恋のチカラ

今わたしが毎日かけてるメガネが、
細めのオーバルでシルバーのナイロール。

購入したのはもう３年ぐらい前のことだ。

前のメガネもシルバーのナイロールだったけど、
レンズの形が今よりもっと丸くて、面積が大きかった。
ちょうど３年前ぐらいの頃は、
細めのメガネが流行り出した頃だったように記憶している。

できあがってはじめて職場にかけていった日、
そばに座っていた上司や同僚は、
前のメガネと似ているせいか誰も気付いてくれなかった。
同じようなのを選んでしまった自分のせいなので、
まあそれもしかたない、と思っていた。

電話の取次ぎかなんかで、
当時はわたしの上司ではなかった彼と
机をはさんで向かい合ったとき、
「メガネかえたね。」と気がついてくれた。
そう、はじめて気づいてくれたのは彼だったのだ。

思えば彼もメガネをかえたばかりだった。
彼のメガネは、ほぼわたしと同じ細めのオーバル形の、
コパーブラウンのナイロール。

わたしは彼のメガネを真似したわけではなかった。
だってその頃は、
彼に恋をするなんて思ってもみなかった頃。
同じ形になってしまったのは偶然だった。

この一件があって、
わたしは彼を意識し始めてしまったのかもしれない。
その後１年ほど経って、彼はわたしの上司となり、
片思いの対象となっていくのだった。


こんな思い出のあるメガネなので、
新しいメガネを買っても、時々はかけることになるでしょう。
ちょっとしたお揃い気分も味わえるし……。