から引用します。
私が中学校の時に作文が入選していただいたものです。古っ

恋愛  男女間の恋い慕う感情。
愛する異性と一体になろうとする愛情。こい。

との記述でした。
36年前の広辞苑には、同性に対する項目は見あたりませんでした。
時代からすれば、大昔は禁句でしたよね。
Posted by:nahna  at 2007年10月08日(月) 15:55