無意識のうちに空間に縄張りのようなものをつくって、
他人の侵入を拒む見えないバリアを築いている。
それが、パーソナルスペースです。
相手によって、その縄張りは、
自由に大きくもなり小さくもなる。
苦手な相手に対しては、パーソナルスペースは大きくなり、
親しい相手には小さくなり、
恋人同士や小さな子どもとの関係では、
時には、無にまでなる。
わたしは彼と、
どのくらいまで近づくことができるだろうか。
どれくらいの親密さをもって、
彼はわたしを見てくれているのだろうか。
その指標として、
文化人類学者のエドワード・ホールという人が、
人間関係やコミュニケーションの距離相を
8分類しているものが、参考になる。
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1:密接距離(近接相)0〜15p
かなり親しい二人が使う距離。
愛撫、格闘、慰め、保護などを目的としており、
言葉より身体を触れあうコミュニケーションが多くなる。
2:密接距離(遠方相)15〜45p
手が届く距離で、やはり親しい二人が使う。
電車などでこの距離まで他人が近づくと、ストレスを感じる。
3:個体距離(近接相)45〜75p
手を伸ばせば届く距離で、恋人や夫婦なら自然な距離だが、
それ以外の異性がこの距離に入ると誤解を生じやすい。
4:個体距離(遠方相)75〜120p
お互いが両手を伸ばせば届く距離で、
個人的な用件を伝えたいときなどに使われる。
5:社会距離(近接相)120〜210p
身体的な接触が難しいい距離であり、
仕事をするときの仲間との距離にふさわしい。
6:社会距離(遠方相)210〜360p
改まった仕事の話などに使われる距離で、
何かをしたいときには相手を気にすることなく作業ができる。
7:公衆距離(近接相)360〜750p
表情の変化はとらえにくいが、簡単なコミュニケーションなら取れる。
質疑応答も可能。
8:公衆距離(遠方相)750p以上
講演や演説に使われる距離で一対一のやり取りは難しい。
身ぶりなどのコミュニケーションが必要となる。
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いまのところ、
わたしと彼との関係は仕事仲間でしかない。
そう考えると、
5:社会距離(近接相)120〜210p
身体的な接触が難しいい距離であり、
仕事をするときの仲間との距離にふさわしい。
このあたりか。
でも彼は、もっと近くに来ることもある。
2:密接距離(遠方相)15〜45p
このくらいまで……。
例えばわたしの背後からPCをマウスで操作したり、
1枚しかない書類をふたりでのぞきこんだりするとき。
でもごくまれ。
3:個体距離(近接相)45〜75p
この程度ならときどきある。
机の脇に立って話すときはこのくらいの距離だ。
でも、手を伸ばせば届く距離だとはいっても、
書類を渡すときに手が触れる以外に、
彼のからだには触れたことがない。
……と思ったら、あった。
髪の毛についたゴミを取ってあげたんだ。
そんな程度。
びっくりされちゃった、ってことは、
パーソナルスペースに入っちゃったんだね。
(参考文献:渋谷昌三著『すぐに使える!心理学
恋愛、ビジネスからうつ病まですっきりわかる!』)