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辞書マニアの書棚から〜恋愛篇 [2007年10月08日(月)]

昨日の「辞書マニア」の記事でコメントいただいた狐狸さんの『新明解(第4版)』(三省堂)の恋愛観についてのご指摘がおもしろかったので、記事にしてみました

狐狸さんネタをくださって、どうもありがとうございます

新明解(第4版)』については、狐狸さんの昨日の記事に対するコメントを参考にしていただくことにして、今日は手持ちの辞書の恋愛観を探ってみます

新潮現代国語辞典(第2版)』から、

恋愛とは、「特定の異性にひかれて愛し慕うこと。精神的・肉体的な結合を求める男女間の愛情。「ラブ」「リーベ」などの訳語という。こい。愛恋。」

近・現代文学から例文をとるこの辞典らしい語釈です。初版もほぼ同じ解釈だったので、引用を割愛します。

つづいて、『明解』、『新明解』を。

明解国語辞典(改訂新装版)

恋愛とは、「男女間のこい慕う愛情(がはたらくこと)。こい」

新明解国語辞典(初版)

恋愛とは、「一組の男女が相互に相手にひかれ、ほかの異性をさしおいて最高の存在としてとらえ、毎日会わないではいられなくなること。」


新明解国語辞典(第5版)

恋愛とは、「特定の異性に特定の愛情をいだき、高揚した気分で、二人だけで一緒にいたい、精神的な一体感を分かち合いたい、出来るなら肉体的な一体感も得たいと願いながら、常にはかなえられないで、やるせない思いに駆られたり、まれにかなえられて歓喜したりする状態に身を置くこと。」

明解』では非常にあっさりしていた語釈ですが、『新明解』になると独特の解釈がとられるようになっています。また、編纂当時の時代背景が色濃く反映されており、初版ではプラトニックな面が中心の記述ですが、第5版では、より肉欲的な面に注目しています

広辞苑(第3版)

恋愛とは、「男女間の恋い慕う感情。こい。」

広辞苑(第5版・電子辞書)

恋愛とは、「(loveの訳語)男女が互いに相手をこいしたうこと。また、その感情。こい。」

とっても薄い語釈です。『広辞苑』(岩波書店)編纂者たちの恋愛にたいする罪の意識すら感じてしまいます

小学館日本語新辞典

恋愛とは、「特定の異性(時には同性)に特別な愛情を感じ、慕うこと。また互いにその感情をもち、それをあたためたり楽しんだりすること。」

日本語を国語とするものだけではなく、日本語を外国語として学ぶ外国人をも視野にいれ、編まれた現代日本語の辞典ならでは、という先進性を感じさせる語釈です恋愛対象に同性を含めるのは現代日本の社会状況を反映した画期的な解釈だと思います


いかがでした
辞書を比較すると、なかなか興味深いでしょ